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第五章 河童の大相撲
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「はい、あやかし瓦版編集部です。はい、はい」
永徳から頼まれたお使いを終え、編集室の襖を開けた先で、マイケルが電話を受けているのが目に入る。またプレスリリースの到着確認だろうか。これだけ頻繁にかかってくると電話番も大変だ。
「え、レジャーの記事の担当記者ですか? 人間のテーマパークの」
––––あれ、もしかして私宛の電話?
マイケルの言葉に気を取られ、その場で立ち止まると。突然目の前で取っ組み合いの喧嘩が始まり、佐和子はうしろに飛び退いた。
喧嘩を始めたのは、緑色の顔を赤銅色に染めた河童の宗太郎と小鬼の蒼司。どちらかというと宗太郎が一方的に怒鳴っている。
「おい、てめえいったいどういう了見だ! 今日の晩は取材の予定を入れていただろうがっ。どうすんだよっ」
宗太郎はぎゅうぎゅうと水かきのついた手で蒼司の頬をつねっている。
「いててて! なにすんだよ! オイラのカレンダーには予定入ってないよ。宗太郎が送り忘れたんじゃねえか? スケジュールを」
小柄な蒼司は、自分の頬をつねりあげる宗太郎の手を両手でポカポカと殴りながら応戦した。蒼司は背丈が小学生位しかないので、側から見ると河童の化け物が子どもをいじめているように見えてしまう。しかし実際の年齢は大差ないらしいので、驚きだ。
「そんなはずはねえ! ちょっと待ってろ、俺がそんなミスをするはずは……」
宗太郎は二人で取材に行く予定を組んでいたと思っていたようだが、認識のずれがあったようだ。自分の席からパソコンを持ってきて、送信したメールを確認していたが、途中から赤銅色に染まっていた顔面が、青緑に変わっていった。
どうやら送ったはずのメールが見つからないらしい。
「ほら、送ってねえだろ。オイラは今晩別の予定が前々から入ってる。確認不足もいい加減にしろよ」
「……てめえ、黙って聞いてれば! このやろう!」
宗太郎が蒼司に殴り掛かろうとした瞬間、漆のお盆が宗太郎の額にクリーンヒットした。
「こらこら、やめなさい、宗太郎」
「痛ってえ! なにすんだ、このぐうたら編集長!」
「ぐうたらは否定しないけど。今やるべきは、口論することじゃなくて、代わりの人員を手配することだろうが」
宗太郎を叩いたお盆を永徳は布巾で拭きつつ、鋭い目をさらに尖らせる宗太郎を嗜めた。
「……蒼司が今日の仕事を調整すればいいじゃねえか」
「だめだ! オイラがずっと楽しみにしていた新作スイーツの取材なんだよ。絶対に今日だけは譲れねえ」
「じゃあどうしろっていうんだよっ。刹那は今日休みだし。赤司も午後は出てる。マイケルはまだ取材は無理だし」
そう言ってまた蒼司につかみかかろうとする宗太郎を捕まえながら、永徳はにこりと笑った。
「目の前にいるじゃないか、いい人材が」
三人、いや六つのあやかしの目がこちらを向き、佐和子はぎくりとした。
「えっ、あっ。私……午後は空いてます……けど……」
取材の経験は積みたいが、編集部の中でもかつての刹那レベルに佐和子を疎ましく思っている宗太郎のサポートということで、佐和子は及び腰だった。
「ふざけんじゃねえ! 人間風情に河童大相撲の取材ができてたまるか!」
「じゃあ宗太郎。ひとりでやるしかないよ。うちは限られた人数で回しているんだから」
そう言いながら自席へ戻っていく永徳の背中に、佐和子は唖然とする。
––––えっ、最後まで仲裁していかないの? この状態で離脱しちゃうの、笹野屋さん!
蒼司もいつの間にか姿をくらましていて、その場に取り残された佐和子は、おそるおそる視線だけを宗太郎に向けた。ますます目を尖らせている宗太郎に怯えていると、河童特有の尖った口元から、息が漏れた。
「仕方ねえ。おい人間、足手まといになるんじゃねえぞ。五時に襖の前に集合だ。編集室の一眼レフとビデオカメラ、あと三脚、メモとれるものもってこい」
「……は、はい」
––––スケジュール調整ミスったの、宗太郎さんでしたよね?
