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第二章 時間
第二話
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その後ウリアは常葉に手を引かれ、
九年前森だった場所―――今は住宅地―――に強制的に連れてこられている。
宴が終わった後、人々がいなくなってから急に大泣きした常葉をほっとくこともできず、
仕方なく待っているとそうなった。
ウリアは今、待たなければよかったと、本気で思っている。
「どうして…」
常葉は絞り出すように、つっかえたような、消え入りそうな声で言う。
背を向けられているため、その表情は詳しくはわからない。
しかしその声は震えていて、泣いているようにも怒っているようにも聞こえる。
「どうしてあのとき笑ってたのっ!」
バッと振り返り常葉は叫ぶ。
常葉は、その顔に怒りを浮かべていたが、目じりには涙を湛えていた。
「どうしてあんなに楽しそうなのっ…!?」
ウリアには、なぜ常葉がこんなに必死なのかは分からない。
だから、
「そりゃあ楽しいだろ。自分が死ぬ時どうなるかなんてわかんねーことだし。
そういうのを他人を通して知れるっつーか…どんな人間も死ぬときはみんな一緒なんだなーって面白くねぇ?」
ははは、とウリアは笑う。
「実際にアレを体験した俺の幼馴染もゾクゾク感がたまんねーとかってめっちゃうれし―――」
ッパァンッッ
弾けるような音ともに、痛み。
一瞬何が起こったかわからず。
しかし常葉を見て徐々に理解する。
常葉に頬を打たれた。
ウリアはブチ切れてやろうかと思ったのだが、彼女の顔を見るとその勢いも削がれていく。
他人が死のうがどうでもいいのに。
明日になったらあの妊婦も腹の子も元気に一日を過ごすのに。
そんなどうでもいいことになぜか必死で怒ったり、
悲しいことでもないのに、涙が枯れるほど泣いたり。
よくわからない表情をしたり。
「ごめんなさい…」
常葉はぽつり、と謝罪をこぼした。
しかしそれは、さっきウリアの頬をはたいたことに関してではないように思えた。
「ごめんなさい…。私が…こういう街にしちゃったんだね…」
独り言のように、俯いて。
「どういうことだよ、トコノハ」
ウリアは問う。
常葉はその質問に、一拍置いて言った。
「私が―――ウリアくんを好きになっちゃったから」
「なっ―――!?」
コイツ何言ってんだ!?
突然の告白に、ウリアはたじろぐ。
常葉はそんなウリアをおいて、なおも独り言のように、
しかし確かにウリアに聞かせるように、つぅー、と頬を伝う涙もそのままに続ける。
「私は…女神なの…。お願いすれば必ず叶っちゃう女神…
あなたも聞いたことあるでしょう?」
ウリアは目を見開いた。
半信半疑ではなく、完全に疑って全く信じてなかった女神が今目の前にいる。
金星では使わない文字。
金星の文字を知らない少女。
初めてのものを見るような感覚で風を感じたり、走り回る少女。
常葉の行動は謎だらけだ。
それは天界で生まれ育った女神だからなのか―――?
「トコノハが…女神…?本当に…?」
おかしい。
なぜなら女神には―――白い翼があるはずなのだ。
子どもの時から聞かされていた女神の容姿には翼があるはずなんだ。
でなければ天界になんか住めないし、地上にも降りてこられないだろう。
常葉の背にはなにもないじゃないか。
そんなウリアの疑問もよそに、彼女は神妙な面持ちで頷いた。
「私、ウリアくんのこと好きになっちゃったから…
あなたが目の前からいなくなっちゃったあの日…もう一度あなたが笑える世界を…
もう誰も大切な人を失って悲しい思いをしないようにって…そう、願ったの…」
それは、ウリアが狼に食べられた後の話。
「そしたら…人が死んでもすぐ生き返るようになっちゃったみたい…
私ははじめ、再びあなたに会えてとってもとってもうれしくて…
ただそれだけだったけど…」
常葉は、ずっと俯いていて顔をあげ、ウリアの目を見る。
エメラルドの瞳とガーネットの瞳が交差する。
目を逸らそうとするウリアの頬に、常葉は手を添える。
「私…街の今の現状を知ってようやく自分の願いが間違っていることを知ったの…。
あの時はまだ十歳にもなってなかった…生きていることが幸せなんだって思ってた…」
ふんわりと香る桃のような甘い薫り。
ウリアは悲しそうに目を伏せる常葉を直視できず、視線を外す。
なぜか常葉の表情は、ウリアの胸を締め付けた。
だから―――
「この街の人はみんなアレを楽しんでる。
みんな楽しそうに笑ってんだからそれでいいじゃねぇか。
お前もいつまでもそうやって泣いてないでさ―――」
「ばかっ!そうじゃないでしょっ!!」
励まそうと言葉を投げかけるも、失敗に終わったようだ。
それもそうだろう。
そもそもウリアには、なぜ常葉がこんなに必死に怒っているのかわからないのだから。
原因もわからないのに、元気づけられるだけの言葉を尽くすことなどできるはずがない。
「みんな命があるんだよ!生きてるんだよ…!?
