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第3話
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わたしが生まれ育った霧之谷という町は、人口五千人ほどの山間の小さな町だ。
農業就業率が高く、観光資源はほぼ皆無。良く言えば自然豊か。悪く言えば閉鎖的で排他的。いまだに杓子定規で前例を墨守し、昔ながらの有力者がふんぞり返って政治を動かしているような、そんな町である。
実家は、いわゆる地主で、わたしは周囲から〝三枝のお嬢さん〟と呼ばれていた。とくにつらい思いをしたことはない。皆、わたしとの距離を絶妙に保ち、近づきすぎないよう意識していたから。
理由は二つ。
一つは、建設会社を経営し、地元の雇用に大きく貢献している父の機嫌を損ねないようにするため。そしてもう一つは、現町長の息子の許嫁に、可能なかぎり関わらないようにするためだ。
現町長の息子——柘植亮介は、父親の権威を笠に着て、幼い頃から横暴な振る舞いを繰り返していた。欲しいものはどんな手段を使っても手に入れ、いらないものはゴミのように扱った。たとえそれが、人間でも。
アイツにとっては、わたしもただの〝物〟。許嫁という名の〝所有物〟なのだ。
わたしは、あの町が嫌いだ。
不条理だと嘆きながら変わろうとしない住民も、地位や名誉に固執する父も、世間体ばかり気にする母も、町長も、アイツも。
だけど、一番嫌いなのは——
何もできない、愚かで無力な自分だ。
* * *
十一月も半ばになり、季節は一気に冬へと近づいた。
頭上に広がる水色と橙色のグラデーション。夕方になると、とたんに空が侘しく感じられる。
講義終了後。大学からの帰り道。
駅前のスーパーで食材を買い込むと、わたしは風立つ家路を歩いた。
ジャガイモ、ニンジン、タマネギ、鶏肉、数種のチーズにその他諸々。今夜のメニューは、ポテトグラタンだ。
この日、葉月さんが休みということで、夕飯をご一緒することになった。場所は、わたしの部屋。定休日以外で滅多に休む機会のない彼に対し、「是非ご馳走させてください」と申し出た。
最初は首を縦に振ることを渋っていた彼だったが、わたしの再三の懇請に、つい昨日了承してくれた。
彼のために何かしたい。自分にできることなんて限られているけれど、少しでもできることを、何か。
そんなふうに意気込んでいた折。
「……あれ?」
ぱっと視界に収まった、一風変わった景色に、わたしは思わず立ち止まった。
十数メートル先。葉月さんのマンション。
道路に面したエントランス前の広場に、二つの人影を見つけた。
一人は葉月さん。もう一人は、知らない男性だった。
エリート商社マンか何かだろうか。ダークスーツを見事に着こなすその男性は、実にスマートでスタイリッシュな風貌をしていた。
「相変わらず細いな。ちゃんと飯食ってるのか?」
「ほっといてくれ。それより何の用だよ」
「いい加減、実家に顔出せって言ってるだろ。少しでいいから。あの人も心配してる」
「今さらだな。俺ももういい年で自立してるんだ。そうまでして俺を家に縛りつけたいのか、あの人は」
「……っ、だからそういう話じゃないんだって」
互いに腕を組み、〝会話〟というよりも〝言い合い〟をしている。距離があるため中身を聞き取ることはできないが、どうも穏やかではなさそうだ。
どうしよう。このまま止まってるわけにもいかないし、わたしのマンションそっちだし、ずっと突っ立ってるのも不自然だし。……裏道から回って、向こう側に出ようかな。でもそんなことして何か意味ある?
「……美波?」
「!」
ぐるぐると考えを巡らせていると、葉月さんとばちっと目が合った。
直前までの尖った空気を脱ぎ捨て、わたしのほうへと駆け寄ってくる。彼の柔和な表情に感化され、わたしも彼に歩み寄った。
「おかえり」
「ただいまです」
優しい声。優しい笑顔。いつもの葉月さんだ。
しかし、ほっと胸を撫で下ろしたのもつかの間。
「おい、葉月!」
後ろから、エリート商社マン(仮)の彼が、葉月さんを追いかけてきた。
気どらずセットされた黒髪。襟足も丁寧に刈り上げられている。近くで見ると、ますますスマートでスタイリッシュだ。
「しつこいぞ、伊織。何度言われたって、俺の気持ちは変わらないから」
「っとに頑固だな! たまには兄ちゃん孝行してくれよ!」
「うるさい」
ぎゃいぎゃいと、淡々と、まるで寸劇のように言い合う二人。……そう、寸劇。遠目ではわからなかったが、もしかするとこの二人、さして険悪でもないのかもしれない。
それよりも、エリート商社マン(仮)の彼が放ったある単語に、わたしは小首を傾げてしまった。
……〝兄ちゃん〟?