自分の失態による穴埋めを頼むのにこの態度とは。
自由気ままに、自分の思うように堂々と振る舞うあやかしたちの気質には、やはりまだ慣れない。他人の評価が気になってしょうがない佐和子にとっては、到底真似できない振る舞いだ。
しかし、そんなあやかしの性質に、少しだけ羨ましさを覚えるのも確かである。
宗太郎が親切に解説をしてくれるとは思わなかったので、待ち合わせ時間の前に、佐和子は「河童の大相撲」に関する過去の記事を読んだ。それと併せて、人間が見るウェブサイトなどでも、河童と相撲の関連性についてチェックする。
「河童って、相撲が好きなんだ……? 知らなかった」
かつて河童は、人間にもよく相撲の勝負を挑んでいたらしい。相撲を取れと近づいてきて、負けてやれば嬉々として再戦を頼まれるし、勝てば悔しがって再度勝負を挑まれる。一度勝負を受けてしまえば、勝っても負けても延々と相撲をとり続けさせられるため、河童と相撲をとった人間は病人のようになってしまう、なんていう伝承もある。
今回開かれる「春の河童大相撲大会」は、全国から実力者が集う、年に一度の祭典のようだ。河童だけでなく、あやかしたちの中でも楽しみにしている者が多いイベントで、開催前からあやかし瓦版では特集記事が組まれている。
過去記事は毎回宗太郎が書いていて、各力士のデータを知り尽くし、研究しているからこその熱のこもった記事になっていた。
他のスポーツの記事は外部のカメラマンを手配しているようだったが、宗太郎のこだわりからか、河童大相撲の記事だけは、写真は宗太郎、記録用の動画撮影と取材補助でもう一人を編集部の誰かから手配するという体制で毎回取材しているようだ。
素人目で見ても、彼の撮る河童大相撲の写真には魂がこもっていて、躍動感にあふれた生き生きとした写真が多い。
––––これだけ力を入れているからこそ、あれだけ人手が足りないことを怒ってたのね。まあ、彼のミスなんだけど……。
「おい人間、準備はできたか!」
「あ、はい。今行きます!」
まだ五時には十五分早かったが。すでに宗太郎はソワソワしている。
「あの、今日はよろしくお願いします。頑張りますので。ただ、ひとつだけお願いが。……人間、はやめていただけませんか……。あやかしだらけの中に紛れるのに、人間だってバレてしまうのは、ちょっと怖いので」
宗太郎はしかめっ面をしたが、佐和子の言葉も一理あると思ったようだ。
「……まあ、トラブルになっても困るからな。ただ人間に名前ってのも贅沢だなぁ。よし、お前の呼び名は『下っ端』だ!」
「下っ端……!」
「ああ、あと、この面でも被っておけ。そのまんまの格好だと、あやかしっぽくないしな」
そう言って宗太郎は、手に持っていた狐面を押し付けるように佐和子に渡した。
背後から、永徳の堪えたような笑い声が聞こえる。
––––笑い事じゃありませんよ。ひどくないですか。呼び名が『下っ端』だなんて。
「さあ、行くぞ。今日は下っ端が一緒だからな。火車を呼んでおいた。感謝しろよ」
終始上から目線の宗太郎に、普段は表情の乏しい佐和子も不満を全面に表したような顔をしていたが。彼はそんなことはお構いなしに、ズンズンと襖の向こうへと向かっていった。
永徳から頼まれたお使いを終え、編集室の襖を開けた先で、マイケルが電話を受けているのが目に入る。またプレスリリースの到着確認だろうか。これだけ頻繁にかかってくると電話番も大変だ。
「え、レジャーの記事の担当記者ですか? 人間のテーマパークの」
––––あれ、もしかして私宛の電話?
マイケルの言葉に気を取られ、その場で立ち止まると。突然目の前で取っ組み合いの喧嘩が始まり、佐和子はうしろに飛び退いた。
喧嘩を始めたのは、緑色の顔を赤銅色に染めた河童の宗太郎と小鬼の蒼司。どちらかというと宗太郎が一方的に怒鳴っている。
「おい、てめえいったいどういう了見だ! 今日の晩は取材の予定を入れていただろうがっ。どうすんだよっ」
宗太郎はぎゅうぎゅうと水かきのついた手で蒼司の頬をつねっている。
「いててて! なにすんだよ! オイラのカレンダーには予定入ってないよ。宗太郎が送り忘れたんじゃねえか? スケジュールを」
小柄な蒼司は、自分の頬をつねりあげる宗太郎の手を両手でポカポカと殴りながら応戦した。蒼司は背丈が小学生位しかないので、側から見ると河童の化け物が子どもをいじめているように見えてしまう。しかし実際の年齢は大差ないらしいので、驚きだ。
「そんなはずはねえ! ちょっと待ってろ、俺がそんなミスをするはずは……」
宗太郎は二人で取材に行く予定を組んでいたと思っていたようだが、認識のずれがあったようだ。自分の席からパソコンを持ってきて、送信したメールを確認していたが、途中から赤銅色に染まっていた顔面が、青緑に変わっていった。
どうやら送ったはずのメールが見つからないらしい。
「ほら、送ってねえだろ。オイラは今晩別の予定が前々から入ってる。確認不足もいい加減にしろよ」
「……てめえ、黙って聞いてれば! このやろう!」
宗太郎が蒼司に殴り掛かろうとした瞬間、漆のお盆が宗太郎の額にクリーンヒットした。
「こらこら、やめなさい、宗太郎」
「痛ってえ! なにすんだ、このぐうたら編集長!」
「ぐうたらは否定しないけど。今やるべきは、口論することじゃなくて、代わりの人員を手配することだろうが」
宗太郎を叩いたお盆を永徳は布巾で拭きつつ、鋭い目をさらに尖らせる宗太郎を嗜めた。
「……蒼司が今日の仕事を調整すればいいじゃねえか」
「だめだ! オイラがずっと楽しみにしていた新作スイーツの取材なんだよ。絶対に今日だけは譲れねえ」
「じゃあどうしろっていうんだよっ。刹那は今日休みだし。赤司も午後は出てる。マイケルはまだ取材は無理だし」
そう言ってまた蒼司につかみかかろうとする宗太郎を捕まえながら、永徳はにこりと笑った。
「目の前にいるじゃないか、いい人材が」
三人、いや六つのあやかしの目がこちらを向き、佐和子はぎくりとした。
「えっ、あっ。私……午後は空いてます……けど……」
取材の経験は積みたいが、編集部の中でもかつての刹那レベルに佐和子を疎ましく思っている宗太郎のサポートということで、佐和子は及び腰だった。
「ふざけんじゃねえ! 人間風情に河童大相撲の取材ができてたまるか!」
「じゃあ宗太郎。ひとりでやるしかないよ。うちは限られた人数で回しているんだから」
そう言いながら自席へ戻っていく永徳の背中に、佐和子は唖然とする。
––––えっ、最後まで仲裁していかないの? この状態で離脱しちゃうの、笹野屋さん!
