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1章 はじまり

リア凸

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「お兄ちゃん起きて!」

僕は妹の優羅ゆらの声で目を覚ます。普段は一人で起きるのだけど、自分が思っていた以上に疲れていたみたいで寝坊をしてしまった。優羅は僕が起きるのが遅かった時などに、起こしに来てくれるいい妹だ。

「助かったよ優羅」
「ううん、お兄ちゃんのためだもん!全然いいよ!!」

 優羅は少し照れたようにはにかんで笑うと、リビングに降りていった。僕もそのあとをついて行った。下には優羅が作った美味しそうな朝食が並んでいた。そして、朝食を食べ終わると2人で家を出た。と言っても、優羅はまだ中学生なので玄関で別れた。その後は特に何もなく、僕は教室に入った。

「おはよう!」
「おはよう、今日も元気だな」
「元気なのが取り柄なんだから!」

綺麗きれいがいつもの挨拶をしてきて、それを僕はいつものように返す。しばらくして先生が入ってきて、いつもと同じような日が始まると思っていた。しかし、いつもとは違うことが起きた。それは昼休みになった時だった

あつむ、なんか後輩ちゃんきてるよ~」

突然綺麗にそう言われ、席を立った。僕には後輩の知り合いなんていないのだけど、呼んでいるというからには、僕に用があるのだろう。僕はそのままドアに向かった。

「僕を呼んだのは君?」

教室の入口に立っていたのは、僕よりも身長の低い小柄な女の子だった。髪型はショートボブで可愛い女の子だ。僕にはそんな知り合いはいないのだが、その女の子はモジモジしながら

「ほ、放課後屋上にきてください!!」

そう言い残すと、彼女は走り去って行った。僕は僕はしばらく彼女が走っていった方向を見ていたが、帰ってくる様子がないので教室に戻った。

「湊、なんだったの?」
「いや、放課後に屋上き来てくれって言ったあと、走っていったよ」
「それって告白じゃない?!」
「いや、あんな子知らないぞ」
「そうなんだ~」

そう言っているけど、綺麗は納得していない感じで、少し不機嫌だった。たまに綺麗はよくわからかい理由で不機嫌になることがある。時間が経って、放課後になっても綺麗は不機嫌なままだった。

「綺麗また明日」
「ねぇ、湊」
「ん?どうした?」
「もし告白ならどうするの・・・?」

僕は少し考えたあと

「いや、付き合わないと思う。僕はあの子のとこ何も知らないし」

すると、綺麗はわかりやすく顔を明るくして

「そうなんだ!じゃあまた明日ね!!」

 元気を取り戻したかのようにルンルンになり、部活に向かって行った。僕も呼ばれているので、屋上に向かった。
屋上には後輩の女の子が俯きながら待っていた。そして、僕が来たのに気づいて僕の方に寄ってきた。

「先輩、先輩は倉田湊先輩ですか?」
「うん、そうだけど」
「わ、私のことわかりませんか・・・?」

そんなこと言われても、僕には後輩の繋がりなんてない。

「僕は年下に知り合いなんていないから、君のことは知らないよ」

 僕がそう答えると、彼女は少し目を見開いた

「アカリってわかりませんか?」
「あかり?そんな名前の人は僕の知り合いにはいないよ?」
「私、REUNでアカウント名アカリでしてるんですよ」
「うん、そうなんだ」

 僕の中に違和感が生まれた。あれ?同じ高校で、後輩で・・・そこで僕は気づいてしまった。彼女が言っているのはあかりではなく、アカリだということに

「ねぇクラムくん。なんで私をブロックしたの?」

何故か僕は危機感を覚えた

「ねぇ、クラムくん。なんで知らないとか言うの?」

しかし、ここははっきりしておくべきだ

「君がアカリなのか?」
「うん、クラムくんの彼女のアカリだよ?」 
「僕はネットとリアルは別だと思ってる。だから、リアルで関わりを持とうとするのはやめてくれ」
「え」
「リアルでアカリと関わる気は無い。だから話しかけないでくれ。僕は君との関わりを断つために、君をブロックした」

 するとアカリはぶつぶつと呟き始めた

「なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで!!好きなのに好きって言ってくれたのに!!ねぇ?なんでダメなの?何がだめなの?なんで愛してるって言ったの?なんで?なんで私と一緒にいてくれないの?なんでリアルで関わりを持ってくれないの?なんでネットとリアルは別なの?」

 僕は逃げようと後に振り向こうとしたところで、服を掴まれた。そして、掴んだ手を下に力ずくで下ろした。僕はバランスが取れなくなり、下に手足をつき、アカリを見上げるような体制になった。そして、アカリはそのままの状態で鞄に手を伸ばすと、ガスバーナーを取り出した。

「クラムくん、動いちゃダメだよ」

そういうと、アカリはガスバーナーを付けて僕の前髪を少し燃やした。

「ねぇクラムくん。ここじゃ落ち着いて話せないから私の家行こうか」

アカリはガスバーナーを付けた状態でそう言ってきた。僕は恐怖から頷くことしかできなかった。
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