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第二章『名前をつけるなら』
火花散る
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「あ、セツナさん、お帰りなさい。グレンさん達の試合、もう終わっちゃいますよ?」
「うん、ちょっとね」
「……えっと、何かありました? その、ケートさんは」
「だーいじょーぶ。ちょっと宣戦布告されただけだから」
そう言うと「えっ、えっ? 宣戦布告?」と、ワタワタし始めたミトに笑いつつ、試合を眺める。
すると闘技場では、双剣を持ったミシェルが、グレンに追い詰められていた。
あー、確かにもうすぐ終わりそうだねー。
「予想してたけど、ミシェルさんじゃグレンさんの防御を突破できなかった感じかな?」
「え、あ、はい。グレンさんが丁寧に一つずつ潰していった感じです」
「相性最悪」
「あはは、その通りかも。ミシェルさんの戦い方って、本来手数で押すタイプだもんね。防御重視のグレンさん相手は相性悪いだろうなぁ……」
そんなこんな言っていれば、グレンがミシェルを倒し、三位をもぎ取っていた。
順当順当っと。
「さてと……それじゃ、行ってくるかな」
戻ってきたばかりだけど、そう言って私は席を立つ。
すると後ろから「あの、セツナさん」と、ミトの声が掛かった。
「頑張ってきてください。私もカリンさんも、お二人のどちらが勝たれても、嬉しいですし、悔しいですけど……できれば全力で戦って、満足いく結果になって欲しいって思ってます。だから頑張ってきてください」
「ん、頑張れ」
「……うん、やってくる。ケートにも“本気で来い。叩き折ってやる”って言われちゃったしね」
その返しに、ミトは「え!?」って驚いて、カリンは静かに頷く。
だから私はちょっと笑っちゃって、締まらない声で「行ってきます」と、部屋を後にした。
□
私がゲームでケートに勝ったことは、ただの一度もない。
それこそ、フリフロ内の決闘システムでの勝利が、本当に初めての勝利だった。
「そういった意味では、本当に、初めてゲームで隣に立ててるのかもね」
一人で呟いて、一人で笑って、一人で歩く。
隣には誰もいない、でも、この先にケートがいるのは分かってる。
だから私は行くんだ……ケートのところまで。
「や、セツナ。さっきぶりだぜい」
「うん、ケートも。作戦は考えてきた?」
「もちろんだにゃー。……足腰立たなくしてあげる」
「わ、こわこわー。……やれるものなら、やってみなさい」
お互いに笑顔を張り付けながらも、目にだけは熱を灯らせて。
きっとミトが見たら「あわわわ」と、またワタワタするんだろうなぁ、とか思っちゃう。
でも、今はきっとそれでいい。
『それでは決勝戦、セツナ対ケートを始めます。両者準備は良いですか? それでは、試合開始です!』
「ふッ!」
「全面展開、『ウィンドウォール』! 【魔法連結】『クリエイトゴーレム』!」
「ふぎっ、風の壁は面倒だっ!」
「ぶん殴れ、ゴーレム!」
行く手を遮るように発動された風の壁に動きが鈍る。
ケートはその瞬間を逃さず、生み出したゴーレムを動かし、その土の腕を振るわせた。
「甘いッ! 【蝶舞一刀】水の型『水月』!」
「今ッ、モードチェンジ【魔法連結】『ダブルギガントハンマー』!」
ゴーレムを両断すべしと振るった刃は、まさかのモードチェンジにて無に帰され、代わりに上下からのハンマー攻撃で返される。
「ちょっ! っととと!」
「ぐげ、あれ避けるの反則じゃん!」
バックステップでなんとか回避すれば、ケートがムキーと怒りだす。
いやいや、そんなこと言われても。
「むう。まあセツナ相手に、短期決戦はやっぱり無謀かー」
「そりゃ、すぐにはやられないって」
「なら次々いくべし! モードチェンジ【魔法連結】『ダブルスピニングランス』! シュート!」
ハンマーから槍に変化したゴーレムが、私めがけて飛んでくる。
とりあえずそれの片方を避けつつ、もう片方は弾き、回転するように前進。
「今度はこっちの番!」
「させないよ! 『アースウォール』!」
ケートへと一直線に駆けていけば、目の前に土壁が現れる。
ならぶっ壊して進むのが一番早い!
