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第2章 現実と仮想現実
第212話 中間発表
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「あの後あったんは、このイベントの中間発表や」
今の時間をシステムで確認していた僕に向けて、トーマ君がそう告げてくる。
ちなみに時間の方は、決闘開始からすでに2時間が経過していた。
「中間発表?」
「せやで。詳しく言うと、どうやらこのイベント。個人個人でのランキングが出るみたいや。戦闘貢献度やら、拠点貢献度やら……探索貢献度みたいなんもあったな」
「へー……」
トーマ君の話を要約すると、それぞれのプレイヤーの行動を、各ジャンル毎に計測していき、そのポイント数でランキングが出るらしい。
戦闘貢献度だと、魔物を倒した数とか、ボスの撃破とか……ほかにも回復をした回数や量、補助魔法の使用数とかも計測に入るみたい。
詳しくは秘密らしいけど、結構色々やってるんだなぁ……。
「それなら、アルさんは戦闘、僕は拠点、トーマ君は探索って感じにポイントが高くなりそうだね」
「いや、それがそうでもなさそうや。なんか、作成物の使用もポイントになるってことで、アキやったらポーションを使われた回数なんかが戦闘貢献度に加えられるってわけや」
「えっと、それって……」
「アキが作ったポーションをアルに渡したとして、それをアルが使ったらポイントで加算ってわけやな。もちろん意味なく使うんはあかんみたいやけど」
他にも、スミスさんのように鍛冶を専門にしてる人なら、武器を研いだり、作った武器を使用して貰うだけでも多少なりとポイントが加算されるらしい。
もちろん戦ってる本人が一番多く貰えるんだけど、生産プレイヤーは生産品でポイントが稼げるのが良いかな。
拠点貢献はNPCの手伝いや、拠点設備の設置や向上など。
探索貢献は探索した距離や、アイテムの採取なんかが含まれるみたいだ。
――つまり、このイベントでプレイヤーが行動すればするほど、何かしらの形でポイントが加算される仕組みらしい。
「長時間ログインが基本有利やけど、ボスや強敵撃破なんかでどかんと稼ぐことも可能みたいやし、ひとつの分野に絞ってポイントを稼ぐってのも手やろ」
「ふむ……それなら儂は自由に動かせて貰うとするかの。元より組んでいるわけではないしのぅ」
トーマ君の説明を、部屋の壁に寄りかかりながら聞いていたリュンさんが、そう口にする。
実際、リュンさんのプレイスタイルなら、自由に戦いに出る方が向いてるかな?
んー……でも……。
「リュンさん、これ持って行ってよ」
「なんじゃ? また劇薬か?」
「違う違う。今度はちゃんとしたお薬だよ。最下級の味付きと、下級の良品。今持ってるのがそこまで無いから少ないけど、また足りなくなったら連絡して。材料とか状況次第にはなるけど作るよ」
「ほぅ。ならばその時はまた世話になるかのう。すまぬな」
「気にしないで」と、笑いながらお薬を手渡す。
正直、リュンさんにお薬が必要なのかどうかは分からないけど、持ってるだけでもいざという時の保険にはなるしね。
それぞれを数本ずつ受け取った後、リュンさんは扉を開けて部屋を出て行った。
……そういえば拠点に向かう途中にした約束。
あれはどうなったんだろう……。
「そんじゃ俺もそろそろ一度落ちて寝るわ。さすがにええ時間になってきたしな」
「あ、うん。ありがとね」
「構へん構へん。せやアキ、後でこの部屋から続いとる広間に行ってやってくれや。そこで待っとるやつがおるから」
「え? うん」
「そんじゃ落ちるわ。ラミナさん、あと頼んだわ」
「わかった」
僕とラミナさんに手を振って、トーマ君がゲームからログアウトする。
それを2人で見送って、僕はラミナさんへと顔を向けた。
「待ってる人がいるって。ラミナさん、誰か知ってる?」
「知らない」
「そっか……。トーマ君が一緒に行かないってことは、多分問題無いってことなんだろうけど」
まぁ、ここで考えても仕方ないか。
そう思ってベッドから降りようとした僕の左手を、ラミナさんの右手がそっと包んできた。
「ラミナさん? どうかし、た……?」
見上げるようにして見た彼女の顔は相変わらずの無表情。