「まあいいや。とりあえず今日は。……で、こちらの可愛らしいお嬢さんは?」
「俺の彼女」
「ふーん、かの…………えぇっ!?」
「美波。こっちのうるさいの、俺の兄貴。たぶんそんなに会うことはない……っていうか会わなくていいけど、一応紹介しとくね」
葉月さんが、親指でくいっと雑に紹介する。
予期せぬ対面に停止する思考。心の準備など微塵もできていなかったため、衝撃で返答に窮してしまった。が、それ以上に、葉月さんがわたしのことを、なんの躊躇もなく〝彼女〟だと紹介したことに驚き、目を丸くした。
お兄さんも、ぽかんと口を開けたまま硬直している。まるで石像だ。
「……で、いつまでいるんだよ。まだ仕事あるんだろ? 早く戻れよ」
「いやいや、落ち着いて動揺くらいさせてくれよ、思考が追いつかないんだよ」
お兄さんの言動から、相当困惑している様子が窺える。
ポイントはいくつかあるだろうが、一番はやはり年の差だろう。こんな小娘が弟の彼女だなんて、驚くなというほうが無理である。
寒さに加え、申し訳なさに身を縮める。いろんな意味を込めてぺこりと黙礼すると、お兄さんのほうから話しかけてくれた。
「えー、と……みなみちゃん、だっけ?」
「……え? あっ、はい! 三枝美波と申します……!」
「ああ、堅くならないで。ラフな感じで話してくれて全然構わないから。俺は、水瀬伊織。葉月とは、二つ離れてるんだ」
先ほどよりも深くお辞儀をして自己紹介すれば、お兄さんは温顔を綻ばせてこう返してくれた。
細身は細身だが、葉月さんよりも肩幅が広くて雄々しい印象のお兄さん。身長も、たぶん百八十を超えている。
けれど、顔は葉月さんとよく似ている。凜とした目元がとくに。
「もういいだろ。早く仕事戻れって」
「あっ、ちょっ、押すな葉月! なんでそんな邪険にするんだよ!」
「長居すると絶対余計なこと喋るだろ」
「余計なことって? お前が昔ヤンチャしてたとか?」
「……」
「あーっ、悪かった! 悪かったって! もう言わないからっ!」
無言で凄む葉月さんに、必死に謝り倒すお兄さん。
やっぱり険悪なんかじゃなかった。むしろその逆だ。この二人、きっとすごく仲がいい。
兄弟のやりとりが、なんだか楽しくて、あまりにも微笑ましくて、
「ふふっ」
わたしは、思わず笑ってしまった。
「ほらー、みなみちゃんに笑われた」
「誰のせいだよ……」
「あっ……ご、ごめんなさい! 違うんです! 面白いとか、可笑しいってことじゃなくて、その……」
両手を体の前でぶんぶんと振り、慌てて弁明する。けっして嘲笑ったわけではない。そんなつもりなんて毛頭ない。
一呼吸置いた後。不思議そうな面持ちでわたしの二の句を待つ二人に対し、伏し目がちにこう続けた。
「わたし、一人っ子だから……お二人のやりとりを見て、とても素敵だなって思って……」
頬を緩めて「羨ましいです」と付け加えれば、嬉しそうに花を飛ばしたお兄さんを、葉月さんがジト目で睨んだ。
わたしたちの頭上を、黄金色に輝く茜雲が流れていく。
柔らかな夕空が、夜の帳を連れてくる。
「さて、と。これ以上葉月にヘイト溜められたくないし、そろそろ仕事に戻ろうかな」
茶目っ気たっぷりにこう言うと、お兄さんは右手首の時計を確認した。時刻は午後五時を回ったところだが、これからまた仕事だなんて、エリート商社マン(仮)は大変だ。
「ありがとう、みなみちゃん。今日、会えてよかった」
「こちらこそ、ありがとうございました」
「……ちょっといい?」
「え?」
突然、腕を伸ばしながら、お兄さんが歩み寄ってきた。
ふわりと肩に落とされた手のひら。虚を衝かれて目をしぱしぱさせていると、耳元でぽそりと囁く声がした。
「葉月を見てると、君のことが本当に大事なんだなってよくわかる。兄貴の欲目で申し訳ないけど、すごくいいやつなんだ。……だから、できるだけ一緒にいてやって」
わたしにしか聞こえないほどの小さな声。
小さな、でも、眩しいくらいに鮮烈な声。
かけられた言葉をすぐに消化できず固まっていると、葉月さんがわたしから離すようにお兄さんを突き飛ばした。ガルルと唸り、威嚇する。お兄さんは相変わらず愉しそうだ。
「じゃあな、葉月。また来るから」
「もう来るな!」
吠える葉月さんにも笑みを崩さず、お兄さんは近くに止めてあった黒塗りの高級車に乗り込んだ。エンジンをかけ、ひらひらと手を振りながらアクセルをふかす。
今しがた胸に灯った明かりを、そっと抱き締めながら。
わたしは、頭を下げてお兄さんを見送った。
*
——ピーッ。
オーブンの終了音に呼ばれ、中を確認する。
香ばしいチーズの匂い。久々だったが、今宵のポテトグラタンもおそらく成功だ。
あれから場所をわたしのマンションへと移し、すぐに調理を開始した。案の定、葉月さんは手伝うと言ってくれたけれど、その申し出は丁重にお断りした。
現在、彼はリビングで待機中。扉を開けていれば、こちらのダイニングキッチンと一続きゆえ、会話をしながら調理できる。
……それにしても似合いすぎでは?
