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第四章 あるべき姿への憧憬
憧憬
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帰宅時間ラッシュのJRつるさわ駅前。家路を急ぐ人たちや、駅前のスーパーへ向かう人たち、飲食店に向かう人たちがどこもかしこも溢れていた。住宅街がメインの街ではあるが、海沿いの工場地帯へ伸びるつるさわ線や、都心へのアクセスの良さもあって、乗車人員は桜木町駅の上を行く。
佐和子は駅前ビルの文房具屋に用があり、永徳の屋敷からの帰り、駅前まで歩いてきたのだが。人混みを見るとサラリーマン時代を思い出し、胸がつかえるような苦しさに支配された。
––––この時間にここへ来たのは失敗だったな。この間笹野屋さんと来たときは、ラッシュ前だったもんね……早く、帰ろう。
本当はスーパーにも寄るつもりだったのだが。向きをかえ、駅前デッキに出て、バスのロータリーへ降りる階段の方へと歩き出す。
頭痛がして、なんだかぼんやりとする。頭を押さえながら階段を降り始めると、突然バスン、という奇妙な音が聞こえた。
視界が宙を飛び、体が浮遊感に包まれる。
何かに背中を押され、階段を踏み外したのだ。
––––嘘、何これ。
声を出すこともできず、スローモーションで地面が近づいてくる。
こういう時はどうすれば生存確率が上がるのだろう。受け身を取ればいいんだろうか。受け身ってどう取ったっけ。ああ、体育の柔道の授業、もうちょっと真面目に聞いておけば良かった。
そんなくだらない後悔がぐるぐると頭をめぐる。しかし体は動かない。
地面にぶつかる衝撃を覚悟した瞬間、視界にグレーの背広姿の男性が現れた。
「うおっ」
うめくような声をあげつつも、彼はしっかりと佐和子を抱き止める。重さと衝撃に耐えかねたのか、彼はそのまま歩道に転がった。
自分が押しつぶす形になってしまったことに気がついき、慌てて佐和子は飛び退く。
「ご、ご、ご、ごめんなさい! 大丈夫ですか?」
「いや、無事で良かったよ。たまたま通りかかって良かった。あのまま落ちてたら大怪我してたよ」
背後からドタバタと足音が聞こえる。振り返れば年配の女性が階段を駆け降りてきていた。どうやら彼女が階段上で手を滑らせて、買い物袋を佐和子に向かって落としてしまったらしい。階段下には野菜や肉のパックなどが散乱していた。
狼狽して謝る女性を宥めつつ、佐和子は散乱してしまった買い物袋の中身を拾い集める。助けてくれた男性も一緒に手伝ってくれたのだが、なんだか彼から視線を感じる。
「ねえ、もしかして佐和子ちゃん?」
名前を呼ばれ、佐和子は咄嗟に顔を上げる。
視線が交錯し、そしてようやく気がついた。自分も彼を知っている。
「あ、やっぱ佐和子ちゃんじゃん! ひさしぶりー! 俺だよ俺、山吹!」
クッキリした二重に、浅黒い肌。確信は持てないが、彼に似た学生の顔が頭に浮かんでいた。
「山吹くん……って。あの、つるさわ区立高校の山吹くんだよね?」
「そうそう! 隣のクラスで、たまに廊下で話してたの覚えてる?」
サッカー部のエースだった山吹将は、おとなしい佐和子とは正反対の活発なタイプで。常に人の輪の中心にいるような、社交的な人物だった。
––––大人にはなったけど、溌剌とした感じは変わってないなあ。……人生楽しいんだろうな。
「佐和子ちゃん髪染めたんだー。黒髪ショートのイメージが強かったからさ。肩まである茶髪ってなんか新鮮。服装は、相変わらずおとなしめな感じだけど。制服も着崩したりしてなかったもんね、佐和子ちゃんは真面目ちゃんだったし」
勢いよく楽しげに語る山吹に、佐和子は思い切り気圧されていた。
先ほどの女性は何度も頭を下げつつも、早々に退散してしまった。自分も早く帰りたいのだが、山吹に解放してくれる気配はない。
「いやー、懐かしいなあ。体は大丈夫……そうだよね? もしよかったら飲みに行かない?」
「え」
––––廊下で話してたって言っても、私この人とそこまで仲が良かった記憶はないんだよなあ。どうしよう。
昼過ぎから降り始めた雨は帰る頃には止んでいたが、湿った空気の中誰かと飲みに行くというのも気分的に嫌だった。ただ、せっかく誘ってくれているのに、大した理由もなく断るというのも申し訳ない。
