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第四章『ボタン』
刀を使わない刀使い
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「ウロロロロ」
「【蹴撃】『剛脚』!」
「ウロロロ……」
ドターンと倒れて、そのまま光になって消えていく切り株を、私はなんとも言えない顔で見送る。
だって、鳴き声が変だし……むしろ切り株が鳴き声をあげるってこと自体が変だし。
まあ、サボテンが「サボ、テーン」て鳴く世界だから、もう今さらなんだけど。
「しかし、さっきから切り株っぽい敵には遭遇してるけど、落とすアイテムが、全部『トレントウッド丸太』なんだよねー。ミトさんが言ってたのって、『エルダーウッド丸太』だったはずだし、これとは違うやつなんだよね?」
第一層のアルテラ森林と、北の山の間にいるってことだったので、アルテラ森林奥の湖から北上してきた私は、今、動く切り株相手に足技を炸裂させていた。
切り株なだけに結構硬いんだけど、【蹴撃】スキルの『剛脚』を使えば楽に倒せることが判明しただけに、楽勝だと思ってたんだけどねー。
そもそも、エルダートレントなるモンスターがいない。
どういうことだ。
「もっと奥の方なのかなー?」
アルテラ森林と北の山の間には、なぜかぽっかり平原が広がってるところがあり……そこにトレント達はいたわけで。
山にも登らず、森にも入らない、そんなエリアをさらに奥へと進んでみることにした。
まあ、敵自体は弱いしね。
「ゆえに、これは修行の時! 刀をしまい、呪符をしまい……目を閉じて、己の全身を集中させるのだ!」
とか。
まわりに人がいないからこそできる、ちょっと黒歴史っぽい修行をするのだ!
「右ッ!」
「ウロッ!?」
切り株が近寄ってきた音と気配を感じとり、私は即座に右側へと左のストレートをお見舞いする。
そして、すぐさま右足を動かし、右から蹴り飛ばした。
「……拳で殴るなら、殴るようのスキルも取っておいたらいい気がする。あんまり使うことはなさそうだけど」
蹴りだけで戦えない訳じゃないけど、今回みたいに、斬るのがダメみたいなモンスターが現れたら面倒だしね。
それにほら、武器を奪われても強い! って、ちょっと格好良くない?
「カッコいい私はカッコいいし、うんうん」
となれば、修得可能リストを開いてっと……なんかいっぱいあるなぁ……。
気になるモノを全部見てたら時間かかって仕方ないし、とりあえず今回は素手で戦う用のスキル、と。
「【喧嘩殺法】、【蟷螂拳】、【キックボクシング】……いや、キックボクシングは蹴りだから違うとして、あとは【古式武術】に【八極拳】? 何が違うのか全然わかんないんだけど……」
えーっと、【喧嘩殺法】が相手を倒すためだけにがむしゃらに戦うスキルで、【蟷螂拳】がカマキリみたいな動きで戦うスキル?
カマキリて。
【古式武術】は、柔道とか合気道とか……古来から伝わる戦い方を総合したスキル?
「どれもクセが強い気がする。こうなったら、最後の【八極拳】に賭けて!」
勢いよく詳細を確認してみれば、超接近戦に特化した実直なまでの武術とかなんとか。
そうそうそうそう、こういうのが良いんだよね!
なんのために殴るのかっていえば、相手を倒すために殴るわけだし……効果しか考えてない技がやっぱり一番強いよね!
「そうと決まれば、さっそく取得っと!」
【八極拳】を習得し、自然な形で構えてみれば……なんだか、ぐぐぐっと強制力みたいなのが働いてくる。
それを感じなくなるよう、構えを変更していけば、いい感じの構えになった!
よし、じゃあとりあえず!
「踏み込んで……っととと、踏み込みも細かいサポートがある感じだー。ぐっと力をいれて、ドンッと踏み込んで腰を落とす。そして、同時に手のひらをドンッと叩きつける!」
イメージとしては、足から伝わる衝撃を、そのまま手のひらから発射する感じ?