視線の先には、ソファに座る彼……の膝に座る、大きな黒猫のぬいぐるみ。
以前、某アニメ映画に出てくる毒舌にゃんこが大好きだと陽子ちゃんに伝えたら、今年の誕生日に彼女がプレゼントしてくれた。
付き合い初めて三ヶ月と少し。何度かわたしの部屋に来たことのある葉月さんだが、ああしてぬいぐるみを抱きかかえて座るのが定例となっている。
「萌え死にそう……」
「ん? 何か言った? 手伝おうか?」
「あっ、いえ! 大丈夫です! 焼き上がったので、こっちで食べましょう」
やばい。つい心の声が漏れ出てしまった。自重しなきゃ。
よこしまな気持ちをいったん横へ置き、二人分の耐熱皿をテーブルに並べる。グツグツと音を立てて煮立つホワイトソース。その上に敷き詰めたチーズがきつね色に焦げ、恐ろしいくらいに食欲をそそる。
「うわ。めちゃくちゃ美味しそう」
「ありがとうございます。葉月さんの料理には劣りますけど」
「ううん、そんなことないよ。俺、美波の料理すごい好き」
ポテトグラタンにアボカドサラダ。それから、溶き卵のコンソメスープ。葉月さんは、そのすべてを美味しそうに食べてくれた。
料理上手な彼に振る舞うのは、とても緊張する。でも、彼のこんな顔が見られるのなら、彼とこんな時間を過ごせるのなら、もっともっとがんばりたいと思った。
食後の片づけは、いよいよ我慢できなくなった葉月さんにお願いすることにした。
さすがはバーの店員。食器もテーブルも、食べる前より綺麗になった。そして何より手際がいい。
「はい、コーヒー」
「あ、ありがとうございます」
じっと見入っていると、食後のコーヒーまで出てきた。なんて贅沢。
彼の淹れるコーヒーは美味しい。たとえそれがインスタントでも。やっぱり何かコツがあるのだろうか。不思議だ。
「ごめんね、美波。伊織うるさかったでしょ?」
「え?」
リビングのソファで葉月さんと二人。
二杯目のコーヒーを堪能していると、不意に彼から謝罪の言葉をかけられた。内容は、先ほど半端ない存在感を醸し出していたお兄さんのこと。
「全然そんなことないですよ。お会いできてよかったです」
「最後何言われたの?」
「え? あー、と……」
「あー……やっぱいいや、言わなくて。ごめんね」
隠す意図などまったくない。まったくないけれど、なんとなく言い淀んでしまった。お兄さんが、わざわざ葉月さんに聞こえないように言った言葉を口外するのは、どうにも憚られる。
彼もそれを感取してくれたようで、出した疑問符はすぐに引っ込めてくれた。ここだけ切り取ってみても、彼がお兄さんのことをかなり信用していることが窺える。
「素敵なお兄さんですね」
にこっと笑って伝えれば、葉月さんがほんの少し照れたように目を逸らした。大人な彼の貴重な一面。なんだかすごく嬉しい。
そのまま黙ってコーヒーを飲んでいた彼だったが、ややあって、形のいいその唇をゆっくりと持ち上げた。
「伊織が言ってたでしょ? 俺が昔ヤンチャしてたって。……俺、中学から高校の頃、相当荒れててさ。親とはろくに顔も合わせなくて、向こうも俺に関心なくて。唯一、伊織だけが、俺のこと諦めないでいてくれたんだ」
彼が語ってくれたのは、彼自身の過去。
彼とお兄さんの、大切な過去だった。
「未熟な自分の憂さを晴らすためにケンカして、他人を傷つけて……ほんと馬鹿だった。挙げ句『大学行きたい』なんて虫がいい考え、通用しないと思ってたんだけど……自分も勉強忙しいのに、俺の受験の面倒見てくれてね」
そのとき、生まれて初めて目標ができたのだと彼は言った。お兄さんのために必ず現役合格するという目標。けっして低い目標ではなかったけれど、彼は見事成し遂げた。
彼が法学部を卒業していることは知っていた。一時は大学院へ進むことも考えたが、当時バイトしていたバーにそのまま就職したことも。
だが、そこに至るまでの時間が、お兄さんと一緒に積み上げられてきたものだとは知らなかった。兄弟の絆、その強さに、深い感銘を受ける。
「……お二人とも、すごいですね」
「え? ううん。すごいのは伊織。俺は全然すごくないよ」