もしも私がウリアくんを好いてなかったら…あの時あんな願い事しなければ…
みんなちゃんと命の重みを知ってたはずだよね…」
ごめんなさい、ともう今日だけで何度目かわからない常葉の謝罪。
常葉はがっくりとうなだれ、ウリアの顔に添えた手もだらりと下がる。
もしも―――常葉が自分を好きでなかったら。
もしも―――常葉が女神でなかったら。
もしも―――自分ではなく常葉が狼に食べられていたなら。
ウリアはきっと今、ここにこうして立っていることもなくて。
変な少女と話すことも。
あのバカと話すこともなくて。
いずれみんなから忘れられて。
゛ウリア”という存在が消えていく―――。
今こうしてここに立っていて。
変な少女と話して。
あのバカとも話せる。
みんなが゛ウリア”と自分を呼ぶ。
―――存在している。
あぁ。そうか。
自分は今―――生きているんだ。
ウリアは今はじめて自分が生きていることを実感した。
普通に人間一人亡くなっても明日普通に会える。
死に際が滑稽で面白い。
何回も死んでは生き返る人間はまるでおもちゃのよう。
でもそれは―――この常葉という女神が願ったからこそ在る日常で。
もしも彼女が願わなければ。
いったい何人の人を失っていただろう。
あのバカとももう話せないのだろう。
一生会うこともないのだろう。
ここの人間は自分が゛生きている”とは思っていない。
生きながらにして、死んでいる。
そして死んでいることにも気づいていない。
ゾクリ、と悪寒が走る。
死の街と化すここを想像して―――。
「ねぇ」
ふいに常葉に声を掛けられ、ウリアはハッと我に返る。
猫を抱えた常葉がはっきりと目に映った。
「ウリアくん、この猫…殺してみて」
常葉にじゃれつく白い猫。
ウリアはじっとその猫を見る。
ウリアは今までたくさんの生き物を殺してきた。
蝶や蛾の羽根を抜いて放置してみたり。
カエルの手足を引きちぎってみたり。
特に犬は狼と似ているためか、視界に入るだけで嫌悪感が沸々と湧き上がり、
死ぬまで暴力を振るってきたものだ。
猫ぐらい、すぐ殺せる。
ウリアは一歩踏み出す。
猫は足音に気づき、ウリアを見上げる。
何も知らない、猫の無邪気な大きなふたつの目。
その猫の首根っこを掴む。
そしてウリアは、もう片方の手の拳を振り上げた。
―――しかし、その拳は猫に届くことなく、ゆっくり下ろされた。
心臓の鼓動の早鐘。
額に嫌な汗が浮かぶ。
ウリアはかつて感じたことのない息苦しさを感じていた。
「ムリだ…なんで…?」
自分で自分に問う。
しかし、当然自分の知らないことを問うても、自分が応えられるはずもなく。
首を掴む手が離された瞬間、猫は両手足が地に着くと同時に走り去った。
常葉を見るとにぱっと笑った。
「よかった…。ウリアくん、その気持ち忘れないでね。…約束だよ」
常葉は呆然とするウリアの手を持ち、その小指と自分の小指を絡ませる。
その気持ち…?
どの気持ち…?
なんの気持ち…?