衝撃が一瞬で突き抜けていくから、なんだかすごい変な感じだけど……ちょっと面白いかも。
「えっと、最初に使える技は……鉄山靠? なんだか難しい漢字でよく分かんないけど、やってみれば分かるよね。『鉄山靠』!」
宣言と共に、両足を揃え、右腕を下へと引きながら、肩から背中の辺りを使って体当たりをするような動きをする。
こ、これって……どんな技か全然わからない!
んー、ここは相手がいないとダメっぽいかなー。
「というわけで、見敵必殺の精神でいってみよー」
テコテコと歩き、見つけたトレントに近づいて、まずは通常の掌打をぶち当てる。
ドゴンと鈍い音が響き、トレントがその場で消えていった。
え、えっと?
「威力、高すぎない?」
いや、もしかするとクリティカルに入っただけかもしれないし。
もう一回試してみよう!
ドゴンッ! キラキラ……。
「え、えぇぇ……」
武器を使わない、素手攻撃とは思えない威力に、さすがの私も驚きを隠せない。
というか、驚く以外の反応ができない。
これって、技を使ったら爆散したりしないよね?
大丈夫だよね?
「……やればわかる。うん、きっと大丈夫」
気合いを入れて、いざトレントと向かい合う。
そして、「ウロロロロ」と攻撃をしてくるトレントを軽くいなし、私は『鉄山靠』を発動させた。
結果、爆散! とまではいかなかったけれど、トレントが吹っ飛んでいき、アルテラ森林の木にぶつかって消えていった。
なんていうか、ほぼ爆散だった。
『エルダーウッド丸太を入手しました』
あ、アレが探してたエルダートレントだったの?
……どんな見た目してたか、全然覚えてないんだけど。
-----
名前:セツナ
所持金:105,040リブラ
武器:居合刀『紫煙』
防具:戦装束『無鎧』改
所持スキル:【見切りLv.4】【抜刀術Lv.15】【幻燈蝶Lv.6】【蹴撃Lv.10】【カウンターLv.10】【蝶舞一刀Lv.11】【秘刃Lv.2】【符術Lv.3】【八極拳Lv.2】
「【蹴撃】『剛脚』!」
「ウロロロ……」
ドターンと倒れて、そのまま光になって消えていく切り株を、私はなんとも言えない顔で見送る。
だって、鳴き声が変だし……むしろ切り株が鳴き声をあげるってこと自体が変だし。
まあ、サボテンが「サボ、テーン」て鳴く世界だから、もう今さらなんだけど。
「しかし、さっきから切り株っぽい敵には遭遇してるけど、落とすアイテムが、全部『トレントウッド丸太』なんだよねー。ミトさんが言ってたのって、『エルダーウッド丸太』だったはずだし、これとは違うやつなんだよね?」
第一層のアルテラ森林と、北の山の間にいるってことだったので、アルテラ森林奥の湖から北上してきた私は、今、動く切り株相手に足技を炸裂させていた。
切り株なだけに結構硬いんだけど、【蹴撃】スキルの『剛脚』を使えば楽に倒せることが判明しただけに、楽勝だと思ってたんだけどねー。
そもそも、エルダートレントなるモンスターがいない。
どういうことだ。
「もっと奥の方なのかなー?」
アルテラ森林と北の山の間には、なぜかぽっかり平原が広がってるところがあり……そこにトレント達はいたわけで。
山にも登らず、森にも入らない、そんなエリアをさらに奥へと進んでみることにした。
まあ、敵自体は弱いしね。
「ゆえに、これは修行の時! 刀をしまい、呪符をしまい……目を閉じて、己の全身を集中させるのだ!」
とか。
まわりに人がいないからこそできる、ちょっと黒歴史っぽい修行をするのだ!
「右ッ!」
「ウロッ!?」
切り株が近寄ってきた音と気配を感じとり、私は即座に右側へと左のストレートをお見舞いする。
そして、すぐさま右足を動かし、右から蹴り飛ばした。
「……拳で殴るなら、殴るようのスキルも取っておいたらいい気がする。あんまり使うことはなさそうだけど」
蹴りだけで戦えない訳じゃないけど、今回みたいに、斬るのがダメみたいなモンスターが現れたら面倒だしね。
それにほら、武器を奪われても強い! って、ちょっと格好良くない?