「そんなことありません。お兄さんはもちろんですけど、葉月さんだってすごいです。一念発起して大学受験なんて、なかなかできることじゃないですよ。……尊敬します」
「……美波?」
不思議そうに、心配そうに、葉月さんがわたしの顔を覗き込む。
わたしは今、いったいどんな顔をしているのだろう。口元が引き攣り、強張っていくのを感じる。視界が、滲む。
彼の過去の一端に触れ、その反発力や行動力に感服した。同時に、自分の愚かさと無力さを、改めて思い知らされた。
自分の面倒事に彼を巻き込むわけにはいかない。今の自分は彼に到底相応しくない。彼のことを大事に思っているお兄さんにも申し訳ない。
問題点は明白なのに、具体的な解決策など何も浮かばないまま、ただ時間だけが過ぎていく。
「……葉月さん」
「ん?」
焦りだけが募っていく。
「抱いて、くれませんか……」
「え……?」
彼への想いだけが、大きくなっていく。
「好きです、葉月さん……大好きなんです……ごめんなさい、ごめんなさい……っ、ごめ、なさ——」
言葉の後端は、彼の舌によって絡め取られた。直前まで飲んでいたコーヒーの香りが、甘みを増して鼻から抜けていく。
「ふっ……ん……ぅ」
銀糸を垂らしながらわたしの舌を解放すると、次に彼は首筋から鎖骨に向かって舌を這わせていった。いとも容易く脱がされたトップス。片手で外されたブラのホック。
彼に抱かれる準備が整うまで、それほど時間はかからなかった。
「美波が今何を抱えてるのかわからないけど、少しでも不安が和らぐなら、いくらでも抱いてあげる。……だから、そんな顔しないで」
彼に抱えられ、ソファから隣のベッドへと移動する。わたしが纏っている布をすべて取り去ると、彼は上半身だけ絨毯の上に脱ぎ捨てた。
ジーンズ越しでもわかるほどの膨らみに、わたしの下腹部がうねりを上げる。彼を求めて無意識に揺れる腰。自分のはしたなさに羞恥を覚えるも、本能がそれを掻き乱す。
「っ——!」
ぬかるんだ膣の中に、二本、彼の指が入ってきた。長いほうの指でお腹側を押し上げられ、喉の奥で小さく悲鳴を上げる。
でも。
「……っ、要らな、い……」
「何が? 前戯?」
この質問に、無言で数回頷く。
滾る熱でどうにかなりそうな意識を必死に結いつけ、わたしは叫ぶように懇願した。
「葉月さんが欲しい……今すぐ……お願い、早く来てっ!!」
「……っ、美波……!!」
わたしの上に、髪を振り乱した彼が覆い被さった。
荒い息。炯る双眼。
彼は、ジーンズを半分だけ下ろし、トランクスから、なかば引き抜くように屹立したペニスを取り出すと、荒々しくゴムを着けて一気に捻じ込んだ。
「あぁ……っ!!」
嬌声、ではなく、叫声。最奥を穿たれた衝撃はすぐさま快感へと変わり、頭から爪先まで電流が駆け巡る。
どれだけ彼が激しく腰を打ちつけても、蜜で溢れ返ったわたしの中は、滑らかに彼を受け容れた。
「あっ、んぁ……はっ……あぁんっ」
怖い。感じすぎて。
怖い。自分が、自分じゃなくなりそうで。
「ん……っ、あっ……葉月、さ……」
「うん。大丈夫、俺はここにいるよ」
快楽と恐怖に溺れながら縋りつくように腕を伸ばせば、彼はそっと手を取り口づけてくれた。
彼の優しさが、ぬくもりが、空虚な穴を埋めて満たしてくれる。
とろとろに、溶かしてくれる。
「あっ、イく……あっ、あっ、あぁあぁぁ……っ!!」
「……っ——」
体が悦びに仰け反った瞬間。
わたしの体を抱え込むように支え、彼は深々と射精した。
独特の気怠さを共有する間もなく、再度行為に及ぶ。ぐちゃぐちゃになって、互いを求め合う。
この日のセックスは、間違いなく、今までで一番激しいものだった。
——もっと俺を頼ってくれていいんだよ。
しだいに混濁する意識の中。
彼の哀艶な声が、聞こえた気がした。
農業就業率が高く、観光資源はほぼ皆無。良く言えば自然豊か。悪く言えば閉鎖的で排他的。いまだに杓子定規で前例を墨守し、昔ながらの有力者がふんぞり返って政治を動かしているような、そんな町である。
実家は、いわゆる地主で、わたしは周囲から〝三枝のお嬢さん〟と呼ばれていた。とくにつらい思いをしたことはない。皆、わたしとの距離を絶妙に保ち、近づきすぎないよう意識していたから。
理由は二つ。
一つは、建設会社を経営し、地元の雇用に大きく貢献している父の機嫌を損ねないようにするため。そしてもう一つは、現町長の息子の許嫁に、可能なかぎり関わらないようにするためだ。
現町長の息子——柘植亮介は、父親の権威を笠に着て、幼い頃から横暴な振る舞いを繰り返していた。欲しいものはどんな手段を使っても手に入れ、いらないものはゴミのように扱った。たとえそれが、人間でも。
アイツにとっては、わたしもただの〝物〟。許嫁という名の〝所有物〟なのだ。
わたしは、あの町が嫌いだ。
不条理だと嘆きながら変わろうとしない住民も、地位や名誉に固執する父も、世間体ばかり気にする母も、町長も、アイツも。
だけど、一番嫌いなのは——
何もできない、愚かで無力な自分だ。
* * *
十一月も半ばになり、季節は一気に冬へと近づいた。
頭上に広がる水色と橙色のグラデーション。夕方になると、とたんに空が侘しく感じられる。
講義終了後。大学からの帰り道。
駅前のスーパーで食材を買い込むと、わたしは風立つ家路を歩いた。
ジャガイモ、ニンジン、タマネギ、鶏肉、数種のチーズにその他諸々。今夜のメニューは、ポテトグラタンだ。
この日、葉月さんが休みということで、夕飯をご一緒することになった。場所は、わたしの部屋。定休日以外で滅多に休む機会のない彼に対し、「是非ご馳走させてください」と申し出た。
最初は首を縦に振ることを渋っていた彼だったが、わたしの再三の懇請に、つい昨日了承してくれた。
彼のために何かしたい。自分にできることなんて限られているけれど、少しでもできることを、何か。
そんなふうに意気込んでいた折。
「……あれ?」
ぱっと視界に収まった、一風変わった景色に、わたしは思わず立ち止まった。
十数メートル先。葉月さんのマンション。
道路に面したエントランス前の広場に、二つの人影を見つけた。
一人は葉月さん。もう一人は、知らない男性だった。
エリート商社マンか何かだろうか。ダークスーツを見事に着こなすその男性は、実にスマートでスタイリッシュな風貌をしていた。
「相変わらず細いな。ちゃんと飯食ってるのか?」
「ほっといてくれ。それより何の用だよ」
「いい加減、実家に顔出せって言ってるだろ。少しでいいから。あの人も心配してる」
「今さらだな。俺ももういい年で自立してるんだ。そうまでして俺を家に縛りつけたいのか、あの人は」
「……っ、だからそういう話じゃないんだって」
互いに腕を組み、〝会話〟というよりも〝言い合い〟をしている。距離があるため中身を聞き取ることはできないが、どうも穏やかではなさそうだ。
どうしよう。このまま止まってるわけにもいかないし、わたしのマンションそっちだし、ずっと突っ立ってるのも不自然だし。……裏道から回って、向こう側に出ようかな。でもそんなことして何か意味ある?
「……美波?」
「!」
ぐるぐると考えを巡らせていると、葉月さんとばちっと目が合った。
直前までの尖った空気を脱ぎ捨て、わたしのほうへと駆け寄ってくる。彼の柔和な表情に感化され、わたしも彼に歩み寄った。
「おかえり」
「ただいまです」
優しい声。優しい笑顔。いつもの葉月さんだ。
しかし、ほっと胸を撫で下ろしたのもつかの間。
「おい、葉月!」
後ろから、エリート商社マン(仮)の彼が、葉月さんを追いかけてきた。
気どらずセットされた黒髪。襟足も丁寧に刈り上げられている。近くで見ると、ますますスマートでスタイリッシュだ。
「しつこいぞ、伊織。何度言われたって、俺の気持ちは変わらないから」
「っとに頑固だな! たまには兄ちゃん孝行してくれよ!」
「うるさい」
ぎゃいぎゃいと、淡々と、まるで寸劇のように言い合う二人。……そう、寸劇。遠目ではわからなかったが、もしかするとこの二人、さして険悪でもないのかもしれない。
それよりも、エリート商社マン(仮)の彼が放ったある単語に、わたしは小首を傾げてしまった。
……〝兄ちゃん〟?