「……少しなら大丈夫」
「よかった! じゃ、駅前のおすすめのところがあるから。そこ行かない? スペインバルなんだけど」
「うん……任せるよ」
キラキラとした陽のエネルギーに満ちた山吹は、佐和子には眩しすぎて。決して威圧的な態度を取られているわけではないのに、尻込みしてしまう。
––––あれだけ友達が多かったのに、よく私のことを覚えてるなあ。私なんか、なにを話していたかさえ記憶にないのに。
たどり着いたのは東口に残る昔ながらの商店街。その中でも比較的新しい個人店が並ぶエリアだ。
「ここだよ。大学の時の友達がやってる店でさ」
「へええ」
人間二人が横に並んだくらいの幅しかない、奥に長いウナギの寝床のような店内。作り付けのカウンターに、椅子が十脚置かれている。すでに半分くらいが埋まっていて、なかなか盛況なようだ。
「おう、山吹。またきてくれたのか。今日は彼女連れ?」
「ちげーよ。同級生。たまたま駅で会ってさ」
「珍しいじゃん。こんな早い時間に」
「今日は出先から直接帰ってきたから」
山吹と店主の男性の親しげな会話を聞きつつ、佐和子は縮こまりながら勧められた席に着いた。本当のことを言えば今すぐ帰りたい。元来人付き合いの良い方でもないので、なにを話したら良いのかもわからなかった。
「で、佐和子ちゃんは今仕事何してんの?」
色素の薄い、茶色い瞳が佐和子を覗き込む。
いきなり会話を振られて身構えた。
「え、仕事……?」
一応仕事はしているが、まさか「あやかし瓦版」の編集部で働いていると言うわけにはいかない。
「あ、ちなみに。俺は今ね、不動産会社のマーケティング部で働いてて」
「そうなんだ。私も……」
「え、マジか。佐和子ちゃんも今マーケ? そーなんだ、めっちゃ奇遇じゃん」
もごもごと口籠もっている間に、話が進んでしまった。
コミュニケーションのうまい人というのは、音楽でも奏でているように、どんどんと流れに乗って話題を進めてしまう。佐和子はどうも、そのタイプの人間が苦手だった。そういう「流れ」に乗るのが不得手だからだ。
––––本当は、「前の会社で」私もマーケティングをやっていた、って言いたかったんだけど。
「そっかそっか。マーケ楽しいよね。俺さー。今新規のプロジェクトの担当してて」
そこからしばらく、山吹はいかに今の仕事が楽しく、自分が活躍しているのかを、悦に入って話し続けた。新卒で入社した当時は営業だったらしいが、実績が認められてマーケティング部に異動が決まったらしい。それ以降も次々実績を残した彼は、ついに期待の新プロジェクトの担当まで任されたのだとか。
佐和子は愛想笑いで適当に相槌を打ちつつも、心の中では卑屈な気持ちが頭をもたげていく。
––––私だって自分なりに頑張って仕事に取り組んだけど。認められることなく散ってしまった。どうして私はダメだったんだろう。なにが彼と違ったんだろう。
山吹が羨ましかった。自分もこんなふうに、努力を認められて、活躍の場を与えてもらえたらよかったのに。
佐和子はカウンターテーブルの下で、両手をぎゅっと握りしめる。
「山吹くん、ごめん。私そろそろ帰らないと」
会話が途切れたところを見計らい、佐和子はそう山吹に声をかける。笑顔を繕うのが疲れてしまった。そんなに飲んでもいないはずなのに、こめかみが痛む。
「え、あ! もうこんな時間か。悪い悪い。ねえ、もしよかったらさ、連絡先交換しない?」
「あ、うん……」
気が進まないながらも、佐和子はスマホを取り出し、自分のアカウントのQRコードを映し出す。こんなふうに誰かと連絡先を交換するのは、ひさしぶりだった。少なくとも人間とは。
「また飲みに行こ! って言っても、俺も結構仕事忙しくて。なかなか誘えないかもだけど。じゃあね!」
嵐のような人だ、と佐和子は思いながら、駅の方へ消えていく彼の背中を見送った。
山吹の消えた方向を見つめながら、佐和子は手のひらをふたたび握りしめる。
「……私も、もっと頑張らなきゃ」
せっかく仕事に前向きになり始めたのだ。過去はもうどうにもならないが、今は永徳から「人間編集部員ならではの価値」を求められている。編集部の面々とも、少しずつではあるがコミュニケーションを取れるようにもなってきた。
––––もっともっと仕事をして、少しでも早く一人前になろう。
アルコールでほてった頬を両手で軽くたたき、佐和子は夜の闇の中を歩き始める。
