8 / 26
第2章
成獣
しおりを挟む
森で子猫と出会ってから約半年が過ぎた。
生後約6~7ヶ月とみられていた子猫も成獣となり、獣人の子ならば自然と人化している頃となった。
しかし子猫にそれらしい兆候はなく、成獣となる前に来るはずの発情期もなかったため、やはり子猫は元「ニンゲン」の転生者であるとアラン他老医師たちは結論付けた。
※
「おかえりなさいませ」
アランが執務を終え私室に戻ると、フィリーが立礼で出迎えた。ローテーブルに置かれているのはこの半年で集めた異世界転生者についての記述がある本たちだが、一番上のものはアランには見覚えのないものだった。
「新しい本が手に入ったのか?」
「はい。今日ガレウスさまが国境の町からお戻りになって、これを王へと」
「もう目は通したか?」
「はい…、まだ冒頭くらいですが」
「なにか真新しい記述はあったか?」
フィリーの困ったような微笑みをみて、アランははっとした。すまない、とつぶやく。…まだ冒頭くらいしか読んでいないと言っているではないか。
ため息をついてソファにドサッと腰をおろすと、子猫──いや、猫が寝室からするりと姿をあらわした。
「ただいま。今日は遅くなってしまってすまない。夕食はもう済ませたね? 美味しかったかい?」
「ナ~」
この半年でひとまわり大きくなり鳴き声も少し低くなったが、つややかな毛はあいかわらずまっ白で、透き通るようなアメジストの瞳はそのままだ。
はめている紫の首輪は、自分の服に合わせてアランが今朝選んだものだった。
差し出したアランの手に頬をこすりつけてくるが、いつもなら喉をならすはずがそうしない。かわりにフィリーをじっとみすえている。瞳孔がまんまるに広がっており、しっぽがぱしんぱしんと空を叩いていた。不機嫌な証拠だった。
フィリーは猫の視線を伏し目で避け、静かにその怒りを受け流していた。この半年でかなり打ち解けていたはずだがなにかあったのだろうか。
「フィリー?」
「…ツガイ様のお名前を無理に聞き出してしまったので、お怒りなのです」
──名前?
はっと目を見開くアランにフィリーがうなづく。
「ツガイ様のお名前はヒロキさまとおっしゃるようです」
「ヒロキ…?」
呆然と見下ろすさきで猫は毛繕いをしている。名前を呼ばれてもしらぬふりだ。
本当なのだろうか。本当にその名前であっているのだろうか?
「なぜ名前がわかった? まさか」
しゃべったのだろうか、ついに。獣人として覚醒したのか?
そうだとしてもなぜ自分の知らぬところでそれが起きたのだ?
アランの頭の中で疑問がとびかうが、フィリーの答えはそのどれとも違っていた。
「この半年、おりをみて少しずつツガイ様のお名前を探ってまいりました。まずはお名前の文字数が三文字であることを特定し、それからひとつずつ文字をあてはめていったのです。さきほど三文字目が〈き〉であることがわかりまして…。それがご不快であられたようです」
「文字をあてはめていった…?」
「はい。ツガイ様の耳やしっぽなどの反応から、正解を導き出しました」
「…………」
アランたちから少し離れた場所で毛繕いをしていた猫が背を向けたままうずくまった。関心のないふりをしながらも、その耳はこちらを向いていた。猫としても無視できない話題のようだ。ではやはりフィリーの仮説は正しいのだろうか。だとしたらなぜそんなにも名前を知られるのを嫌がるのだろうか。
いくら考えても疑問ばかりが生まれてくる。答えは結局猫に聞くしかなく、その本人はしらんぷりを決め込んでいる。とくに今夜は気が立っており、こちらの質問に答える気はないようだ。
あまり無理強いをしたくはないと猫を甘やかしてばかりのアランに代わり、フィリーがあえて嫌われ役をかって出てくれたのだ。
すまない、ありがとうと目で伝えると、フィリーはちいさくかぶりをふった。そのまま数歩後ずさる。
「では、これで私は退出いたします。おやすみなさいませ」
「おやすみ、フィリー」
「………ナ~」
仕方なく返事をする猫に苦笑し、フィリーが去っていくと部屋にはアランたちだけとなった。
あいかわらず背を向けたままの猫をぼんやり見つめる。
「ヒロキという名前だったのかい?」
ピクッと揺れる耳を見つめ、なるほどこれはわかりやすいとアランは思った。これなら根気さえあればやってやれないことはないだろう。自分は思いつきもしなかったけれども。
「フィリーを許してやってくれ。私のためにしてくれたんだ」
「…………」
パシッとしっぽが床を打つ。ソファから立ち上がり、アランは猫のそばに腰を下ろした。背骨に沿って撫でてやるとかすかにゴロゴロという音がきこえる。
それにしても三文字の組み合わせなどいったい幾通りになるのか想像もつかない。あの黒ウサギの青年は優しい顔をしてなかなか意志が強い。
