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第3章
第329話 はじめてのきょうどうさぎょう
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「それじゃ、頑張って伐っていきましょー」
「「おー」!」
ギルドメンバー5人総出で、木山さんが教えてくれた伐採場に来た僕らは、さっそくと作業に取りかかることになった。
というか、僕のかけ声に反応してくれたのが、ラミナさんとハスタさんだけっていうのはなんかちょっと寂しい気がするけど……。
でも、フェンさんとかリュンさんが「おー!」って手を上げるのは、なんだか想像出来ない気もするし、そういうものなのかもしれない。
「それでアキ。どの辺りを伐れば良いのかのう?」
「えっと、僕らのいる辺りから、大体半径30メートルくらいかな? その辺りは伐っても大丈夫らしいよ」
「ふむ。なら儂は奥からやるかの」
「なら、私はリュンちゃんについて行くよー!」
「うん。お願い」
「別に一人でも良いんじゃが……」と、ぶつくさ言いながらも、ハスタさんと一緒に奥へと向かうリュンさんを見送り、僕もインベントリから斧を取り出す。
そして、勢いよく近くの樹へと斧を叩きつけた。
「よいっ、しょ!」
ドコッ、ズコッと音を立てて樹に斧を入れていくものの……やはりなかなか伐れない。
イベントの時にも伐ったけど、やっぱり結構大変だなぁ……。
「アキちゃん。ある程度まで伐ったら、次の樹に行ってくれていいわぁ。倒すのは、ミーとラミナちゃんでやっておくわ」
「ん? 良いんですか?」
「ええ、もちろん。こちらは任せてねぇ」
「アキ、任せて」
柔らかく微笑むフェンさんの隣で、ラミナさんが“ふんっ”と力を入れてみせる。
力強さよりも、可愛さのほうが際だって感じられたけど……せっかくやる気を出してくれてるんだし……お願いしとくかな。
「それじゃ、僕はある程度切れ込みを入れたら、次の樹に移っていくので」
「ええ、お願いねぇ」
「はい!」
◇◇◇
「つ、つかれた……」
ドコッ、スコッ、カコーンと樹を伐ること一時間ほど。
僕は手の痺れと共に、激しい疲労感に襲われていた。
「そういえば、前に伐った時は……オリオンさんが折ってくれたりしたんだっけ?」
確か掌打でドゴッとやって、折ってくれてたはず。
今から考えても、あの威力はすさまじい気がするなぁ……。
「でも、あの時の樹よりも、なんだか今回の樹の方が硬いような気がするんだよね。前は一発で、もう少し奥まで入ってた気がするんだけど」
それこそ、修練を積めば一発で折れそうなくらいには。
まあ、さすがにそれはムリだろうけどね。
「あのイベントもなんだかんだで楽しかったなぁ……。みんなでいろいろ考えて、知らない人とも会ったり話したりして、結構面白かったし」
「ん。面白かった」
「まあ、途中からいろいろ流されたり、任されたりで波乱しかなかったけど……」
その結果、ドライアドを預かることにもなっちゃったわけだし、良いことばっかりじゃないのもアレだけどね……。
入手したスキルだって今のところ使うこともできないし、なんだか有名人扱いされるようになっちゃったし……。
「アキ、走り回ってた」
「そう?」
「ん、そう」
「そんなに走り回ってた気もしないんだけど……いや、走り回ってたかな」
それこそ、樹を伐りに行ったりとか。
僕としては、そろそろ落ち着いて調薬の時間を取りたいんだけど……。
「家が出来れば落ち着けるかなぁ……」
「たぶん?」
「そこは断言してほしかったりするんだけども」
ラミナさんと少しばかりの休憩に身を任せていれば、離れた場所からは「ちょ! 危険危険ー!」と慌てたようなハスタさんの声が聞こえ……直後にズドンッと大きな地響きが飛んできた。
音量的に、数本まとめて倒れたって感じがするんだけど。
「相変わらず、あの子達は元気ねぇ」
「あの子達っていうか、主にハスタさんが、ですよね」
「ん」
「そうねぇ。でも、リュンも楽しそうに伐ってるみたいだわぁ」
ほのぼのと話す僕ら……ではあるが、実際のところは「うひゃー!?」とか「しぬ、死んじゃう!」とか聞こえてきているので ハスタさんとしては楽しいどころの話ではなさそうだけども。
でも、まあリュンさんが楽しそうっていうのは分かるかな?
「木山さんからは、丸太なら50本くらいで十分って聞いてるし、もういっそこのままリュンさんに任せておいたら終わらないかなーって思ってるんだけど……」
「ん。終わりそう」
「終わりそうねぇ。ハスタちゃんが死なない限りは大丈夫そうよぉ」
「言っといてなんですけど、まるで餌みたいな扱いですね」
「ふふっ、否定はしないわぁ」
……後でハスタさんには、なにか美味しいものでも奢ってあげよう。
「「おー」!」
ギルドメンバー5人総出で、木山さんが教えてくれた伐採場に来た僕らは、さっそくと作業に取りかかることになった。
というか、僕のかけ声に反応してくれたのが、ラミナさんとハスタさんだけっていうのはなんかちょっと寂しい気がするけど……。
でも、フェンさんとかリュンさんが「おー!」って手を上げるのは、なんだか想像出来ない気もするし、そういうものなのかもしれない。
「それでアキ。どの辺りを伐れば良いのかのう?」
「えっと、僕らのいる辺りから、大体半径30メートルくらいかな? その辺りは伐っても大丈夫らしいよ」
「ふむ。なら儂は奥からやるかの」
「なら、私はリュンちゃんについて行くよー!」
「うん。お願い」
「別に一人でも良いんじゃが……」と、ぶつくさ言いながらも、ハスタさんと一緒に奥へと向かうリュンさんを見送り、僕もインベントリから斧を取り出す。
そして、勢いよく近くの樹へと斧を叩きつけた。
「よいっ、しょ!」
ドコッ、ズコッと音を立てて樹に斧を入れていくものの……やはりなかなか伐れない。
イベントの時にも伐ったけど、やっぱり結構大変だなぁ……。
「アキちゃん。ある程度まで伐ったら、次の樹に行ってくれていいわぁ。倒すのは、ミーとラミナちゃんでやっておくわ」
「ん? 良いんですか?」
「ええ、もちろん。こちらは任せてねぇ」
「アキ、任せて」
柔らかく微笑むフェンさんの隣で、ラミナさんが“ふんっ”と力を入れてみせる。
力強さよりも、可愛さのほうが際だって感じられたけど……せっかくやる気を出してくれてるんだし……お願いしとくかな。
「それじゃ、僕はある程度切れ込みを入れたら、次の樹に移っていくので」
「ええ、お願いねぇ」
「はい!」
◇◇◇
「つ、つかれた……」
ドコッ、スコッ、カコーンと樹を伐ること一時間ほど。
僕は手の痺れと共に、激しい疲労感に襲われていた。
「そういえば、前に伐った時は……オリオンさんが折ってくれたりしたんだっけ?」
確か掌打でドゴッとやって、折ってくれてたはず。
今から考えても、あの威力はすさまじい気がするなぁ……。
「でも、あの時の樹よりも、なんだか今回の樹の方が硬いような気がするんだよね。前は一発で、もう少し奥まで入ってた気がするんだけど」
それこそ、修練を積めば一発で折れそうなくらいには。
まあ、さすがにそれはムリだろうけどね。
「あのイベントもなんだかんだで楽しかったなぁ……。みんなでいろいろ考えて、知らない人とも会ったり話したりして、結構面白かったし」
「ん。面白かった」
「まあ、途中からいろいろ流されたり、任されたりで波乱しかなかったけど……」
その結果、ドライアドを預かることにもなっちゃったわけだし、良いことばっかりじゃないのもアレだけどね……。
入手したスキルだって今のところ使うこともできないし、なんだか有名人扱いされるようになっちゃったし……。
「アキ、走り回ってた」
「そう?」
「ん、そう」
「そんなに走り回ってた気もしないんだけど……いや、走り回ってたかな」
それこそ、樹を伐りに行ったりとか。
僕としては、そろそろ落ち着いて調薬の時間を取りたいんだけど……。
「家が出来れば落ち着けるかなぁ……」
「たぶん?」
「そこは断言してほしかったりするんだけども」
ラミナさんと少しばかりの休憩に身を任せていれば、離れた場所からは「ちょ! 危険危険ー!」と慌てたようなハスタさんの声が聞こえ……直後にズドンッと大きな地響きが飛んできた。
音量的に、数本まとめて倒れたって感じがするんだけど。
「相変わらず、あの子達は元気ねぇ」
「あの子達っていうか、主にハスタさんが、ですよね」
「ん」
「そうねぇ。でも、リュンも楽しそうに伐ってるみたいだわぁ」
ほのぼのと話す僕ら……ではあるが、実際のところは「うひゃー!?」とか「しぬ、死んじゃう!」とか聞こえてきているので ハスタさんとしては楽しいどころの話ではなさそうだけども。
でも、まあリュンさんが楽しそうっていうのは分かるかな?
「木山さんからは、丸太なら50本くらいで十分って聞いてるし、もういっそこのままリュンさんに任せておいたら終わらないかなーって思ってるんだけど……」
「ん。終わりそう」
「終わりそうねぇ。ハスタちゃんが死なない限りは大丈夫そうよぉ」
「言っといてなんですけど、まるで餌みたいな扱いですね」
「ふふっ、否定はしないわぁ」
……後でハスタさんには、なにか美味しいものでも奢ってあげよう。
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