「まあいいや。とりあえず今日は。……で、こちらの可愛らしいお嬢さんは?」
「俺の彼女」
「ふーん、かの…………えぇっ!?」
「美波。こっちのうるさいの、俺の兄貴。たぶんそんなに会うことはない……っていうか会わなくていいけど、一応紹介しとくね」
葉月さんが、親指でくいっと雑に紹介する。
予期せぬ対面に停止する思考。心の準備など微塵もできていなかったため、衝撃で返答に窮してしまった。が、それ以上に、葉月さんがわたしのことを、なんの躊躇もなく〝彼女〟だと紹介したことに驚き、目を丸くした。
お兄さんも、ぽかんと口を開けたまま硬直している。まるで石像だ。
「……で、いつまでいるんだよ。まだ仕事あるんだろ? 早く戻れよ」
「いやいや、落ち着いて動揺くらいさせてくれよ、思考が追いつかないんだよ」
お兄さんの言動から、相当困惑している様子が窺える。
ポイントはいくつかあるだろうが、一番はやはり年の差だろう。こんな小娘が弟の彼女だなんて、驚くなというほうが無理である。
寒さに加え、申し訳なさに身を縮める。いろんな意味を込めてぺこりと黙礼すると、お兄さんのほうから話しかけてくれた。
「えー、と……みなみちゃん、だっけ?」
「……え? あっ、はい! 三枝美波と申します……!」
「ああ、堅くならないで。ラフな感じで話してくれて全然構わないから。俺は、水瀬伊織。葉月とは、二つ離れてるんだ」
先ほどよりも深くお辞儀をして自己紹介すれば、お兄さんは温顔を綻ばせてこう返してくれた。
細身は細身だが、葉月さんよりも肩幅が広くて雄々しい印象のお兄さん。身長も、たぶん百八十を超えている。
けれど、顔は葉月さんとよく似ている。凜とした目元がとくに。
「もういいだろ。早く仕事戻れって」
「あっ、ちょっ、押すな葉月! なんでそんな邪険にするんだよ!」
「長居すると絶対余計なこと喋るだろ」
「余計なことって? お前が昔ヤンチャしてたとか?」
「……」
「あーっ、悪かった! 悪かったって! もう言わないからっ!」
無言で凄む葉月さんに、必死に謝り倒すお兄さん。
やっぱり険悪なんかじゃなかった。むしろその逆だ。この二人、きっとすごく仲がいい。
兄弟のやりとりが、なんだか楽しくて、あまりにも微笑ましくて、
「ふふっ」
わたしは、思わず笑ってしまった。
「ほらー、みなみちゃんに笑われた」
「誰のせいだよ……」
「あっ……ご、ごめんなさい! 違うんです! 面白いとか、可笑しいってことじゃなくて、その……」
両手を体の前でぶんぶんと振り、慌てて弁明する。けっして嘲笑ったわけではない。そんなつもりなんて毛頭ない。
一呼吸置いた後。不思議そうな面持ちでわたしの二の句を待つ二人に対し、伏し目がちにこう続けた。
「わたし、一人っ子だから……お二人のやりとりを見て、とても素敵だなって思って……」
頬を緩めて「羨ましいです」と付け加えれば、嬉しそうに花を飛ばしたお兄さんを、葉月さんがジト目で睨んだ。
わたしたちの頭上を、黄金色に輝く茜雲が流れていく。
柔らかな夕空が、夜の帳を連れてくる。
「さて、と。これ以上葉月にヘイト溜められたくないし、そろそろ仕事に戻ろうかな」
茶目っ気たっぷりにこう言うと、お兄さんは右手首の時計を確認した。時刻は午後五時を回ったところだが、これからまた仕事だなんて、エリート商社マン(仮)は大変だ。
「ありがとう、みなみちゃん。今日、会えてよかった」
「こちらこそ、ありがとうございました」
「……ちょっといい?」
「え?」
突然、腕を伸ばしながら、お兄さんが歩み寄ってきた。
ふわりと肩に落とされた手のひら。虚を衝かれて目をしぱしぱさせていると、耳元でぽそりと囁く声がした。
「葉月を見てると、君のことが本当に大事なんだなってよくわかる。兄貴の欲目で申し訳ないけど、すごくいいやつなんだ。……だから、できるだけ一緒にいてやって」
わたしにしか聞こえないほどの小さな声。
小さな、でも、眩しいくらいに鮮烈な声。
かけられた言葉をすぐに消化できず固まっていると、葉月さんがわたしから離すようにお兄さんを突き飛ばした。ガルルと唸り、威嚇する。お兄さんは相変わらず愉しそうだ。
「じゃあな、葉月。また来るから」
「もう来るな!」
吠える葉月さんにも笑みを崩さず、お兄さんは近くに止めてあった黒塗りの高級車に乗り込んだ。エンジンをかけ、ひらひらと手を振りながらアクセルをふかす。
今しがた胸に灯った明かりを、そっと抱き締めながら。
わたしは、頭を下げてお兄さんを見送った。
*
——ピーッ。
オーブンの終了音に呼ばれ、中を確認する。
香ばしいチーズの匂い。久々だったが、今宵のポテトグラタンもおそらく成功だ。
あれから場所をわたしのマンションへと移し、すぐに調理を開始した。案の定、葉月さんは手伝うと言ってくれたけれど、その申し出は丁重にお断りした。
現在、彼はリビングで待機中。扉を開けていれば、こちらのダイニングキッチンと一続きゆえ、会話をしながら調理できる。
……それにしても似合いすぎでは?
視線の先には、ソファに座る彼……の膝に座る、大きな黒猫のぬいぐるみ。
以前、某アニメ映画に出てくる毒舌にゃんこが大好きだと陽子ちゃんに伝えたら、今年の誕生日に彼女がプレゼントしてくれた。
付き合い初めて三ヶ月と少し。何度かわたしの部屋に来たことのある葉月さんだが、ああしてぬいぐるみを抱きかかえて座るのが定例となっている。
「萌え死にそう……」
「ん? 何か言った? 手伝おうか?」
「あっ、いえ! 大丈夫です! 焼き上がったので、こっちで食べましょう」
やばい。つい心の声が漏れ出てしまった。自重しなきゃ。
よこしまな気持ちをいったん横へ置き、二人分の耐熱皿をテーブルに並べる。グツグツと音を立てて煮立つホワイトソース。その上に敷き詰めたチーズがきつね色に焦げ、恐ろしいくらいに食欲をそそる。
「うわ。めちゃくちゃ美味しそう」
「ありがとうございます。葉月さんの料理には劣りますけど」
「ううん、そんなことないよ。俺、美波の料理すごい好き」
ポテトグラタンにアボカドサラダ。それから、溶き卵のコンソメスープ。葉月さんは、そのすべてを美味しそうに食べてくれた。
料理上手な彼に振る舞うのは、とても緊張する。でも、彼のこんな顔が見られるのなら、彼とこんな時間を過ごせるのなら、もっともっとがんばりたいと思った。
食後の片づけは、いよいよ我慢できなくなった葉月さんにお願いすることにした。
さすがはバーの店員。食器もテーブルも、食べる前より綺麗になった。そして何より手際がいい。
「はい、コーヒー」
「あ、ありがとうございます」
じっと見入っていると、食後のコーヒーまで出てきた。なんて贅沢。
彼の淹れるコーヒーは美味しい。たとえそれがインスタントでも。やっぱり何かコツがあるのだろうか。不思議だ。
「ごめんね、美波。伊織うるさかったでしょ?」
「え?」
リビングのソファで葉月さんと二人。
二杯目のコーヒーを堪能していると、不意に彼から謝罪の言葉をかけられた。内容は、先ほど半端ない存在感を醸し出していたお兄さんのこと。
「全然そんなことないですよ。お会いできてよかったです」
「最後何言われたの?」
「え? あー、と……」
「あー……やっぱいいや、言わなくて。ごめんね」
隠す意図などまったくない。まったくないけれど、なんとなく言い淀んでしまった。お兄さんが、わざわざ葉月さんに聞こえないように言った言葉を口外するのは、どうにも憚られる。
彼もそれを感取してくれたようで、出した疑問符はすぐに引っ込めてくれた。ここだけ切り取ってみても、彼がお兄さんのことをかなり信用していることが窺える。
「素敵なお兄さんですね」
にこっと笑って伝えれば、葉月さんがほんの少し照れたように目を逸らした。大人な彼の貴重な一面。なんだかすごく嬉しい。
そのまま黙ってコーヒーを飲んでいた彼だったが、ややあって、形のいいその唇をゆっくりと持ち上げた。
「伊織が言ってたでしょ? 俺が昔ヤンチャしてたって。……俺、中学から高校の頃、相当荒れててさ。親とはろくに顔も合わせなくて、向こうも俺に関心なくて。唯一、伊織だけが、俺のこと諦めないでいてくれたんだ」
彼が語ってくれたのは、彼自身の過去。
彼とお兄さんの、大切な過去だった。
「未熟な自分の憂さを晴らすためにケンカして、他人を傷つけて……ほんと馬鹿だった。挙げ句『大学行きたい』なんて虫がいい考え、通用しないと思ってたんだけど……自分も勉強忙しいのに、俺の受験の面倒見てくれてね」
そのとき、生まれて初めて目標ができたのだと彼は言った。お兄さんのために必ず現役合格するという目標。けっして低い目標ではなかったけれど、彼は見事成し遂げた。
彼が法学部を卒業していることは知っていた。一時は大学院へ進むことも考えたが、当時バイトしていたバーにそのまま就職したことも。
だが、そこに至るまでの時間が、お兄さんと一緒に積み上げられてきたものだとは知らなかった。兄弟の絆、その強さに、深い感銘を受ける。
「……お二人とも、すごいですね」
