100 / 111
第四章『ボタン』
船の操舵手はどこに
しおりを挟む
「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「えっと、私達の船の操舵手を探しにきたんですが」
「乗組員のお探しですね? でしたら、こちらの席へお越しください」
そう言いながら、受付の女性は分厚いファイルを取りだし、私達を呼んだ席の真ん中にあるテーブルに開いた。
船舶ギルドの中には人が結構いて、NPCっぽい人が大半かな?
まあ、第三層まで到達してる人も少ないみたいだし、これから少しずつ増えていくんだろうなー。
「まずお客様の船がどの様なものかお聞かせ願えますか?」
「あ、えーっと……」
「外輪船ですね。大きさは家ふたつ分くらいあると思います」
「なるほど…。船のサイズ的には問題ないのですが……外輪船となりますと、私共の所有する船には無い形となりますので、操舵経験のあるものが……」
つまりは、船の機構が特殊だから、操舵できるって言い切れる人がいないってことなんだねー。
というか外輪船って何?
「外輪船っていうのは、船の外に水車みたいなのがついてるやつだにゃー。リンが言うには、ゲームだからこそできる魔法兼用ハイブリット方式とかなんとか言ってたぜー」
「……余計意味がわからなくなったんだけど」
「まあ、リンが楽しそうだから止めるに止めれなくてにゃー」
そこは止めてほしかった。
まあでも、全く作り方を知らないものを、いちから自分で作るっていうのが、楽しみだったんだろうなーって思うし……私がその場にいても止められなかった気がする。
「しかし、住民の方が無理ってなると、やっぱりプレイヤーを探すしかないかにゃー」
「そうですね。冒険者の方々は、操舵の才能を持たれている方もいらっしゃるそうですので」
「操舵の才能? あ、もしかしてスキルのことかな?」
「たぶんそうだと思うぜー。あ、お姉さんありがとうございました。あとは自分達で探してみますー」
「はい。お力になれず申し訳ございません。また何かありましたら、お気軽にお声お掛けください」
頭を下げるケートにならって、私も軽く頭を下げると、受付の女性はファイルを手に離れていった。
まあ、無駄だとは思ってたけど……やっぱり見つからなかったねー。
「でもスキルのことは聞けたし、収穫はあったと思うぜー。見つからなかったら、誰かが【操舵】のスキルを取ってレベル上げるかにゃ」
「だねー。でも、リアルでやったことないことだと、結構難しいよね?」
「だにゃー。特に船になると、リアルでも船舶免許みたいなのがあったりするし」
「そうなの?」
「うむ。たしかボートとかは小型船舶で、フェリーとかの大きいやつは大型船舶ってやつだったはず。前に雑誌で見た程度だからちょっとあやふやだけど」
そうなると、個人用の船は小型で、たくさんの人が乗れる大きいのが大型ってことだよね?
じゃあ、私達の船は……大型かー。
「自動車とかと違って、船は海を進むからにゃー。常に波が起きてるし、風も吹いてるから、技術力がすごい求められそうだぜー」
「あー、私は絶対無理。覚えるのも苦手だし」
「セツナは自分の体で覚えるタイプだからにゃー。いろんなことを考えないといけないことには向いてない気がするぜ」
「うん。だからそういうのはケートに任せるよー」
頭脳担当ってことで、ひとつよろしく。
……いや、ちょっとは考えようとしてるんだけどね?
「っと、メッセージだにゃー。……ミシェルさん?」
「え? ミシェルさん? ちょっと珍しいね」
「うむ。この間は第三層へ到達したことの報告だったからアレだけど、特に何もないときに連絡してくるのは初めてかも」
「まあ、とりあえず見てみたらー?」
私の提案に頷いて、ケートはメッセージを確認する。
するとすぐさま、「え? 相談?」と驚いたような声を出した。
「なんて書いてあったの?」
「んー、相談したいことがあるので、どこかで時間を作ってもらえないかーって」
「ミシェルさんが? ……珍しいねー」
「うむ。とりあえずココに呼んでみるぜ」
言うが早いか、ケートはささっとメッセージを送り返し、メニューを閉じた。
そういうことは一緒にいる人に相談してからするものじゃないかな?