なぜ殺せなかった?
どうせ明日生き返る猫を。
―――いくら殺したって、何も変わらないのに。
九年前森だった場所―――今は住宅地―――に強制的に連れてこられている。
宴が終わった後、人々がいなくなってから急に大泣きした常葉をほっとくこともできず、
仕方なく待っているとそうなった。
ウリアは今、待たなければよかったと、本気で思っている。
「どうして…」
常葉は絞り出すように、つっかえたような、消え入りそうな声で言う。
背を向けられているため、その表情は詳しくはわからない。
しかしその声は震えていて、泣いているようにも怒っているようにも聞こえる。
「どうしてあのとき笑ってたのっ!」
バッと振り返り常葉は叫ぶ。
常葉は、その顔に怒りを浮かべていたが、目じりには涙を湛えていた。
「どうしてあんなに楽しそうなのっ…!?」
ウリアには、なぜ常葉がこんなに必死なのかは分からない。
だから、
「そりゃあ楽しいだろ。自分が死ぬ時どうなるかなんてわかんねーことだし。
そういうのを他人を通して知れるっつーか…どんな人間も死ぬときはみんな一緒なんだなーって面白くねぇ?」
ははは、とウリアは笑う。
「実際にアレを体験した俺の幼馴染もゾクゾク感がたまんねーとかってめっちゃうれし―――」
ッパァンッッ
弾けるような音ともに、痛み。
一瞬何が起こったかわからず。
しかし常葉を見て徐々に理解する。
常葉に頬を打たれた。
ウリアはブチ切れてやろうかと思ったのだが、彼女の顔を見るとその勢いも削がれていく。
他人が死のうがどうでもいいのに。
明日になったらあの妊婦も腹の子も元気に一日を過ごすのに。
そんなどうでもいいことになぜか必死で怒ったり、
悲しいことでもないのに、涙が枯れるほど泣いたり。
よくわからない表情をしたり。
「ごめんなさい…」
常葉はぽつり、と謝罪をこぼした。
しかしそれは、さっきウリアの頬をはたいたことに関してではないように思えた。
「ごめんなさい…。私が…こういう街にしちゃったんだね…」
独り言のように、俯いて。
「どういうことだよ、トコノハ」
ウリアは問う。
常葉はその質問に、一拍置いて言った。
「私が―――ウリアくんを好きになっちゃったから」
「なっ―――!?」
コイツ何言ってんだ!?
突然の告白に、ウリアはたじろぐ。
常葉はそんなウリアをおいて、なおも独り言のように、
しかし確かにウリアに聞かせるように、つぅー、と頬を伝う涙もそのままに続ける。
「私は…女神なの…。お願いすれば必ず叶っちゃう女神…
あなたも聞いたことあるでしょう?」
ウリアは目を見開いた。
半信半疑ではなく、完全に疑って全く信じてなかった女神が今目の前にいる。
金星では使わない文字。
金星の文字を知らない少女。
初めてのものを見るような感覚で風を感じたり、走り回る少女。
常葉の行動は謎だらけだ。
それは天界で生まれ育った女神だからなのか―――?
「トコノハが…女神…?本当に…?」
おかしい。
なぜなら女神には―――白い翼があるはずなのだ。
子どもの時から聞かされていた女神の容姿には翼があるはずなんだ。
でなければ天界になんか住めないし、地上にも降りてこられないだろう。
常葉の背にはなにもないじゃないか。
そんなウリアの疑問もよそに、彼女は神妙な面持ちで頷いた。
「私、ウリアくんのこと好きになっちゃったから…
あなたが目の前からいなくなっちゃったあの日…もう一度あなたが笑える世界を…
もう誰も大切な人を失って悲しい思いをしないようにって…そう、願ったの…」
それは、ウリアが狼に食べられた後の話。
「そしたら…人が死んでもすぐ生き返るようになっちゃったみたい…
私ははじめ、再びあなたに会えてとってもとってもうれしくて…
ただそれだけだったけど…」
常葉は、ずっと俯いていて顔をあげ、ウリアの目を見る。
エメラルドの瞳とガーネットの瞳が交差する。
目を逸らそうとするウリアの頬に、常葉は手を添える。
「私…街の今の現状を知ってようやく自分の願いが間違っていることを知ったの…。
あの時はまだ十歳にもなってなかった…生きていることが幸せなんだって思ってた…」
ふんわりと香る桃のような甘い薫り。
ウリアは悲しそうに目を伏せる常葉を直視できず、視線を外す。
なぜか常葉の表情は、ウリアの胸を締め付けた。
だから―――
「この街の人はみんなアレを楽しんでる。
みんな楽しそうに笑ってんだからそれでいいじゃねぇか。
お前もいつまでもそうやって泣いてないでさ―――」
「ばかっ!そうじゃないでしょっ!!」
励まそうと言葉を投げかけるも、失敗に終わったようだ。
それもそうだろう。
そもそもウリアには、なぜ常葉がこんなに必死に怒っているのかわからないのだから。
原因もわからないのに、元気づけられるだけの言葉を尽くすことなどできるはずがない。
「みんな命があるんだよ!生きてるんだよ…!?
