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   親愛なるランちゃんへ
 僕はこの世界…アシュガルドの創造神アシュランと言います!!
突然ごめんねぇ~びっくりした?
 まぁ、びっくりするよね、君は魔法がない世界から転移してきたんだから…
それでも、この手紙を取ってくれてありがとう!!
 さて、君にはいくつか伝えなきゃいけない大事な話があるんだ

まず、何故アシュガルドに君を転移させたのか
これは君にとって一番気になる事だと思う
これには色々と訳があってねぇ~
実は僕の部下にあたる神様が間違えて地球に白猫として君を転生させてしまったんだ…
だから、そもそも君はこちらの世界の獣人になる筈だったんだよねぇ~

気づいた時にはすでに遅く、君は地球でもう生まれてしまっていたんだ
僕の監督不足で君を混乱させてごめんね…

一応君が天寿を全うしてからこの世界に若返り転移をさせて君の番に会わせようとしたんだよ
でも、まさか君がこんなに早く向こうの世界で死んでしまうとは思わなくて…
僕びっくりしちゃった

だから僕、慌てて君が地球で輪廻転生する前に君の魂を捕まえてアシュガルドで生まれるはずだった器に君の魂を込めたんだ

いや~あの時は危なかったよ
もし君の魂が捕まえられなかったら一生地球から君を連れ出せず君の番が狂ってしまうところだった

あぁ、そうそう一応今の君の年齢は20歳だから、見た目もそのくらいの姿になっているよ~
まぁ、20年も生きてはないけど猫の歳の取り方で計算してるからね~

あと、アシュガルドと地球の時間軸ってちょっとずれてて君が地球に生まれてからの一年間でアシュガルドは30年立っているよ~

だから、君の番は今30歳になってるという事だね
まぁ、君の番からしたら早くに君がこの世界にきてくれて嬉しいと思うよ!!
それに年齢差もさほど広がらなくて、無駄に君の番が君を探して世界を飛び回らなくて済んでよかったよかった

…って、僕まだ君に番についての説明していなかったね!

番っていうのはね、魂の片割れなんだ!
一目見た瞬間から絶対にお互い離れられなくなる…そんな存在だよ!
一部では、運命の番とか宿命の番とか言われているね

それ程この世界は番という存在が大きいんだ!

因みに種族によっては生まれた瞬間から番が誰だかわかるものもいてね…実は君の番もそれに当てはまるんだ

彼は生まれた瞬間から番が分かるはずなのに分からなかったから一部からは落ちこぼれと言われているんだ…
彼にも悪いことをしてしまった…

だからこそ、急に感じた番の気配に今頃彼は豪速球で君の元に飛んで向かって行ってると思うよ!

多分この手紙を読み終わる頃には辿り着いてるんじゃないかなぁ~

えーと…あと君に伝えることわぁ~
…あっそうだそうだ!
服と靴は僕が用意したんだぁ~
君に似合う服を時間をかけて選んだんだよ!!
気に入ってくれた?
実はこれちょっとだけ僕のおまじないがかかってるんだ!
それは僕からのプレゼントだよ~
これくらいしなきゃ君の番に怒られちゃうからね
…それにしても流石に慣れない靴での森林散策で足に靴擦れができてるね

それは今から来る番に治して貰うといいよ!!

よし、僕から伝えることはこれで以上かな
これからの君の人生に幸多からんことを!!


 手紙を読み終わった私はその内容に呆然とする
運命?宿命?の番…私にそんな存在がいるの?
いや、そもそも私はこの世界に生まれるはずだったの…?

頭の中を必死に整理しようとするが、私にはそんな時間はあたえられなかった

「ガサガサ!!」唐突に聞こえてきた草木をかき分ける音に私はびっくりして、思考を放棄し音がした方向に目を向ける

そこには漆黒の艶々した髪に真紅の瞳をした見目麗しい男性がいた
頭には真っ直ぐに伸びた2本のツノが生え、身長は私よりもかなり高い

その人を視認した瞬間私の心臓はどくんと跳ね体温が急激に上昇する
きっと私の顔…いや体全体まで真っ赤に染まっているだろう

彼から目が離せない私はスローモーションのようにゆっくり近づいてきた彼にぎゅっと抱きしめられた
その瞬間彼からとてつもなく甘い、でも私にとってとても好ましい香りが鼻を掠める

私は本能的に神様の手紙に書いてあった番という存在を理解してしまう

私はもうこの人から絶対に離れられない

ちょうどその時彼は私の耳元で低く掠れた声で呟いた
「ようやく見つけた…俺の番…。」













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