まあ別にいいんだけどさー。
そんなこんなでのんびり話をしつつ待つこと十分ほど。
船舶ギルドの入口に、ミシェルが姿を現した。
「あ、ケートさん、お久しぶりです。セツナさんも」
「久しぶりー」
「お久しぶりです」
ミシェルさんは一人で来たみたいで、私達のすぐそばに腰を下ろす。
そして、少しだけ呼吸を整えてから「メッセージでもお伝えしましたが、ご相談がありまして」と口を開いた。
-----
名前:セツナ
所持金:105,040リブラ
武器:居合刀『紫煙』
防具:戦装束『無鎧』改
テイム:ブラックスコーピオン(幼体)『ハクヤ』
所持スキル:【見切りLv.4】【抜刀術Lv.15】【幻燈蝶Lv.6】【蹴撃Lv.11】【カウンターLv.10】【蝶舞一刀Lv.11】【秘刃Lv.2】【符術Lv.3】【八極拳Lv.5】
「えっと、私達の船の操舵手を探しにきたんですが」
「乗組員のお探しですね? でしたら、こちらの席へお越しください」
そう言いながら、受付の女性は分厚いファイルを取りだし、私達を呼んだ席の真ん中にあるテーブルに開いた。
船舶ギルドの中には人が結構いて、NPCっぽい人が大半かな?
まあ、第三層まで到達してる人も少ないみたいだし、これから少しずつ増えていくんだろうなー。
「まずお客様の船がどの様なものかお聞かせ願えますか?」
「あ、えーっと……」
「外輪船ですね。大きさは家ふたつ分くらいあると思います」
「なるほど…。船のサイズ的には問題ないのですが……外輪船となりますと、私共の所有する船には無い形となりますので、操舵経験のあるものが……」
つまりは、船の機構が特殊だから、操舵できるって言い切れる人がいないってことなんだねー。
というか外輪船って何?
「外輪船っていうのは、船の外に水車みたいなのがついてるやつだにゃー。リンが言うには、ゲームだからこそできる魔法兼用ハイブリット方式とかなんとか言ってたぜー」
「……余計意味がわからなくなったんだけど」
「まあ、リンが楽しそうだから止めるに止めれなくてにゃー」
そこは止めてほしかった。
まあでも、全く作り方を知らないものを、いちから自分で作るっていうのが、楽しみだったんだろうなーって思うし……私がその場にいても止められなかった気がする。
「しかし、住民の方が無理ってなると、やっぱりプレイヤーを探すしかないかにゃー」
「そうですね。冒険者の方々は、操舵の才能を持たれている方もいらっしゃるそうですので」
「操舵の才能? あ、もしかしてスキルのことかな?」
「たぶんそうだと思うぜー。あ、お姉さんありがとうございました。あとは自分達で探してみますー」
「はい。お力になれず申し訳ございません。また何かありましたら、お気軽にお声お掛けください」
頭を下げるケートにならって、私も軽く頭を下げると、受付の女性はファイルを手に離れていった。
まあ、無駄だとは思ってたけど……やっぱり見つからなかったねー。
「でもスキルのことは聞けたし、収穫はあったと思うぜー。見つからなかったら、誰かが【操舵】のスキルを取ってレベル上げるかにゃ」
「だねー。でも、リアルでやったことないことだと、結構難しいよね?」
「だにゃー。特に船になると、リアルでも船舶免許みたいなのがあったりするし」
「そうなの?」
「うむ。たしかボートとかは小型船舶で、フェリーとかの大きいやつは大型船舶ってやつだったはず。前に雑誌で見た程度だからちょっとあやふやだけど」
そうなると、個人用の船は小型で、たくさんの人が乗れる大きいのが大型ってことだよね?
じゃあ、私達の船は……大型かー。
「自動車とかと違って、船は海を進むからにゃー。常に波が起きてるし、風も吹いてるから、技術力がすごい求められそうだぜー」
「あー、私は絶対無理。覚えるのも苦手だし」
「セツナは自分の体で覚えるタイプだからにゃー。いろんなことを考えないといけないことには向いてない気がするぜ」
「うん。だからそういうのはケートに任せるよー」
頭脳担当ってことで、ひとつよろしく。
……いや、ちょっとは考えようとしてるんだけどね?
「っと、メッセージだにゃー。……ミシェルさん?」
「え? ミシェルさん? ちょっと珍しいね」
「うむ。この間は第三層へ到達したことの報告だったからアレだけど、特に何もないときに連絡してくるのは初めてかも」
「まあ、とりあえず見てみたらー?」
私の提案に頷いて、ケートはメッセージを確認する。
するとすぐさま、「え? 相談?」と驚いたような声を出した。
「なんて書いてあったの?」
「んー、相談したいことがあるので、どこかで時間を作ってもらえないかーって」
「ミシェルさんが? ……珍しいねー」
「うむ。とりあえずココに呼んでみるぜ」
言うが早いか、ケートはささっとメッセージを送り返し、メニューを閉じた。
そういうことは一緒にいる人に相談してからするものじゃないかな?