「私に名を知られたくなかったのか…?」
あえて心もとない声でつぶやくと、パシッパシッと床を打っていたしっぽがしゅるりとアランの手首に巻き付いた。なぐさめるような甘えるしぐさだった。
「そうじゃないって?」
チラリと見上げてくるアメジストの瞳をだまって見返すと、猫がかすかにため息をついたようにみえた。名前を知ったからだろうか。やけに猫らしくないしぐさが目につく。かすかにでも覚醒してきているのだろうかと期待してしまう。
アランは銀狼姿に転化すると猫をふところにくるむように丸くなった。耳のあたりをそっとなめると、ゴロゴロとのどをならす。コテッと転がり腹を見せてくるさまはまるで服従する犬のようだが、アランの鼻面にリズミカルにパンチを繰り出してくるので、遊んでいるようにみせかけて話をはぐらかしているのだろう。
爪を立てない可愛らしい攻撃につきあってやる。パンチをかわして鼻先で脇をくすぐった。それをやめさせようと鼻先を押さえてくる細い前足をぱくっと咥えると、ビックリして両後ろ足でアランの喉元を必死に蹴ってくる。猫の反応がおかしくてクッと笑い、そのまま獣語で話しかけた。
「人化したくないんだろう? キミはずっと猫として生きていきたいのだろう?」
「…………」
「それとも私とツガイになるのはそんなに嫌か…?」
クゥンと情けない声が出てしまい恥ずかしさからさっと顔を背けると、猫が「ナ~?」と不思議そうに鳴いた。やはり獣型では言葉が通じないようだが、不安は伝わっているようだ。するりと立ち上がるとほほにすり寄ってくる。アランはため息をついた。
名前を知られて怒ったりしらばっくれたりとそっけないくせに、甘えたりなぐさめたりするときは距離が近い。普通の猫ならばあたりまえのことでも、中身は自分と同等の知性をもった運命のツガイなのだと思うとどうにもやるせなかった。
同じ問いを人型ですることはまだできない。
確かめたい。けれど答えを知るのが怖いのだ。
フィリーがガレウスから託された新しい本のことを思い浮かべる。目新しい記述があるか確かめなくては。
猫を保護して以来城から遠ざかりつつあるガレウスが、フィリーに会うための口実にせっせと本を探しているのにアランは気づいていた。視察と称してあちこちの町へ出向いては何かを見つけて帰ってくる。動機はどうあれ、本が集まればアランに文句はない。当の本人はそのことに気づいてもいないようだが。
はがゆい思いをしているのが自分だけではないことに歪んだ慰めを見いだし、自嘲した。ガレウスへの褒美を適当に見繕い、フィリーに届けさせよう。奮起したガレウスがさらに本を探してくるように。
猫がすやすやと寝入ったあと、アランは居間に戻り本を手にした。
しかしそこに記されていたのは、予想だにしない不快な記述たちだった──
生後約6~7ヶ月とみられていた子猫も成獣となり、獣人の子ならば自然と人化している頃となった。
しかし子猫にそれらしい兆候はなく、成獣となる前に来るはずの発情期もなかったため、やはり子猫は元「ニンゲン」の転生者であるとアラン他老医師たちは結論付けた。
※
「おかえりなさいませ」
アランが執務を終え私室に戻ると、フィリーが立礼で出迎えた。ローテーブルに置かれているのはこの半年で集めた異世界転生者についての記述がある本たちだが、一番上のものはアランには見覚えのないものだった。
「新しい本が手に入ったのか?」
「はい。今日ガレウスさまが国境の町からお戻りになって、これを王へと」
「もう目は通したか?」
「はい…、まだ冒頭くらいですが」
「なにか真新しい記述はあったか?」
フィリーの困ったような微笑みをみて、アランははっとした。すまない、とつぶやく。…まだ冒頭くらいしか読んでいないと言っているではないか。
ため息をついてソファにドサッと腰をおろすと、子猫──いや、猫が寝室からするりと姿をあらわした。
「ただいま。今日は遅くなってしまってすまない。夕食はもう済ませたね? 美味しかったかい?」
「ナ~」
この半年でひとまわり大きくなり鳴き声も少し低くなったが、つややかな毛はあいかわらずまっ白で、透き通るようなアメジストの瞳はそのままだ。
はめている紫の首輪は、自分の服に合わせてアランが今朝選んだものだった。
差し出したアランの手に頬をこすりつけてくるが、いつもなら喉をならすはずがそうしない。かわりにフィリーをじっとみすえている。瞳孔がまんまるに広がっており、しっぽがぱしんぱしんと空を叩いていた。不機嫌な証拠だった。
フィリーは猫の視線を伏し目で避け、静かにその怒りを受け流していた。この半年でかなり打ち解けていたはずだがなにかあったのだろうか。
「フィリー?」
「…ツガイ様のお名前を無理に聞き出してしまったので、お怒りなのです」
──名前?
