上 下
1 / 3

毒を飲んだ私は

しおりを挟む
「お前との婚約は破棄する!!
もうお前は私の婚約者ではない!」

学園の卒業パーティー、
本来なら幸せの中で行われるはずだった。





別に婚約者である王太子に他に女がいたわけじゃないの。
よく小説とかである王太子が身分が低い女性と仲良くなって、その女性と結婚したいからこのようなことを言ったわけじゃない。

私の婚約者である王太子は本当に優秀な方だった。
優秀だったからこそ、隣の皇帝がいる国の皇女との婚姻が決まったのだ。
この国は王太子のおかげで、他の国よりも立場が高くなるのだ。
本当におめでたいこと。




だから、よくある小説のように、
私が何かをして無くなった婚約ではない。
家からも追い出されることは無いし、
きっと他の婚約者がすぐ決めるだろう。
王家を覗いて、この国で一番権力を持った家に生まれた私の宿命。


でも、もう私の心は奪われてしまっているのだ。
私は本当にあなたが好きでした。
この国の王太子だからではない。
あなた自身が好きでした。


私はあなたと以外もう恋ができる気がしない。
だからといって、恋をすることなく、夫婦になんてなれない。
あなたのことが好きだって、
恋することは幸せだって知ってしまったから。

だから、私は人払いしてこの瓶に入っているすずらんの毒を飲む。
きっと、私にも再び幸せが来ると信じて、私は毒を飲むの。

「愛してました、あなたのことを…」


さよなら、愛しき方よ、、、、、



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ある国の王の後悔

黒木メイ
恋愛
ある国の王は後悔していた。 私は彼女を最後まで信じきれなかった。私は彼女を守れなかった。 小説家になろうに過去(2018)投稿した短編。 カクヨムにも掲載中。

妹の妊娠と未来への絆

アソビのココロ
恋愛
「私のお腹の中にはフレディ様の赤ちゃんがいるんです!」 オードリー・グリーンスパン侯爵令嬢は、美貌の貴公子として知られる侯爵令息フレディ・ヴァンデグリフトと婚約寸前だった。しかしオードリーの妹ビヴァリーがフレディと一夜をともにし、妊娠してしまう。よくできた令嬢と評価されているオードリーの下した裁定とは?

愛されない妻は死を望む

ルー
恋愛
タイトルの通りの内容です。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

不実なあなたに感謝を

黒木メイ
恋愛
王太子妃であるベアトリーチェと踊るのは最初のダンスのみ。落ち人のアンナとは望まれるまま何度も踊るのに。王太子であるマルコが誰に好意を寄せているかははたから見れば一目瞭然だ。けれど、マルコが心から愛しているのはベアトリーチェだけだった。そのことに気づいていながらも受け入れられないベアトリーチェ。そんな時、マルコとアンナがとうとう一線を越えたことを知る。――――不実なあなたを恨んだ回数は数知れず。けれど、今では感謝すらしている。愚かなあなたのおかげで『幸せ』を取り戻すことができたのだから。 ※異世界転移をしている登場人物がいますが主人公ではないためタグを外しています。 ※曖昧設定。 ※一旦完結。 ※性描写は匂わせ程度。 ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載予定。

悪役令嬢の去った後、残された物は

たぬまる
恋愛
公爵令嬢シルビアが誕生パーティーで断罪され追放される。 シルビアは喜び去って行き 残された者達に不幸が降り注ぐ 気分転換に短編を書いてみました。

溺愛されて育った夫が幼馴染と不倫してるのが分かり愛情がなくなる。さらに相手は妊娠したらしい。

window
恋愛
大恋愛の末に結婚したフレディ王太子殿下とジェシカ公爵令嬢だったがフレディ殿下が幼馴染のマリア伯爵令嬢と不倫をしました。結婚1年目で子供はまだいない。 夫婦の愛をつないできた絆には亀裂が生じるがお互いの両親の説得もあり離婚を思いとどまったジェシカ。しかし元の仲の良い夫婦に戻ることはできないと確信している。 そんな時相手のマリア令嬢が妊娠したことが分かり頭を悩ませていた。

騎士の元に届いた最愛の貴族令嬢からの最後の手紙

刻芦葉
恋愛
ミュルンハルト王国騎士団長であるアルヴィスには忘れられない女性がいる。 それはまだ若い頃に付き合っていた貴族令嬢のことだ。 政略結婚で隣国へと嫁いでしまった彼女のことを忘れられなくて今も独り身でいる。 そんな中で彼女から最後に送られた手紙を読み返した。 その手紙の意味をアルヴィスは今も知らない。

処理中です...