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あの二人が居なくなったあとも
私は温室の影から抜け出すことが出来なかった。 

今の言葉たちは本当にアレク様が言った言葉たちだったのだろうか?
現実ではなく、ここは夢?

そう思いたいけど、温室特有の少し湿った空気の匂いも
花の匂いたちもしっかり香ってくる。

これは現実だ。

アレク様では無いと信じたいけれど、
あの声は私の大好きな声だから間違いようがない。

「きっと嘘よ……」

自分が信じたいがためか、
独り言をそっとつぶやく。

たとえ目の前にスズランがないとしても、
きっとアレク様がこっそり他のところに植え替えてくださってるだけだわ。

少しでも気持ちを楽にしたくて、少しでも都合のいいことを考えてしまう。

あのこうじょがアレクと呼び捨てにしていようと、アレク様の心は私の元にあると信じていた。

アレク様が私を捨てるわけないって信じていた。


このままここにいてもいいことはないし、
次アレク様に会える時にやっぱり私がいいって思って貰えるようにしないといけないわよね。

次会えるのがいつになるかなんて分からないけれど、
それでも私はアレク様に会える日を心待ちにしようと思った。


リアが好きだよって言ってもらえる日を。




それまで私はあなたを信じ続けるの。
私の部屋に残されたスズランは今日も綺麗に咲いていてほっとする。

まだ私は負けてはいけない。

ああ、でも今はクリスマスローズの花を抱きしめたいわ………
ねえ、アレク様、私の不安をやわらげてください。
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