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第二章 あやかし瓦版編集部に転職します
初日
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出勤初日。佐和子の新たな門出を祝うかのように、空は見事な日本晴れだった。
あやかし界の常識がどうなっているのかはわからないので、とりあえず前職の時に着ていた紺地のパンツスーツに佐和子は身を包み、肩まである茶髪はヘアゴムでうしろに纏めた。
「いってらっしゃい。あんまり張り切りすぎないで、ゆっくり頑張るのよ」
心配そうな母の様子を見て、佐和子は気まずさから目を逸らす。
「ああ……うん……」
そんな娘の様子を、不安で仕方がないと取ったのか、母は佐和子の両肩に手を置いた。
「そんなに暗い顔しないの。きっと大丈夫よ」
「うん……」
歯切れの悪い返答しかできないのは、真実を伝えていないからだ。
両親には、「知り合いの会社でアルバイトをすることになった」とだけ伝えてある。雇用契約書上は「正社員」なのだが、変に期待させるのも良くないと思い、「アルバイト」という表現にとどめたのだ。
しかしそれでも、娘がようやく外に出て働く気になったと顔を輝かせる両親の様子を見て、「働き始めた」という事実自体、もう少し黙っておけばよかったと佐和子は後悔した。
すぐに辞める可能性が高いのだから、落胆させる機会をただ与えるだけになってしまうかもしれない。
どうするのが一番良かったのかと額にしわを寄せながら、佐和子は新しい職場へと足を向けた。
自宅から永徳の屋敷までは、バスで五分、歩いてもだいたい十五分くらい。軽い散歩にはちょうど良い距離で、通勤距離がこれだけ短いのは勤務先としての長所ではある。
昨日は永徳が言っていた通り、ひさしぶりにぐっすりと眠ることができた。柚子茶の効果はてきめんで、気がついたら眠りの底に落ちていたのだ。あんなに眠れなかったのに、まるで本当の魔法のようだと佐和子は思った。
坂を下ると、右手奥におしゃれなカフェ、正面に東池公園の駐車場が視界に入る。この公園の前の道を左に曲がった先が笹野屋邸だ。
ふと公園の入り口に目を向けると、黒い無地の着物に紺色の羽織を着て、山高帽を被った男性が立っているのが見える。
––––あれは、笹野屋さん?
薄桃色の桜吹雪が舞う中に、眉目秀麗な和服の男性。風に揺れる伸びかけの黒髪の中から覗く、青い瞳がこちらを向く。一枚の絵画を見ているかのような情景に思わず立ち止まり、見惚れてしまう。
「おはよう。ずいぶん早いねえ」
声をかけられたことで現実に戻ってきた佐和子は、慌てて返答する。
「おはようございます。……え、まさか、私を待ってらしたんですか? うわあ、申し訳ありません!」
体を折り曲げるように深々と頭を下げ、恐縮した。二十分前と言わず、三十分以上前に到着するように来るべきだっただろうかと唇をかむ。
まだ朝は肌寒い早春に、編集長を外で長々待たせていたなんてあのあやかしたちに知られたら、血祭りに上げられてしまう。
「気にしないで。昨日の帰りがけ、葵さんにこれを持たせるのを忘れていたのだよ」
永徳は佐和子の手を仰向けに取ると、赤い和柄のちりめんを纏った貝殻の根付を手のひらに置いた。
「笹野屋の屋敷はね、普段は見えないように術をかけてあるんだ。葵さんがここにきた時は、うちの母のメモを持っていたから。それで辿り着くことができたんだろう。うちの屋敷にたどり着くには、笹野屋家の人間から渡された品物––––『鍵』が必要なんだよ。今日はもうメモは持っていないだろうと思って、それで待っていたんだ」
「そうだったんですね……。ありがとうございます……」
「ちなみに。その根付、『お守り』の役割も果たしているから。肌身離さずつけておくように」
「お守り……?」
「チョチョイとね、人間がこの世界で働く上での安全策を仕込んである感じかな」
手のひらに乗った根付けを凝視する。パッと見た感じでは、特に変わったところはなさそうだけれども。
––––それにしても。
わざわざ初日に編集長自ら出迎えをされて、家の鍵がわりの根付を渡されて。なんだか物凄く辞めづらくなってきてはいないだろうか。今日の職場の様子を見て、場合によっては即日辞退をするつもりだったのに。
眩しい笑顔を向けてくる永徳から目を逸らしながらも、佐和子は彼の背中について、「あやかしの巣窟」へと向かっていった。
「無理だって言いましたよね? 編集長の耳は飾りなんですか。人間の小娘の世話なんか、アタシにはできませんよっ」