「カッコいい私はカッコいいし、うんうん」
となれば、修得可能リストを開いてっと……なんかいっぱいあるなぁ……。
気になるモノを全部見てたら時間かかって仕方ないし、とりあえず今回は素手で戦う用のスキル、と。
「【喧嘩殺法】、【蟷螂拳】、【キックボクシング】……いや、キックボクシングは蹴りだから違うとして、あとは【古式武術】に【八極拳】? 何が違うのか全然わかんないんだけど……」
えーっと、【喧嘩殺法】が相手を倒すためだけにがむしゃらに戦うスキルで、【蟷螂拳】がカマキリみたいな動きで戦うスキル?
カマキリて。
【古式武術】は、柔道とか合気道とか……古来から伝わる戦い方を総合したスキル?
「どれもクセが強い気がする。こうなったら、最後の【八極拳】に賭けて!」
勢いよく詳細を確認してみれば、超接近戦に特化した実直なまでの武術とかなんとか。
そうそうそうそう、こういうのが良いんだよね!
なんのために殴るのかっていえば、相手を倒すために殴るわけだし……効果しか考えてない技がやっぱり一番強いよね!
「そうと決まれば、さっそく取得っと!」
【八極拳】を習得し、自然な形で構えてみれば……なんだか、ぐぐぐっと強制力みたいなのが働いてくる。
それを感じなくなるよう、構えを変更していけば、いい感じの構えになった!
よし、じゃあとりあえず!
「踏み込んで……っととと、踏み込みも細かいサポートがある感じだー。ぐっと力をいれて、ドンッと踏み込んで腰を落とす。そして、同時に手のひらをドンッと叩きつける!」
イメージとしては、足から伝わる衝撃を、そのまま手のひらから発射する感じ?
衝撃が一瞬で突き抜けていくから、なんだかすごい変な感じだけど……ちょっと面白いかも。
「えっと、最初に使える技は……鉄山靠? なんだか難しい漢字でよく分かんないけど、やってみれば分かるよね。『鉄山靠』!」
宣言と共に、両足を揃え、右腕を下へと引きながら、肩から背中の辺りを使って体当たりをするような動きをする。
こ、これって……どんな技か全然わからない!
んー、ここは相手がいないとダメっぽいかなー。
「というわけで、見敵必殺の精神でいってみよー」
テコテコと歩き、見つけたトレントに近づいて、まずは通常の掌打をぶち当てる。
ドゴンと鈍い音が響き、トレントがその場で消えていった。
え、えっと?
「威力、高すぎない?」
いや、もしかするとクリティカルに入っただけかもしれないし。
もう一回試してみよう!
ドゴンッ! キラキラ……。
「え、えぇぇ……」
武器を使わない、素手攻撃とは思えない威力に、さすがの私も驚きを隠せない。
というか、驚く以外の反応ができない。
これって、技を使ったら爆散したりしないよね?
大丈夫だよね?
「……やればわかる。うん、きっと大丈夫」
気合いを入れて、いざトレントと向かい合う。
そして、「ウロロロロ」と攻撃をしてくるトレントを軽くいなし、私は『鉄山靠』を発動させた。
結果、爆散! とまではいかなかったけれど、トレントが吹っ飛んでいき、アルテラ森林の木にぶつかって消えていった。
なんていうか、ほぼ爆散だった。
『エルダーウッド丸太を入手しました』
あ、アレが探してたエルダートレントだったの?
……どんな見た目してたか、全然覚えてないんだけど。
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名前:セツナ
所持金:105,040リブラ
武器:居合刀『紫煙』
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所持スキル:【見切りLv.4】【抜刀術Lv.15】【幻燈蝶Lv.6】【蹴撃Lv.10】【カウンターLv.10】【蝶舞一刀Lv.11】【秘刃Lv.2】【符術Lv.3】【八極拳Lv.2】
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