はっと目を見開くアランにフィリーがうなづく。
「ツガイ様のお名前はヒロキさまとおっしゃるようです」
「ヒロキ…?」
呆然と見下ろすさきで猫は毛繕いをしている。名前を呼ばれてもしらぬふりだ。
本当なのだろうか。本当にその名前であっているのだろうか?
「なぜ名前がわかった? まさか」
しゃべったのだろうか、ついに。獣人として覚醒したのか?
そうだとしてもなぜ自分の知らぬところでそれが起きたのだ?
アランの頭の中で疑問がとびかうが、フィリーの答えはそのどれとも違っていた。
「この半年、おりをみて少しずつツガイ様のお名前を探ってまいりました。まずはお名前の文字数が三文字であることを特定し、それからひとつずつ文字をあてはめていったのです。さきほど三文字目が〈き〉であることがわかりまして…。それがご不快であられたようです」
「文字をあてはめていった…?」
「はい。ツガイ様の耳やしっぽなどの反応から、正解を導き出しました」
「…………」
アランたちから少し離れた場所で毛繕いをしていた猫が背を向けたままうずくまった。関心のないふりをしながらも、その耳はこちらを向いていた。猫としても無視できない話題のようだ。ではやはりフィリーの仮説は正しいのだろうか。だとしたらなぜそんなにも名前を知られるのを嫌がるのだろうか。
いくら考えても疑問ばかりが生まれてくる。答えは結局猫に聞くしかなく、その本人はしらんぷりを決め込んでいる。とくに今夜は気が立っており、こちらの質問に答える気はないようだ。
あまり無理強いをしたくはないと猫を甘やかしてばかりのアランに代わり、フィリーがあえて嫌われ役をかって出てくれたのだ。
すまない、ありがとうと目で伝えると、フィリーはちいさくかぶりをふった。そのまま数歩後ずさる。
「では、これで私は退出いたします。おやすみなさいませ」
「おやすみ、フィリー」
「………ナ~」
仕方なく返事をする猫に苦笑し、フィリーが去っていくと部屋にはアランたちだけとなった。
あいかわらず背を向けたままの猫をぼんやり見つめる。
「ヒロキという名前だったのかい?」
ピクッと揺れる耳を見つめ、なるほどこれはわかりやすいとアランは思った。これなら根気さえあればやってやれないことはないだろう。自分は思いつきもしなかったけれども。
「フィリーを許してやってくれ。私のためにしてくれたんだ」
「…………」
パシッとしっぽが床を打つ。ソファから立ち上がり、アランは猫のそばに腰を下ろした。背骨に沿って撫でてやるとかすかにゴロゴロという音がきこえる。
それにしても三文字の組み合わせなどいったい幾通りになるのか想像もつかない。あの黒ウサギの青年は優しい顔をしてなかなか意志が強い。
「私に名を知られたくなかったのか…?」
あえて心もとない声でつぶやくと、パシッパシッと床を打っていたしっぽがしゅるりとアランの手首に巻き付いた。なぐさめるような甘えるしぐさだった。
「そうじゃないって?」
チラリと見上げてくるアメジストの瞳をだまって見返すと、猫がかすかにため息をついたようにみえた。名前を知ったからだろうか。やけに猫らしくないしぐさが目につく。かすかにでも覚醒してきているのだろうかと期待してしまう。
アランは銀狼姿に転化すると猫をふところにくるむように丸くなった。耳のあたりをそっとなめると、ゴロゴロとのどをならす。コテッと転がり腹を見せてくるさまはまるで服従する犬のようだが、アランの鼻面にリズミカルにパンチを繰り出してくるので、遊んでいるようにみせかけて話をはぐらかしているのだろう。
爪を立てない可愛らしい攻撃につきあってやる。パンチをかわして鼻先で脇をくすぐった。それをやめさせようと鼻先を押さえてくる細い前足をぱくっと咥えると、ビックリして両後ろ足でアランの喉元を必死に蹴ってくる。猫の反応がおかしくてクッと笑い、そのまま獣語で話しかけた。
「人化したくないんだろう? キミはずっと猫として生きていきたいのだろう?」