「【蝶舞一刀】火の型『発破』!」
「ッ対応が早い! 『ウィンドブロー』あんど、モードチェンジ【魔法連結】『リターンゴーレム』!」
壁を壊した瞬間を狙うように風の塊が飛んでくる。
さすがに避けれず、勘を頼りに刀を振るうも、横から攻めてきたゴーレムに吹っ飛ばされた。
「ッ! は、」
「ようやく一発……」
かなり綺麗に入ったからか、たった一発と言えど、HPは二割ほど持っていかれた。
……さすがケートと言うべきか、【幻燈蝶】の弱点をしっかりと突いてきてる。
しかし、とりあえず近づかないといけないけど……どうするかな?
「まあ、考えたところで、ケートには予想されてるか……」
「そういうこと。それじゃ次行くよ……『フレアバーン』!」
「ッ!」
一息ついた直後に、足元からの火柱。
それを咄嗟に前へ飛んで回避し、一気に距離を詰めていく。
「ぶっ飛べ、一極集中『ウィンドブロー』!」
「断る! 【蝶舞一刀】風の型『旋花』!」
襲い来る風の塊を、こちらも一点集中した斬撃で叩き割る。
そして一気に距離を縮め、すれ違い様に斬りつけた。
「うぎッ! 『フレイムウォール』!」
「っと!」
炎でできた壁を挟み、私とケートはまた距離を開ける。
さっきの一撃がクリティカルに入って約二割。
これはホントにキツいなぁ……。
-----
名前:セツナ
所持金:11,590リブラ
武器:居合刀『紫煙』
防具:戦装束『無鎧』
所持スキル:【見切りLv.4】【抜刀術Lv.14】【幻燈蝶Lv.4】【蹴撃Lv.6】【カウンターLv.9】【蝶舞一刀Lv.8】【秘刃Lv.2】
「うん、ちょっとね」
「……えっと、何かありました? その、ケートさんは」
「だーいじょーぶ。ちょっと宣戦布告されただけだから」
そう言うと「えっ、えっ? 宣戦布告?」と、ワタワタし始めたミトに笑いつつ、試合を眺める。
すると闘技場では、双剣を持ったミシェルが、グレンに追い詰められていた。
あー、確かにもうすぐ終わりそうだねー。
「予想してたけど、ミシェルさんじゃグレンさんの防御を突破できなかった感じかな?」
「え、あ、はい。グレンさんが丁寧に一つずつ潰していった感じです」
「相性最悪」
「あはは、その通りかも。ミシェルさんの戦い方って、本来手数で押すタイプだもんね。防御重視のグレンさん相手は相性悪いだろうなぁ……」
そんなこんな言っていれば、グレンがミシェルを倒し、三位をもぎ取っていた。
順当順当っと。
「さてと……それじゃ、行ってくるかな」
戻ってきたばかりだけど、そう言って私は席を立つ。
すると後ろから「あの、セツナさん」と、ミトの声が掛かった。
「頑張ってきてください。私もカリンさんも、お二人のどちらが勝たれても、嬉しいですし、悔しいですけど……できれば全力で戦って、満足いく結果になって欲しいって思ってます。だから頑張ってきてください」
「ん、頑張れ」
「……うん、やってくる。ケートにも“本気で来い。叩き折ってやる”って言われちゃったしね」
その返しに、ミトは「え!?」って驚いて、カリンは静かに頷く。
だから私はちょっと笑っちゃって、締まらない声で「行ってきます」と、部屋を後にした。
□
私がゲームでケートに勝ったことは、ただの一度もない。
それこそ、フリフロ内の決闘システムでの勝利が、本当に初めての勝利だった。
「そういった意味では、本当に、初めてゲームで隣に立ててるのかもね」
一人で呟いて、一人で笑って、一人で歩く。
隣には誰もいない、でも、この先にケートがいるのは分かってる。
だから私は行くんだ……ケートのところまで。
「や、セツナ。さっきぶりだぜい」
「うん、ケートも。作戦は考えてきた?」