まあ別にいいんだけどさー。
そんなこんなでのんびり話をしつつ待つこと十分ほど。
船舶ギルドの入口に、ミシェルが姿を現した。
「あ、ケートさん、お久しぶりです。セツナさんも」
「久しぶりー」
「お久しぶりです」
ミシェルさんは一人で来たみたいで、私達のすぐそばに腰を下ろす。
そして、少しだけ呼吸を整えてから「メッセージでもお伝えしましたが、ご相談がありまして」と口を開いた。
-----
名前:セツナ
所持金:105,040リブラ
武器:居合刀『紫煙』
防具:戦装束『無鎧』改
テイム:ブラックスコーピオン(幼体)『ハクヤ』
所持スキル:【見切りLv.4】【抜刀術Lv.15】【幻燈蝶Lv.6】【蹴撃Lv.11】【カウンターLv.10】【蝶舞一刀Lv.11】【秘刃Lv.2】【符術Lv.3】【八極拳Lv.5】
8
お気に入りに追加
184
あなたにおすすめの小説
もふもふで始めるVRMMO生活 ~寄り道しながらマイペースに楽しみます~
ゆるり
ファンタジー
☆第17回ファンタジー小説大賞で【癒し系ほっこり賞】を受賞しました!☆
ようやくこの日がやってきた。自由度が最高と噂されてたフルダイブ型VRMMOのサービス開始日だよ。
最初の種族選択でガチャをしたらびっくり。希少種のもふもふが当たったみたい。
この幸運に全力で乗っかって、マイペースにゲームを楽しもう!
……もぐもぐ。この世界、ご飯美味しすぎでは?
***
ゲーム生活をのんびり楽しむ話。
バトルもありますが、基本はスローライフ。
主人公は羽のあるうさぎになって、愛嬌を振りまきながら、あっちへこっちへフラフラと、異世界のようなゲーム世界を満喫します。
カクヨム様にて先行公開しております。
VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?
ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚
そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?
最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO
無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。
名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。
小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。
特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。
姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。
ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。
スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。
そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。
VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
沢山寝たい少女のVRMMORPG〜武器と防具は枕とパジャマ?!〜
雪雪ノ雪
ファンタジー
世界初のフルダイブ型のVRゲーム『Second World Online』通称SWO。
剣と魔法の世界で冒険をするVRMMORPGだ。
このゲームの1番の特徴は『ゲーム内での3時間は現実世界の1時間である』というもの。
これを知った少女、明日香 睡月(あすか すいげつ)は
「このゲームをやれば沢山寝れる!!」
と言いこのゲームを始める。
ゲームを始めてすぐ、ある問題点に気づく。
「お金がないと、宿に泊まれない!!ベットで寝れない!!....敷布団でもいいけど」
何とかお金を稼ぐ方法を考えた明日香がとった行動は
「そうだ!!寝ながら戦えばお金も経験値も入って一石三鳥!!」
武器は枕で防具はパジャマ!!少女のVRMMORPGの旅が今始まる!!
..........寝ながら。
異世界転生? いいえ、チートスキルだけ貰ってVRMMOをやります!
リュース
ファンタジー
主人公の青年、藤堂飛鳥(とうどう・あすか)。
彼は、新発売のVRMMOを購入して帰る途中、事故に合ってしまう。
だがそれは神様のミスで、本来アスカは事故に遭うはずでは無かった。
神様は謝罪に、チートスキルを持っての異世界転生を進めて来たのだが・・・。
アスカはそんなことお構いなしに、VRMMO!
これは、神様に貰ったチートスキルを活用して、VRMMO世界を楽しむ物語。
異世界云々が出てくるのは、殆ど最初だけです。
そちらがお望みの方には、満足していただけないかもしれません。
神速の冒険者〜ステータス素早さ全振りで無双する〜
FREE
ファンタジー
Glavo kaj Magio
通称、【GKM】
これは日本が初めて開発したフルダイブ型のVRMMORPGだ。
世界最大規模の世界、正確な動作、どれを取ってもトップレベルのゲームである。
その中でも圧倒的人気な理由がステータスを自分で決めれるところだ。
この物語の主人公[速水 光]は陸上部のエースだったが車との交通事故により引退を余儀なくされる。
その時このゲームと出会い、ステータスがモノを言うこの世界で【素早さ】に全てのポイントを使うことを決心する…
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる