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巨大なベッドの上で

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ドサッと着地したのは、それはそれは巨大な天蓋付きベッドの真っ白なシーツの上。

おまけにオレってば全裸ときたもんだ。



────は? 


思わず目が点になる。

かすかにマットレスが揺れた。足元に目をやると、これまた全裸の倉科がこちらに身を乗り出している。ほー、見事な腹筋。シックスパックもはっきりくっきり。ん? いや待て。待て待て待て待て。なんでお前のチンコ勃ってんの? いったいこれはなんの茶番……。あー。

イイコトってつまりそういうコト? 

……わが夢ながらなんつー展開……。

オレの内心をよそに、倉科@全裸バージョンは「安斎…」とかすれ声でムーディーに迫ってくる。ヤメロ。そっと頬に手をそえられた。ヤメロってば。なんだその無駄にエロい雰囲気はっ。笑えてくるだろっ。

こらえきれず肩をふるわすオレに、ムーディー倉科はムッとしたらしい。

おい、と不機嫌な声音。

「俺は真剣なんだぞ。お前もまじめにやれ」

「す…すみません」

ンンッと咳払いをして目を閉じた。ついでに鳩尾あたりで両手を組む。
はいドーゾ、の据え膳のポーズだ。だがこれも気に入らないらしい。近距離なら見なくても不機嫌なオーラは感じるものだ。

「……ばかにしてるのか?」

いや、してないしてない、ばかになんて。
目を閉じたまま無言で首をふる。神妙な顔つきを意識した。いましゃべったらたぶん笑っちゃうからお口はチャックだ。

「安斎、なにを考えてるんだ? ……なんで抵抗しないんだ?」

いぶかしげな声に片目をうっすら開けた。うおっ。思ったより至近距離で目があった。

倉科は予想に反して不安そうな様子だった。自分から仕掛けといてなんだその顔は。

魔術師とか悪魔とか称されてるくせに心細そうな目をしやがって。
お前は捨てられた子犬か。

仕方なくオレは口を開いた。

「……だってお前、百人切りとか処女でもイカせるとか、超絶テクニシャンだってもっぱらのウワサだし。ここはオレの夢の中だし。別にいいよ? それに」

── 気持ち良くしてくれるんだろ?

ニヤリと笑いかけると、倉科が目をみはった。一瞬苦しそうな表情を浮かべたと思ったら、強く唇を押しあててきて何度も噛(か)みつくようなキスをされた。

口を開いて応じるかまえをみせると、ヤツの舌が嬉々としてもぐり込んできた。
たがいの吐息と唾液がまざりあう。

男とのキスはこれまでしたことがなかったけど、嫌悪感はまるでなかった。女の子にはない力強さとスピード感に、逆に燃えたくらいだ。主導権を握られるのも嫌じゃない。

しばらく好きにさせてやって、倉科のキスがどんなものかをじっくり堪能させてもらった。
普段のクールなキャラとはうって変わって情熱的なキスだ。大型犬に顔をベロベロ舐められてるみたいなぐいぐい感に腰がしびれた。ん~。気持ちいい。

そんじゃオレも、と相手のうなじの髪を軽く握りこんで固定した。受け入れる一方だったのを攻勢に転じる。

差し込まれていた舌に舌を絡めて軽くいなし、スルリとかわして倉科の口内に侵入する。尖らせた舌の先で唇の内側や上あごを強弱をつけてなめて刺激してやるとブルッとふるえる感触。いい反応だ。

ますます夢中でキスをしながら、倉科が覆い被さるように体を重ねてきた。

引き締まった筋肉質な体に、張りのあるすべすべな肌。ズシッとかかる圧に、なにやら心満たされて。女の子ってこんな感じなんだな~なんてチラリと考えた。あ~、人肌あったけー。

オレのも倉科のもすでにギンギンだった。
キスを続けながら倉科が意図して擦り付けてくるのが気持ち良くって、オレも腰が揺れちゃった。
でもちょっとポイントがズレていて、イケるほどの刺激じゃない。

気持ちいいけど、もどかしい。

じれったさに耐えられなくなり、オレは倉科の体の輪郭をなぞるようにして、下半身へと両手をはわせると、ギュッと形のいい尻を掴んだ。

ビクリ、とヤツの体が震え、ずっと吸い付いついたままだった唇がパッとはなれた。

至近距離で見つめあう。

上気した頬。潤んでるのに目力は増している切れ長の瞳。はぁはぁと激しい息づかい。やべー、オレすげえ興奮してる。

なあ。もっともっと強い刺激をくれよ。

目を見つめながら完全に勃起した自分のモノを、ゆっくりと力強く扱いてみせた。
オレの手つきを目の当たりにした倉科が、ゴクリとのどをならす。とがった喉仏が上下した。ギラつく視線に煽られ、オレの興奮もいやがおうにも増していく。

オレの腕の動きを妨げないよう体をずらし、倉科が顔を伏せペロリと乳首をなめた。思わず、はッ、と吐息が漏れた。気持ちいい。今度は反対側。んッ。

反応を見極めるように上目遣いに視線を合わせたまま、舌と指で両乳首を攻められる。
交互に何度も吸ったり嘗めたりつついたり。熱心な愛撫にじんじん痺れてマヒしてきた。

プックリ立ち上がって色味が増した自分の乳首をうっとり見下ろす。と。カリッと歯でくじられ、舌で先端だけすばやく小刻みに嘗められた。気持ち良さに思わず腰がはねた。

「あぁ…っ」

ジン…と腰に伝わる快感の余波に、自身を扱いている手に力がこもる。オレはギュッと目をつむった。
もうイキそ……、と思ったときだった。

突然強い力で手を払いのけられた。
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