「もちろんだにゃー。……足腰立たなくしてあげる」
「わ、こわこわー。……やれるものなら、やってみなさい」
お互いに笑顔を張り付けながらも、目にだけは熱を灯らせて。
きっとミトが見たら「あわわわ」と、またワタワタするんだろうなぁ、とか思っちゃう。
でも、今はきっとそれでいい。
『それでは決勝戦、セツナ対ケートを始めます。両者準備は良いですか? それでは、試合開始です!』
「ふッ!」
「全面展開、『ウィンドウォール』! 【魔法連結】『クリエイトゴーレム』!」
「ふぎっ、風の壁は面倒だっ!」
「ぶん殴れ、ゴーレム!」
行く手を遮るように発動された風の壁に動きが鈍る。
ケートはその瞬間を逃さず、生み出したゴーレムを動かし、その土の腕を振るわせた。
「甘いッ! 【蝶舞一刀】水の型『水月』!」
「今ッ、モードチェンジ【魔法連結】『ダブルギガントハンマー』!」
ゴーレムを両断すべしと振るった刃は、まさかのモードチェンジにて無に帰され、代わりに上下からのハンマー攻撃で返される。
「ちょっ! っととと!」
「ぐげ、あれ避けるの反則じゃん!」
バックステップでなんとか回避すれば、ケートがムキーと怒りだす。
いやいや、そんなこと言われても。
「むう。まあセツナ相手に、短期決戦はやっぱり無謀かー」
「そりゃ、すぐにはやられないって」
「なら次々いくべし! モードチェンジ【魔法連結】『ダブルスピニングランス』! シュート!」
ハンマーから槍に変化したゴーレムが、私めがけて飛んでくる。
とりあえずそれの片方を避けつつ、もう片方は弾き、回転するように前進。
「今度はこっちの番!」
「させないよ! 『アースウォール』!」
ケートへと一直線に駆けていけば、目の前に土壁が現れる。
ならぶっ壊して進むのが一番早い!
「【蝶舞一刀】火の型『発破』!」
「ッ対応が早い! 『ウィンドブロー』あんど、モードチェンジ【魔法連結】『リターンゴーレム』!」
壁を壊した瞬間を狙うように風の塊が飛んでくる。
さすがに避けれず、勘を頼りに刀を振るうも、横から攻めてきたゴーレムに吹っ飛ばされた。
「ッ! は、」
「ようやく一発……」
かなり綺麗に入ったからか、たった一発と言えど、HPは二割ほど持っていかれた。
……さすがケートと言うべきか、【幻燈蝶】の弱点をしっかりと突いてきてる。
しかし、とりあえず近づかないといけないけど……どうするかな?
「まあ、考えたところで、ケートには予想されてるか……」
「そういうこと。それじゃ次行くよ……『フレアバーン』!」
「ッ!」
一息ついた直後に、足元からの火柱。
それを咄嗟に前へ飛んで回避し、一気に距離を詰めていく。
「ぶっ飛べ、一極集中『ウィンドブロー』!」
「断る! 【蝶舞一刀】風の型『旋花』!」
襲い来る風の塊を、こちらも一点集中した斬撃で叩き割る。
そして一気に距離を縮め、すれ違い様に斬りつけた。
「うぎッ! 『フレイムウォール』!」
「っと!」
炎でできた壁を挟み、私とケートはまた距離を開ける。
さっきの一撃がクリティカルに入って約二割。
これはホントにキツいなぁ……。
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名前:セツナ
所持金:11,590リブラ
武器:居合刀『紫煙』
防具:戦装束『無鎧』
所持スキル:【見切りLv.4】【抜刀術Lv.14】【幻燈蝶Lv.4】【蹴撃Lv.6】【カウンターLv.9】【蝶舞一刀Lv.8】【秘刃Lv.2】
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