「え? ううん。すごいのは伊織。俺は全然すごくないよ」
「そんなことありません。お兄さんはもちろんですけど、葉月さんだってすごいです。一念発起して大学受験なんて、なかなかできることじゃないですよ。……尊敬します」
「……美波?」
不思議そうに、心配そうに、葉月さんがわたしの顔を覗き込む。
わたしは今、いったいどんな顔をしているのだろう。口元が引き攣り、強張っていくのを感じる。視界が、滲む。
彼の過去の一端に触れ、その反発力や行動力に感服した。同時に、自分の愚かさと無力さを、改めて思い知らされた。
自分の面倒事に彼を巻き込むわけにはいかない。今の自分は彼に到底相応しくない。彼のことを大事に思っているお兄さんにも申し訳ない。
問題点は明白なのに、具体的な解決策など何も浮かばないまま、ただ時間だけが過ぎていく。
「……葉月さん」
「ん?」
焦りだけが募っていく。
「抱いて、くれませんか……」
「え……?」
彼への想いだけが、大きくなっていく。
「好きです、葉月さん……大好きなんです……ごめんなさい、ごめんなさい……っ、ごめ、なさ——」
言葉の後端は、彼の舌によって絡め取られた。直前まで飲んでいたコーヒーの香りが、甘みを増して鼻から抜けていく。
「ふっ……ん……ぅ」
銀糸を垂らしながらわたしの舌を解放すると、次に彼は首筋から鎖骨に向かって舌を這わせていった。いとも容易く脱がされたトップス。片手で外されたブラのホック。
彼に抱かれる準備が整うまで、それほど時間はかからなかった。
「美波が今何を抱えてるのかわからないけど、少しでも不安が和らぐなら、いくらでも抱いてあげる。……だから、そんな顔しないで」
彼に抱えられ、ソファから隣のベッドへと移動する。わたしが纏っている布をすべて取り去ると、彼は上半身だけ絨毯の上に脱ぎ捨てた。
ジーンズ越しでもわかるほどの膨らみに、わたしの下腹部がうねりを上げる。彼を求めて無意識に揺れる腰。自分のはしたなさに羞恥を覚えるも、本能がそれを掻き乱す。
「っ——!」
ぬかるんだ膣の中に、二本、彼の指が入ってきた。長いほうの指でお腹側を押し上げられ、喉の奥で小さく悲鳴を上げる。
でも。
「……っ、要らな、い……」
「何が? 前戯?」
この質問に、無言で数回頷く。
滾る熱でどうにかなりそうな意識を必死に結いつけ、わたしは叫ぶように懇願した。
「葉月さんが欲しい……今すぐ……お願い、早く来てっ!!」
「……っ、美波……!!」
わたしの上に、髪を振り乱した彼が覆い被さった。
荒い息。炯る双眼。
彼は、ジーンズを半分だけ下ろし、トランクスから、なかば引き抜くように屹立したペニスを取り出すと、荒々しくゴムを着けて一気に捻じ込んだ。
「あぁ……っ!!」
嬌声、ではなく、叫声。最奥を穿たれた衝撃はすぐさま快感へと変わり、頭から爪先まで電流が駆け巡る。
どれだけ彼が激しく腰を打ちつけても、蜜で溢れ返ったわたしの中は、滑らかに彼を受け容れた。
「あっ、んぁ……はっ……あぁんっ」
怖い。感じすぎて。
怖い。自分が、自分じゃなくなりそうで。
「ん……っ、あっ……葉月、さ……」
「うん。大丈夫、俺はここにいるよ」
快楽と恐怖に溺れながら縋りつくように腕を伸ばせば、彼はそっと手を取り口づけてくれた。
彼の優しさが、ぬくもりが、空虚な穴を埋めて満たしてくれる。
とろとろに、溶かしてくれる。
「あっ、イく……あっ、あっ、あぁあぁぁ……っ!!」
「……っ——」
体が悦びに仰け反った瞬間。
わたしの体を抱え込むように支え、彼は深々と射精した。
独特の気怠さを共有する間もなく、再度行為に及ぶ。ぐちゃぐちゃになって、互いを求め合う。
この日のセックスは、間違いなく、今までで一番激しいものだった。
——もっと俺を頼ってくれていいんだよ。
しだいに混濁する意識の中。
彼の哀艶な声が、聞こえた気がした。
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