襖の向こうの編集部に入って早々、永徳はあっけらかんとした様子で刹那を呼びつけた。その結果がこうである。
「まあまあ。とりあえずさあ、各社から送られてくるプレスリリースの仕分けとかからお願いしてみたらどうだい?」
「それはマイケルがやってくれてますから、手伝いはいりません。だいたい、なんで新入社員なんか雇おうと思ったんですか。十分手は足りていますよね? まずそこからご説明いただけませんか?」
捲し立てるようにそう言う刹那の剣幕に、佐和子はのけぞってしまうほどだったが。隣にいる永徳はまったく堪えることなく、変わらず緊張感のない笑顔で応対している。
「まったく、刹那は真面目だなあ」
「編集長が適当すぎるんです!」
「仕方ないなあ」
やれやれ、と両手を上にあげ、降参の格好をとった永徳は、佐和子の方に向き直る。
「刹那がご機嫌斜めのようなのでね。とりあえず葵さんには俺の仕事を手伝ってもらうことにしよう」
「誰のせいで機嫌が悪いと思ってるんですか! それにアタシの質問に答えていませんよ!」
「さあ、嫁候補殿。とりあえず逃げよう!」
「えっ、ちょっと待ってくだ……うわっ」
永徳は佐和子の手を掴むと、勢いよく駆け出した。彼が正面に向かって腕を突き出し、手をかざすと襖が勢いよく左右に開いた。その先の廊下へ佐和子を引っ張るようにして走っていく。
襖の向こうに飛び出した瞬間、突風のような強い風が吹き荒び、佐和子は思わず目を瞑った。
風が止んだかと思うと、潮の香りが鼻をつく。不思議に思って目を開けば、眼前には信じられない光景が広がっていた。
佐和子が立っていたのは、笹野屋邸の日本庭園へ続く廊下ではなく、海辺のテーマパークのような場所だったのだ。
「なにが……起こったの……?」
狐につままれたような顔で目をまるくした佐和子を見て、永徳はクックと笑う。
「見た目は人間のようでも、一応半妖だからねえ。こういうこともできるのさ」
「はあ、なるほど……」
働き始めた初日。デスクでひたすら事務作業でもすることになると思っていたのに。先輩社員に指導を断られ、編集長に手を引かれ、いつの間にかテーマパークの前に立たされている。
現実においてけぼりを食っている佐和子を面白がるような目で見た永徳は、うやうやしく彼女の目の前に手を差し出した。
「では、ワクワクドキドキのはじめてのデートと洒落込みましょうかね。嫁候補殿」
嫁候補じゃありません、というツッコミをすることさえもはや面倒になってしまった佐和子は、小さくため息をつき、もうどうにでもなれという気持ちで、彼の手を取ったのだった。
あやかし界の常識がどうなっているのかはわからないので、とりあえず前職の時に着ていた紺地のパンツスーツに佐和子は身を包み、肩まである茶髪はヘアゴムでうしろに纏めた。
「いってらっしゃい。あんまり張り切りすぎないで、ゆっくり頑張るのよ」
心配そうな母の様子を見て、佐和子は気まずさから目を逸らす。
「ああ……うん……」
そんな娘の様子を、不安で仕方がないと取ったのか、母は佐和子の両肩に手を置いた。
「そんなに暗い顔しないの。きっと大丈夫よ」
「うん……」
歯切れの悪い返答しかできないのは、真実を伝えていないからだ。
両親には、「知り合いの会社でアルバイトをすることになった」とだけ伝えてある。雇用契約書上は「正社員」なのだが、変に期待させるのも良くないと思い、「アルバイト」という表現にとどめたのだ。
しかしそれでも、娘がようやく外に出て働く気になったと顔を輝かせる両親の様子を見て、「働き始めた」という事実自体、もう少し黙っておけばよかったと佐和子は後悔した。
すぐに辞める可能性が高いのだから、落胆させる機会をただ与えるだけになってしまうかもしれない。
どうするのが一番良かったのかと額にしわを寄せながら、佐和子は新しい職場へと足を向けた。
自宅から永徳の屋敷までは、バスで五分、歩いてもだいたい十五分くらい。軽い散歩にはちょうど良い距離で、通勤距離がこれだけ短いのは勤務先としての長所ではある。
昨日は永徳が言っていた通り、ひさしぶりにぐっすりと眠ることができた。柚子茶の効果はてきめんで、気がついたら眠りの底に落ちていたのだ。あんなに眠れなかったのに、まるで本当の魔法のようだと佐和子は思った。
坂を下ると、右手奥におしゃれなカフェ、正面に東池公園の駐車場が視界に入る。この公園の前の道を左に曲がった先が笹野屋邸だ。
ふと公園の入り口に目を向けると、黒い無地の着物に紺色の羽織を着て、山高帽を被った男性が立っているのが見える。
––––あれは、笹野屋さん?
