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昔から欲しいといえばなんでも手に入った。

「皇女様がこの世でいちばん美しいですわ!」

国にいる時から誰もが口を揃えてそう言うの。
実際に私は麗しいと思うし、誰もが私に美しいというのは当たり前だと思っている。
だから、あのアレクシスを見た時私は欲しいと思ったし、当たり前に手に入ると思った。

隣の小さな国の王太子。
私が嫁ぐにしては小さい国かもしれないけれど、私が嫁いであげるのですもの、喜んでくださるでしょう?

あの見た目は私の美しさに相応しいし、
お父様いわく、頭の回転もいいらしいし、
やはり私が嫁いであげれば、泣いて喜ぶでしょう?

そう思って、初めて出逢った時に言ってあげたの。

「あなたに嫁いであげるわ」

って。
なのに、なんなの?あの男!
私には婚約者がいて、あなたには相応しくありませんですって!!

そんなふうに言うのは許せない。
私がせっかく嫁いであげるって言ってるのに!

私が小さな国に嫁ぐのが大変だろうから、
断ってくれたとしても、言い方があるでしょう?

仕方ないわ、
お父様に言って、あの国に留学させてもらいましょう?
そしたら、あの男も私が小さな国でもやって行けるって
分かってくださるでしょう?
本当に面倒なお方。
でも、私に相応しいのはあの男だけだわ。


そう思って、留学して3ヶ月は経ったかしら?
やっぱり、あの男は私に相応しい。
それなのに、あの男ったら、
未だに元婚約者マリアーナのことを気にしてあげてるの。
優しい人なのだろうけど、あれではあの女も勘違いしてしまうでしょう?

かわいそうな、女ね?
そろそろちゃんとアレクシスを私の元に返して欲しいのだけど、未だに王宮に遊びに来るなんてなんて、図々しいやつなのでしょう。

留学する時にこの国の王には
私はこの国の王太子と婚約するためにきたって
言ってあげたんだから、
あの二人だって知ってるはずなのに。

あぁ、イライラしちゃうわ。
早く、アレクシスは私だけのものになればいいのに。

それでもあの女を排除しないだけ、
私は優しいのに。
早くその優しさに気づかないのかしら?

まあ、もう、
アレクシスは私のものになるのは確定ですけどね?
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