でもなぜか、少しだけ。
――優しく見守ってくれてるような、そんな気がした。
今の時間をシステムで確認していた僕に向けて、トーマ君がそう告げてくる。
ちなみに時間の方は、決闘開始からすでに2時間が経過していた。
「中間発表?」
「せやで。詳しく言うと、どうやらこのイベント。個人個人でのランキングが出るみたいや。戦闘貢献度やら、拠点貢献度やら……探索貢献度みたいなんもあったな」
「へー……」
トーマ君の話を要約すると、それぞれのプレイヤーの行動を、各ジャンル毎に計測していき、そのポイント数でランキングが出るらしい。
戦闘貢献度だと、魔物を倒した数とか、ボスの撃破とか……ほかにも回復をした回数や量、補助魔法の使用数とかも計測に入るみたい。
詳しくは秘密らしいけど、結構色々やってるんだなぁ……。
「それなら、アルさんは戦闘、僕は拠点、トーマ君は探索って感じにポイントが高くなりそうだね」
「いや、それがそうでもなさそうや。なんか、作成物の使用もポイントになるってことで、アキやったらポーションを使われた回数なんかが戦闘貢献度に加えられるってわけや」
「えっと、それって……」
「アキが作ったポーションをアルに渡したとして、それをアルが使ったらポイントで加算ってわけやな。もちろん意味なく使うんはあかんみたいやけど」
他にも、スミスさんのように鍛冶を専門にしてる人なら、武器を研いだり、作った武器を使用して貰うだけでも多少なりとポイントが加算されるらしい。
もちろん戦ってる本人が一番多く貰えるんだけど、生産プレイヤーは生産品でポイントが稼げるのが良いかな。
拠点貢献はNPCの手伝いや、拠点設備の設置や向上など。
探索貢献は探索した距離や、アイテムの採取なんかが含まれるみたいだ。
――つまり、このイベントでプレイヤーが行動すればするほど、何かしらの形でポイントが加算される仕組みらしい。
「長時間ログインが基本有利やけど、ボスや強敵撃破なんかでどかんと稼ぐことも可能みたいやし、ひとつの分野に絞ってポイントを稼ぐってのも手やろ」
「ふむ……それなら儂は自由に動かせて貰うとするかの。元より組んでいるわけではないしのぅ」
トーマ君の説明を、部屋の壁に寄りかかりながら聞いていたリュンさんが、そう口にする。
実際、リュンさんのプレイスタイルなら、自由に戦いに出る方が向いてるかな?
んー……でも……。
「リュンさん、これ持って行ってよ」
「なんじゃ? また劇薬か?」
「違う違う。今度はちゃんとしたお薬だよ。最下級の味付きと、下級の良品。今持ってるのがそこまで無いから少ないけど、また足りなくなったら連絡して。材料とか状況次第にはなるけど作るよ」
「ほぅ。ならばその時はまた世話になるかのう。すまぬな」
「気にしないで」と、笑いながらお薬を手渡す。
正直、リュンさんにお薬が必要なのかどうかは分からないけど、持ってるだけでもいざという時の保険にはなるしね。
それぞれを数本ずつ受け取った後、リュンさんは扉を開けて部屋を出て行った。
……そういえば拠点に向かう途中にした約束。
あれはどうなったんだろう……。
「そんじゃ俺もそろそろ一度落ちて寝るわ。さすがにええ時間になってきたしな」
「あ、うん。ありがとね」
「構へん構へん。せやアキ、後でこの部屋から続いとる広間に行ってやってくれや。そこで待っとるやつがおるから」
「え? うん」
「そんじゃ落ちるわ。ラミナさん、あと頼んだわ」
「わかった」
僕とラミナさんに手を振って、トーマ君がゲームからログアウトする。
それを2人で見送って、僕はラミナさんへと顔を向けた。
「待ってる人がいるって。ラミナさん、誰か知ってる?」
「知らない」
「そっか……。トーマ君が一緒に行かないってことは、多分問題無いってことなんだろうけど」
まぁ、ここで考えても仕方ないか。
そう思ってベッドから降りようとした僕の左手を、ラミナさんの右手がそっと包んできた。
「ラミナさん? どうかし、た……?」
見上げるようにして見た彼女の顔は相変わらずの無表情。
でもなぜか、少しだけ。
――優しく見守ってくれてるような、そんな気がした。
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