風は生温かく、湿気っていた。
ただひたすらに先を見て、自分のことで一杯一杯になっていた佐和子は気がつかなかった。
自分がいる場所からそう離れていない場所に、赤い唇を三日月型に歪め、憎悪の念を込めて自分を睨みつける女がいたことに。
佐和子は駅前ビルの文房具屋に用があり、永徳の屋敷からの帰り、駅前まで歩いてきたのだが。人混みを見るとサラリーマン時代を思い出し、胸がつかえるような苦しさに支配された。
––––この時間にここへ来たのは失敗だったな。この間笹野屋さんと来たときは、ラッシュ前だったもんね……早く、帰ろう。
本当はスーパーにも寄るつもりだったのだが。向きをかえ、駅前デッキに出て、バスのロータリーへ降りる階段の方へと歩き出す。
頭痛がして、なんだかぼんやりとする。頭を押さえながら階段を降り始めると、突然バスン、という奇妙な音が聞こえた。
視界が宙を飛び、体が浮遊感に包まれる。
何かに背中を押され、階段を踏み外したのだ。
––––嘘、何これ。
声を出すこともできず、スローモーションで地面が近づいてくる。
こういう時はどうすれば生存確率が上がるのだろう。受け身を取ればいいんだろうか。受け身ってどう取ったっけ。ああ、体育の柔道の授業、もうちょっと真面目に聞いておけば良かった。
そんなくだらない後悔がぐるぐると頭をめぐる。しかし体は動かない。
地面にぶつかる衝撃を覚悟した瞬間、視界にグレーの背広姿の男性が現れた。
「うおっ」
うめくような声をあげつつも、彼はしっかりと佐和子を抱き止める。重さと衝撃に耐えかねたのか、彼はそのまま歩道に転がった。
自分が押しつぶす形になってしまったことに気がついき、慌てて佐和子は飛び退く。
「ご、ご、ご、ごめんなさい! 大丈夫ですか?」
「いや、無事で良かったよ。たまたま通りかかって良かった。あのまま落ちてたら大怪我してたよ」
背後からドタバタと足音が聞こえる。振り返れば年配の女性が階段を駆け降りてきていた。どうやら彼女が階段上で手を滑らせて、買い物袋を佐和子に向かって落としてしまったらしい。階段下には野菜や肉のパックなどが散乱していた。
狼狽して謝る女性を宥めつつ、佐和子は散乱してしまった買い物袋の中身を拾い集める。助けてくれた男性も一緒に手伝ってくれたのだが、なんだか彼から視線を感じる。
「ねえ、もしかして佐和子ちゃん?」
名前を呼ばれ、佐和子は咄嗟に顔を上げる。
視線が交錯し、そしてようやく気がついた。自分も彼を知っている。
「あ、やっぱ佐和子ちゃんじゃん! ひさしぶりー! 俺だよ俺、山吹!」
クッキリした二重に、浅黒い肌。確信は持てないが、彼に似た学生の顔が頭に浮かんでいた。
「山吹くん……って。あの、つるさわ区立高校の山吹くんだよね?」
「そうそう! 隣のクラスで、たまに廊下で話してたの覚えてる?」
サッカー部のエースだった山吹将は、おとなしい佐和子とは正反対の活発なタイプで。常に人の輪の中心にいるような、社交的な人物だった。
––––大人にはなったけど、溌剌とした感じは変わってないなあ。……人生楽しいんだろうな。
「佐和子ちゃん髪染めたんだー。黒髪ショートのイメージが強かったからさ。肩まである茶髪ってなんか新鮮。服装は、相変わらずおとなしめな感じだけど。制服も着崩したりしてなかったもんね、佐和子ちゃんは真面目ちゃんだったし」
勢いよく楽しげに語る山吹に、佐和子は思い切り気圧されていた。
先ほどの女性は何度も頭を下げつつも、早々に退散してしまった。自分も早く帰りたいのだが、山吹に解放してくれる気配はない。
「いやー、懐かしいなあ。体は大丈夫……そうだよね? もしよかったら飲みに行かない?」
「え」
––––廊下で話してたって言っても、私この人とそこまで仲が良かった記憶はないんだよなあ。どうしよう。
昼過ぎから降り始めた雨は帰る頃には止んでいたが、湿った空気の中誰かと飲みに行くというのも気分的に嫌だった。ただ、せっかく誘ってくれているのに、大した理由もなく断るというのも申し訳ない。
「……少しなら大丈夫」
「よかった! じゃ、駅前のおすすめのところがあるから。そこ行かない? スペインバルなんだけど」
「うん……任せるよ」
キラキラとした陽のエネルギーに満ちた山吹は、佐和子には眩しすぎて。決して威圧的な態度を取られているわけではないのに、尻込みしてしまう。