「…………」
「それとも私とツガイになるのはそんなに嫌か…?」
クゥンと情けない声が出てしまい恥ずかしさからさっと顔を背けると、猫が「ナ~?」と不思議そうに鳴いた。やはり獣型では言葉が通じないようだが、不安は伝わっているようだ。するりと立ち上がるとほほにすり寄ってくる。アランはため息をついた。
名前を知られて怒ったりしらばっくれたりとそっけないくせに、甘えたりなぐさめたりするときは距離が近い。普通の猫ならばあたりまえのことでも、中身は自分と同等の知性をもった運命のツガイなのだと思うとどうにもやるせなかった。
同じ問いを人型ですることはまだできない。
確かめたい。けれど答えを知るのが怖いのだ。
フィリーがガレウスから託された新しい本のことを思い浮かべる。目新しい記述があるか確かめなくては。
猫を保護して以来城から遠ざかりつつあるガレウスが、フィリーに会うための口実にせっせと本を探しているのにアランは気づいていた。視察と称してあちこちの町へ出向いては何かを見つけて帰ってくる。動機はどうあれ、本が集まればアランに文句はない。当の本人はそのことに気づいてもいないようだが。
はがゆい思いをしているのが自分だけではないことに歪んだ慰めを見いだし、自嘲した。ガレウスへの褒美を適当に見繕い、フィリーに届けさせよう。奮起したガレウスがさらに本を探してくるように。
猫がすやすやと寝入ったあと、アランは居間に戻り本を手にした。
しかしそこに記されていたのは、予想だにしない不快な記述たちだった──
12
お気に入りに追加
839
あなたにおすすめの小説

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。

それ以上近づかないでください。
ぽぽ
BL
「誰がお前のことなんか好きになると思うの?」
地味で冴えない小鳥遊凪は、ある日、憧れの人である蓮見馨に不意に告白をしてしまい、2人は付き合うことになった。
まるで夢のような時間――しかし、その恋はある出来事をきっかけに儚くも終わりを迎える。
転校を機に、馨のことを全てを忘れようと決意した凪。もう二度と彼と会うことはないはずだった。
ところが、あることがきっかけで馨と再会することになる。
「本当に可愛い。」
「凪、俺以外のやつと話していいんだっけ?」
かつてとはまるで別人のような馨の様子に戸惑う凪。
「お願いだから、僕にもう近づかないで」

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
急に運命の番と言われても。夜会で永遠の愛を誓われ駆け落ちし、数年後ぽい捨てされた母を持つ平民娘は、氷の騎士の甘い求婚を冷たく拒む。
石河 翠
恋愛
ルビーの花屋に、隣国の氷の騎士ディランが現れた。
雪豹の獣人である彼は番の匂いを追いかけていたらしい。ところが花屋に着いたとたんに、手がかりを失ってしまったというのだ。
一時的に鼻が詰まった人間並みの嗅覚になったディランだが、番が見つかるまでは帰らないと言い張る始末。ルビーは彼の世話をする羽目に。
ルビーと喧嘩をしつつ、人間についての理解を深めていくディラン。
その後嗅覚を取り戻したディランは番の正体に歓喜し、公衆の面前で結婚を申し込むが冷たく拒まれる。ルビーが求婚を断ったのには理由があって……。
愛されることが怖い臆病なヒロインと、彼女のためならすべてを捨てる一途でだだ甘なヒーローの恋物語。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
扉絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(ID25481643)をお借りしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる