採取はゲームの基本です!! ~採取道具でだって戦えます~

一色 遥

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第3章

第340話 未完成ルームツアー

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「とりあえず、ここから地下に降りれるようになってるんでい」
「ふむふむ」

 まだドアが付いてない、壁で仕切られただけの一階部分を案内されつつ、僕らは家を見て回っていた。
 地下室へは家の奥の方にある廊下から行けるようにするらしい。
 間取り図を見るに、地下室への階段近くには裏庭から家へ入るための裏口も設置してくれるようで、リュンさん達"戦闘メインのメンバー"が、地下室の物置へアクセスしやすい導線にしてくれているようだ。

 ちなみに木造といっても、丸太で作るログハウス的な建物ではなく、板状に加工して壁を作るタイプの木造家屋だった。
 イルビンの街も含めて、ゲームの中で僕の見てきた建物は、大体が木組みに漆喰で壁を作っているような建物ばかりだっただけに、完全に木で作られている家というのは……不思議と新鮮な感じがする。

「分かってると思うが、庭のスペースは裏庭に大きく取って、そっちを訓練施設にする予定だぜい」
「はーい! ありがとー!」

 言われて裏庭に目を向ければ、広々とした空き地が目の前に広がっていた。
 木の杭とロープで仕切ってある部分までが僕らの土地だけど……もう一軒くらいは家が建ちそうなくらいには広い。
 これはかなりの訓練施設が出来そうだ。

「……でもこれだけ広いなら、複数人でのチーム戦なんかも出来そうですね。まあ、僕らのギルドだと難しそうですけど」
「ん、リュンがいるから」

 むしろ、リュンさんを相手にするなら、リュンさんvs残りの全員って組み合わせじゃないと、バランスが取れないかも。
 ……いや、それでも勝ちそうなのがリュンさんだけどさ。

「それならいっそ、他のギルドのやつらも呼んで模擬戦とかどうですかい? 赤鬼の相手が出来るって言われれば、名乗りを上げるギルドもあるはずですぜ?」
「そうなの?」
「イベントの上位入賞に加えて、公式PVでも結構目立ってるのよぉ? リュンは戦い方が派手だからぁ……」

 僕にそう説明して、フェンさんは疲れたように短く息を吐く。
 どうやらその辺りのことで、リュンさんと色々あったみたい?
 まあ多分、戦い方に興味を持った人とかがいっぱい話しかけてきたとか、それでリュンさんが爆発したりとか、そういったことがあったんだろうなぁ……。

「んで、ここがアキさんの作業場になる予定の場所でい! まだなんも入れてねえが、雑貨屋アルジェの作業場を参考に、似た雰囲気で作る予定だ!」
「ん? おばちゃんの作業場?」
「おう! あっちじゃアキさんの作業場はそこだって聞いたからよ! ちょいと調べておいたんでい!」

 木造家屋の中に突然現れた石壁の部屋。
 僕の作業場になる予定の部屋は一階の北東側にあって、換気や採光に使う窓もしっかりつけられている、約10畳(木山さん曰く)の部屋だった。
 気になって窓枠を見てみれば、どうやらこの部屋だけ、内壁として土の塗り壁加工がされてるみたいだ。
 ……不思議な作りだけど、大丈夫なんだろうか?

「確かに現実じゃ、ちょっとお勧めはしない施工でい! ただ、この世界は色々とシステムで弄れるみたいだからな! こういう遊び心がある建物でもじゃんじゃん建てられるってわけだ!」
「システムですか? スキル効果みたいな?」
「おう! 本来なら、結露だ臭いだと色々気にする必要があるんですが、その辺まとめて一括で対処出来るんでさぁ! まあ、これがやれるのは、ギルドハウスを作るときだけなんですがねぇ……」
「そっか、ギルドハウスに対してだけ……」

 つまり、主にプレイヤーが使う施設に対しては、いろいろとシステムでの補助が掛けられるってことなんだろう。
 まあ、確かに……リアルが立て込んでなかなかログイン出来ないってなると、その間に家の状態がめちゃくちゃになっちゃうだろうし、そういった場合に備えての救済処置ってやつなんだろうな。
 ……久々にログインしたら、家が埃まみれで、ログイン中ずっと掃除するだけ……みたいなことにはならないらしい。

「それでアキさん。この部屋に関して、要望なんかはないですかい? 棚の位置だとか、設備の位置やら内容なんかのよ」
「そうですね……。作業台は2つから3つあると助かります。できれば机の手前でも奥でも、どちらでも作業が可能な形で作ってもらえれば。それと、棚が……」
「ふむふむ」
「あと、乾燥を窓際で行うので……」

 システムメモを取りながら聞いている木山さんの前で、僕は作業を思い出しながら色々な希望を出す。
 もちろん念話でシルフからも要望を聞き、それも伝えていきながら。
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