薄桃色の桜吹雪が舞う中に、眉目秀麗な和服の男性。風に揺れる伸びかけの黒髪の中から覗く、青い瞳がこちらを向く。一枚の絵画を見ているかのような情景に思わず立ち止まり、見惚れてしまう。
「おはよう。ずいぶん早いねえ」
声をかけられたことで現実に戻ってきた佐和子は、慌てて返答する。
「おはようございます。……え、まさか、私を待ってらしたんですか? うわあ、申し訳ありません!」
体を折り曲げるように深々と頭を下げ、恐縮した。二十分前と言わず、三十分以上前に到着するように来るべきだっただろうかと唇をかむ。
まだ朝は肌寒い早春に、編集長を外で長々待たせていたなんてあのあやかしたちに知られたら、血祭りに上げられてしまう。
「気にしないで。昨日の帰りがけ、葵さんにこれを持たせるのを忘れていたのだよ」
永徳は佐和子の手を仰向けに取ると、赤い和柄のちりめんを纏った貝殻の根付を手のひらに置いた。
「笹野屋の屋敷はね、普段は見えないように術をかけてあるんだ。葵さんがここにきた時は、うちの母のメモを持っていたから。それで辿り着くことができたんだろう。うちの屋敷にたどり着くには、笹野屋家の人間から渡された品物––––『鍵』が必要なんだよ。今日はもうメモは持っていないだろうと思って、それで待っていたんだ」
「そうだったんですね……。ありがとうございます……」
「ちなみに。その根付、『お守り』の役割も果たしているから。肌身離さずつけておくように」
「お守り……?」
「チョチョイとね、人間がこの世界で働く上での安全策を仕込んである感じかな」
手のひらに乗った根付けを凝視する。パッと見た感じでは、特に変わったところはなさそうだけれども。
––––それにしても。
わざわざ初日に編集長自ら出迎えをされて、家の鍵がわりの根付を渡されて。なんだか物凄く辞めづらくなってきてはいないだろうか。今日の職場の様子を見て、場合によっては即日辞退をするつもりだったのに。
眩しい笑顔を向けてくる永徳から目を逸らしながらも、佐和子は彼の背中について、「あやかしの巣窟」へと向かっていった。
「無理だって言いましたよね? 編集長の耳は飾りなんですか。人間の小娘の世話なんか、アタシにはできませんよっ」
襖の向こうの編集部に入って早々、永徳はあっけらかんとした様子で刹那を呼びつけた。その結果がこうである。
「まあまあ。とりあえずさあ、各社から送られてくるプレスリリースの仕分けとかからお願いしてみたらどうだい?」
「それはマイケルがやってくれてますから、手伝いはいりません。だいたい、なんで新入社員なんか雇おうと思ったんですか。十分手は足りていますよね? まずそこからご説明いただけませんか?」
捲し立てるようにそう言う刹那の剣幕に、佐和子はのけぞってしまうほどだったが。隣にいる永徳はまったく堪えることなく、変わらず緊張感のない笑顔で応対している。
「まったく、刹那は真面目だなあ」
「編集長が適当すぎるんです!」
「仕方ないなあ」
やれやれ、と両手を上にあげ、降参の格好をとった永徳は、佐和子の方に向き直る。
「刹那がご機嫌斜めのようなのでね。とりあえず葵さんには俺の仕事を手伝ってもらうことにしよう」
「誰のせいで機嫌が悪いと思ってるんですか! それにアタシの質問に答えていませんよ!」
「さあ、嫁候補殿。とりあえず逃げよう!」
「えっ、ちょっと待ってくだ……うわっ」
永徳は佐和子の手を掴むと、勢いよく駆け出した。彼が正面に向かって腕を突き出し、手をかざすと襖が勢いよく左右に開いた。その先の廊下へ佐和子を引っ張るようにして走っていく。
襖の向こうに飛び出した瞬間、突風のような強い風が吹き荒び、佐和子は思わず目を瞑った。
風が止んだかと思うと、潮の香りが鼻をつく。不思議に思って目を開けば、眼前には信じられない光景が広がっていた。
佐和子が立っていたのは、笹野屋邸の日本庭園へ続く廊下ではなく、海辺のテーマパークのような場所だったのだ。
「なにが……起こったの……?」
狐につままれたような顔で目をまるくした佐和子を見て、永徳はクックと笑う。
「見た目は人間のようでも、一応半妖だからねえ。こういうこともできるのさ」
「はあ、なるほど……」
働き始めた初日。デスクでひたすら事務作業でもすることになると思っていたのに。先輩社員に指導を断られ、編集長に手を引かれ、いつの間にかテーマパークの前に立たされている。
現実においてけぼりを食っている佐和子を面白がるような目で見た永徳は、うやうやしく彼女の目の前に手を差し出した。
「では、ワクワクドキドキのはじめてのデートと洒落込みましょうかね。嫁候補殿」
嫁候補じゃありません、というツッコミをすることさえもはや面倒になってしまった佐和子は、小さくため息をつき、もうどうにでもなれという気持ちで、彼の手を取ったのだった。
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