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王宮舞踏会 ~帰りの馬車にて~

夢か現実か

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「きみときみのお父上が許してくれたら、すぐにでも兄に謁見して願い出るつもりだ」

「お兄さん…」

さきほど目にしたミリーの父親のことだろう。

「そうだ。きっと反対はされないと思う」

自信をもって言いきるエドアルドから理紗は目をそらした。

どう返事をしたらいいのかわからない。
自分がどうしたいのか、どうすべきかもわからなかった。

自分は本当のメアリローズではない。
そんな思いが捨てきれないのだ。




ここが自分の夢か現実かも定かではないし、このまま一生メアリローズとして生きていくのかもわからない。

なにもかもわからないことだらけの中を、昨日今日と流されるままに過ごしていた。

そんなときに大きく運命を揺るがすようなことを言われるのは恐怖でしかない。

「………」

理紗はうつむいたまま黙って身を起こした。

膝の上から降りると、エドアルドは素直に解放してくれた。
だが、息を殺しじっと理紗の顔を見つめている。

「…すこし考える時間がほしいわ」

「メアリローズ」

「お願い」

「…なにを考えことがある? 何に迷っているんだ。まさか婚約そのものが気に入らないのか?」

エドアルドの責めるような眼差しに理紗は顔をしかめた。

「…そんなこと」

「今朝もいったが、婚約破棄は認めん。断じて」

「エド…」

「きみは私のものだ。誰がなんといおうと、君自身が否定しようと無駄だ。きみは私の妻になるんだ」


 



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