––––あれだけ友達が多かったのに、よく私のことを覚えてるなあ。私なんか、なにを話していたかさえ記憶にないのに。
たどり着いたのは東口に残る昔ながらの商店街。その中でも比較的新しい個人店が並ぶエリアだ。
「ここだよ。大学の時の友達がやってる店でさ」
「へええ」
人間二人が横に並んだくらいの幅しかない、奥に長いウナギの寝床のような店内。作り付けのカウンターに、椅子が十脚置かれている。すでに半分くらいが埋まっていて、なかなか盛況なようだ。
「おう、山吹。またきてくれたのか。今日は彼女連れ?」
「ちげーよ。同級生。たまたま駅で会ってさ」
「珍しいじゃん。こんな早い時間に」
「今日は出先から直接帰ってきたから」
山吹と店主の男性の親しげな会話を聞きつつ、佐和子は縮こまりながら勧められた席に着いた。本当のことを言えば今すぐ帰りたい。元来人付き合いの良い方でもないので、なにを話したら良いのかもわからなかった。
「で、佐和子ちゃんは今仕事何してんの?」
色素の薄い、茶色い瞳が佐和子を覗き込む。
いきなり会話を振られて身構えた。
「え、仕事……?」
一応仕事はしているが、まさか「あやかし瓦版」の編集部で働いていると言うわけにはいかない。
「あ、ちなみに。俺は今ね、不動産会社のマーケティング部で働いてて」
「そうなんだ。私も……」
「え、マジか。佐和子ちゃんも今マーケ? そーなんだ、めっちゃ奇遇じゃん」
もごもごと口籠もっている間に、話が進んでしまった。
コミュニケーションのうまい人というのは、音楽でも奏でているように、どんどんと流れに乗って話題を進めてしまう。佐和子はどうも、そのタイプの人間が苦手だった。そういう「流れ」に乗るのが不得手だからだ。
––––本当は、「前の会社で」私もマーケティングをやっていた、って言いたかったんだけど。
「そっかそっか。マーケ楽しいよね。俺さー。今新規のプロジェクトの担当してて」
そこからしばらく、山吹はいかに今の仕事が楽しく、自分が活躍しているのかを、悦に入って話し続けた。新卒で入社した当時は営業だったらしいが、実績が認められてマーケティング部に異動が決まったらしい。それ以降も次々実績を残した彼は、ついに期待の新プロジェクトの担当まで任されたのだとか。
佐和子は愛想笑いで適当に相槌を打ちつつも、心の中では卑屈な気持ちが頭をもたげていく。
––––私だって自分なりに頑張って仕事に取り組んだけど。認められることなく散ってしまった。どうして私はダメだったんだろう。なにが彼と違ったんだろう。
山吹が羨ましかった。自分もこんなふうに、努力を認められて、活躍の場を与えてもらえたらよかったのに。
佐和子はカウンターテーブルの下で、両手をぎゅっと握りしめる。
「山吹くん、ごめん。私そろそろ帰らないと」
会話が途切れたところを見計らい、佐和子はそう山吹に声をかける。笑顔を繕うのが疲れてしまった。そんなに飲んでもいないはずなのに、こめかみが痛む。
「え、あ! もうこんな時間か。悪い悪い。ねえ、もしよかったらさ、連絡先交換しない?」
「あ、うん……」
気が進まないながらも、佐和子はスマホを取り出し、自分のアカウントのQRコードを映し出す。こんなふうに誰かと連絡先を交換するのは、ひさしぶりだった。少なくとも人間とは。
「また飲みに行こ! って言っても、俺も結構仕事忙しくて。なかなか誘えないかもだけど。じゃあね!」
嵐のような人だ、と佐和子は思いながら、駅の方へ消えていく彼の背中を見送った。
山吹の消えた方向を見つめながら、佐和子は手のひらをふたたび握りしめる。
「……私も、もっと頑張らなきゃ」
せっかく仕事に前向きになり始めたのだ。過去はもうどうにもならないが、今は永徳から「人間編集部員ならではの価値」を求められている。編集部の面々とも、少しずつではあるがコミュニケーションを取れるようにもなってきた。
––––もっともっと仕事をして、少しでも早く一人前になろう。
アルコールでほてった頬を両手で軽くたたき、佐和子は夜の闇の中を歩き始める。
風は生温かく、湿気っていた。
ただひたすらに先を見て、自分のことで一杯一杯になっていた佐和子は気がつかなかった。
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