蒼司もいつの間にか姿をくらましていて、その場に取り残された佐和子は、おそるおそる視線だけを宗太郎に向けた。ますます目を尖らせている宗太郎に怯えていると、河童特有の尖った口元から、息が漏れた。
「仕方ねえ。おい人間、足手まといになるんじゃねえぞ。五時に襖の前に集合だ。編集室の一眼レフとビデオカメラ、あと三脚、メモとれるものもってこい」
「……は、はい」
––––スケジュール調整ミスったの、宗太郎さんでしたよね?
自分の失態による穴埋めを頼むのにこの態度とは。
自由気ままに、自分の思うように堂々と振る舞うあやかしたちの気質には、やはりまだ慣れない。他人の評価が気になってしょうがない佐和子にとっては、到底真似できない振る舞いだ。
しかし、そんなあやかしの性質に、少しだけ羨ましさを覚えるのも確かである。
宗太郎が親切に解説をしてくれるとは思わなかったので、待ち合わせ時間の前に、佐和子は「河童の大相撲」に関する過去の記事を読んだ。それと併せて、人間が見るウェブサイトなどでも、河童と相撲の関連性についてチェックする。
「河童って、相撲が好きなんだ……? 知らなかった」
かつて河童は、人間にもよく相撲の勝負を挑んでいたらしい。相撲を取れと近づいてきて、負けてやれば嬉々として再戦を頼まれるし、勝てば悔しがって再度勝負を挑まれる。一度勝負を受けてしまえば、勝っても負けても延々と相撲をとり続けさせられるため、河童と相撲をとった人間は病人のようになってしまう、なんていう伝承もある。
今回開かれる「春の河童大相撲大会」は、全国から実力者が集う、年に一度の祭典のようだ。河童だけでなく、あやかしたちの中でも楽しみにしている者が多いイベントで、開催前からあやかし瓦版では特集記事が組まれている。
過去記事は毎回宗太郎が書いていて、各力士のデータを知り尽くし、研究しているからこその熱のこもった記事になっていた。
他のスポーツの記事は外部のカメラマンを手配しているようだったが、宗太郎のこだわりからか、河童大相撲の記事だけは、写真は宗太郎、記録用の動画撮影と取材補助でもう一人を編集部の誰かから手配するという体制で毎回取材しているようだ。
素人目で見ても、彼の撮る河童大相撲の写真には魂がこもっていて、躍動感にあふれた生き生きとした写真が多い。
––––これだけ力を入れているからこそ、あれだけ人手が足りないことを怒ってたのね。まあ、彼のミスなんだけど……。
「おい人間、準備はできたか!」
「あ、はい。今行きます!」
まだ五時には十五分早かったが。すでに宗太郎はソワソワしている。
「あの、今日はよろしくお願いします。頑張りますので。ただ、ひとつだけお願いが。……人間、はやめていただけませんか……。あやかしだらけの中に紛れるのに、人間だってバレてしまうのは、ちょっと怖いので」
宗太郎はしかめっ面をしたが、佐和子の言葉も一理あると思ったようだ。
「……まあ、トラブルになっても困るからな。ただ人間に名前ってのも贅沢だなぁ。よし、お前の呼び名は『下っ端』だ!」
「下っ端……!」
「ああ、あと、この面でも被っておけ。そのまんまの格好だと、あやかしっぽくないしな」
そう言って宗太郎は、手に持っていた狐面を押し付けるように佐和子に渡した。
背後から、永徳の堪えたような笑い声が聞こえる。
––––笑い事じゃありませんよ。ひどくないですか。呼び名が『下っ端』だなんて。
「さあ、行くぞ。今日は下っ端が一緒だからな。火車を呼んでおいた。感謝しろよ」
終始上から目線の宗太郎に、普段は表情の乏しい佐和子も不満を全面に表したような顔をしていたが。彼はそんなことはお構いなしに、ズンズンと襖の向こうへと向かっていった。
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