もしも私がウリアくんを好いてなかったら…あの時あんな願い事しなければ…
みんなちゃんと命の重みを知ってたはずだよね…」
ごめんなさい、ともう今日だけで何度目かわからない常葉の謝罪。
常葉はがっくりとうなだれ、ウリアの顔に添えた手もだらりと下がる。
もしも―――常葉が自分を好きでなかったら。
もしも―――常葉が女神でなかったら。
もしも―――自分ではなく常葉が狼に食べられていたなら。
ウリアはきっと今、ここにこうして立っていることもなくて。
変な少女と話すことも。
あのバカと話すこともなくて。
いずれみんなから忘れられて。
゛ウリア”という存在が消えていく―――。
今こうしてここに立っていて。
変な少女と話して。
あのバカとも話せる。
みんなが゛ウリア”と自分を呼ぶ。
―――存在している。
あぁ。そうか。
自分は今―――生きているんだ。
ウリアは今はじめて自分が生きていることを実感した。
普通に人間一人亡くなっても明日普通に会える。
死に際が滑稽で面白い。
何回も死んでは生き返る人間はまるでおもちゃのよう。
でもそれは―――この常葉という女神が願ったからこそ在る日常で。
もしも彼女が願わなければ。
いったい何人の人を失っていただろう。
あのバカとももう話せないのだろう。
一生会うこともないのだろう。
ここの人間は自分が゛生きている”とは思っていない。
生きながらにして、死んでいる。
そして死んでいることにも気づいていない。
ゾクリ、と悪寒が走る。
死の街と化すここを想像して―――。
「ねぇ」
ふいに常葉に声を掛けられ、ウリアはハッと我に返る。
猫を抱えた常葉がはっきりと目に映った。
「ウリアくん、この猫…殺してみて」
常葉にじゃれつく白い猫。
ウリアはじっとその猫を見る。
ウリアは今までたくさんの生き物を殺してきた。
蝶や蛾の羽根を抜いて放置してみたり。
カエルの手足を引きちぎってみたり。
特に犬は狼と似ているためか、視界に入るだけで嫌悪感が沸々と湧き上がり、
死ぬまで暴力を振るってきたものだ。
猫ぐらい、すぐ殺せる。
ウリアは一歩踏み出す。
猫は足音に気づき、ウリアを見上げる。
何も知らない、猫の無邪気な大きなふたつの目。
その猫の首根っこを掴む。
そしてウリアは、もう片方の手の拳を振り上げた。
―――しかし、その拳は猫に届くことなく、ゆっくり下ろされた。
心臓の鼓動の早鐘。
額に嫌な汗が浮かぶ。
ウリアはかつて感じたことのない息苦しさを感じていた。
「ムリだ…なんで…?」
自分で自分に問う。
しかし、当然自分の知らないことを問うても、自分が応えられるはずもなく。
首を掴む手が離された瞬間、猫は両手足が地に着くと同時に走り去った。
常葉を見るとにぱっと笑った。
「よかった…。ウリアくん、その気持ち忘れないでね。…約束だよ」
常葉は呆然とするウリアの手を持ち、その小指と自分の小指を絡ませる。
その気持ち…?
どの気持ち…?
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