160 / 345
第2章 現実と仮想現実
第161話 ウッディーマウンテン
しおりを挟む
とりあえず窓のそばにお皿を置いて、薬草を干していく。
ラミナさんが言うには、現実だと1週間とかかかるみたいなんだよね……。
さすがに、そこに関してはゲームっぽく短くなってくれたら嬉しいけど。
「さてと……それじゃ、ささっとお薬を作ってしまおうかな!」
「手伝う」
「ん? 手伝ってくれる? それだったら、このお鍋に水を入れてもらえる?」
僕のお願いに小さく頷いてから、彼女はお鍋を持って水を入れにいく。
あー……こういう作業も、シルフがいてくれたら気を利かしてくれてたんだよねぇ……。
知らない間に、結構依存しちゃってるかも。
「アキ、なんだか寂しそう」
「え? そう?」
「今も、昨日も」
あー……そういえば、昨日もシルフのことを考えてた時に、声をかけられたんだっけ?
ラミナさん、よく見てるなぁ……。
本人はほとんど表情変わらないのに。
「ちょっとね。ライフを始めて、ずっと一緒だった友達がいたんだけど、イベントには参加できなかったみたいで」
「そう」
「うん。だから、少し寂しいのは寂しいかな。こうして、お薬を作るときも手伝ってくれてたからね」
そう言いながらも、少し恥ずかしくて……つい笑いながら頬を指で掻いてしまう。
シルフも寂しがってくれてるかな……。
街で帰りを待ってくれてるかな?
むしろ、彼女のことだから、繋がってる契約のパスを辿ってこっちに来たりして……。
「それはないか」
「……?」
「なんでもないよ。お水、ありがとうね」
ラミナさんからお鍋を受け取り、火にかける。
さっきお水を入れてもらってる間に薬草は切ったし、とりあえず沸くまで待つかな。
そういえば、ハスタさんがいないけど……?
「ラミナさん。ハスタさんは? 一緒じゃないの?」
「姉さんは森」
「森……? あぁ、先に伐採場所に行ってるってこと?」
「そう」
まぁ、ハスタさんの性格的に、お薬作ってるところとか見ても楽しくないだろうしね。
それだったら、森にいって魔物倒したり、体動かしてる方が良いってなるかな……。
「あ」
「……?」
「そういえば今日……アルさん達も行ってるんだった」
まぁ、オリオンさんがいるし、大丈夫だよね……?
僕の方に念話も来てないし、きっと大丈夫。
……たぶん。
「っと、そろそろ薬草を入れないと……」
切っておいた薬草を、ドバドバとお湯が跳ねない程度に入れていく。
少ししたら灰汁が出るだろうし、お玉の準備をしてっと……。
「アキ」
「ん?」
僕の隣で、ラミナさんが両手を差し出してくる。
なにかを渡せってことかな……?
でも、何を……?
「えっと?」
「まな板と包丁」
「あぁ、洗ってくれるの?」
「そう」
小さく頷きながらも、変わらず両手を差し出してくるラミナさんに、まな板を渡し、包丁は作業台の上へと置いた。
直接渡すのは危険だしね!
たぶん彼女もそれはわかってるみたいで、特に異も唱えず包丁を掴み、水場へと持っていった。
「すごい手伝ってくれるけど……なんでだろ……」
手伝ったところで、ラミナさんには特に利点もないはずなんだけど……。
ただ待ってるのが悪い気がするのかな?
まぁ、いいや。
「ほいほいっと」
浮いてきた灰汁をお玉で集めて、空瓶の中に入れていく。
おばちゃんの作業場みたいに、水場が近ければそのままぽいっと捨てちゃうんだけど……。
さすがに、まだそこまで水も引けてないからね……。
「っと、そろそろ大丈夫かな」
鍋の中身が、ほどよく緑色になったところで、火を切り、冷ましていく。
この冷ます作業も、シルフがいれば風で冷ましてくれるんだけど……。
今回は仕方ない、自然に冷めるのを待つしかないか。
「アキ」
「ん? あぁ、おかえり。洗ってくれてありがとう」
「大丈夫」
洗ってきたものを作業台の上に置き、ラミナさんは1歩下がる。
多分、さっき僕が包丁を渡したときと同じで、危険だから置いたってことなんだろうな。
「アキさーん! お待たせしましたー!」
まな板と包丁をインベントリにしまって、空瓶を取り出していると、遠くから声が聞こえた。
まぁ、多分さっき言ってた拠点の施設設営の件についてかな。
作業的にも待たないといけないところだし、ちょうどいいタイミング。
「アキさん! 作業お疲れさまです! 先程お話しした、拠点の施設設営のリーダーを連れて来ました!」
「あ、ありがとうございます。えっと、ご存じ……ですかね? 私はアキです」
「おう! 噂は聞いてるぜい! 俺はウッディーマウンテン! 人呼んで、大工の木山よ!」
そう言って、作業服みたいな青一色の服を着たおじさんが、大きな声で笑った。
ラミナさんが言うには、現実だと1週間とかかかるみたいなんだよね……。
さすがに、そこに関してはゲームっぽく短くなってくれたら嬉しいけど。
「さてと……それじゃ、ささっとお薬を作ってしまおうかな!」
「手伝う」
「ん? 手伝ってくれる? それだったら、このお鍋に水を入れてもらえる?」
僕のお願いに小さく頷いてから、彼女はお鍋を持って水を入れにいく。
あー……こういう作業も、シルフがいてくれたら気を利かしてくれてたんだよねぇ……。
知らない間に、結構依存しちゃってるかも。
「アキ、なんだか寂しそう」
「え? そう?」
「今も、昨日も」
あー……そういえば、昨日もシルフのことを考えてた時に、声をかけられたんだっけ?
ラミナさん、よく見てるなぁ……。
本人はほとんど表情変わらないのに。
「ちょっとね。ライフを始めて、ずっと一緒だった友達がいたんだけど、イベントには参加できなかったみたいで」
「そう」
「うん。だから、少し寂しいのは寂しいかな。こうして、お薬を作るときも手伝ってくれてたからね」
そう言いながらも、少し恥ずかしくて……つい笑いながら頬を指で掻いてしまう。
シルフも寂しがってくれてるかな……。
街で帰りを待ってくれてるかな?
むしろ、彼女のことだから、繋がってる契約のパスを辿ってこっちに来たりして……。
「それはないか」
「……?」
「なんでもないよ。お水、ありがとうね」
ラミナさんからお鍋を受け取り、火にかける。
さっきお水を入れてもらってる間に薬草は切ったし、とりあえず沸くまで待つかな。
そういえば、ハスタさんがいないけど……?
「ラミナさん。ハスタさんは? 一緒じゃないの?」
「姉さんは森」
「森……? あぁ、先に伐採場所に行ってるってこと?」
「そう」
まぁ、ハスタさんの性格的に、お薬作ってるところとか見ても楽しくないだろうしね。
それだったら、森にいって魔物倒したり、体動かしてる方が良いってなるかな……。
「あ」
「……?」
「そういえば今日……アルさん達も行ってるんだった」
まぁ、オリオンさんがいるし、大丈夫だよね……?
僕の方に念話も来てないし、きっと大丈夫。
……たぶん。
「っと、そろそろ薬草を入れないと……」
切っておいた薬草を、ドバドバとお湯が跳ねない程度に入れていく。
少ししたら灰汁が出るだろうし、お玉の準備をしてっと……。
「アキ」
「ん?」
僕の隣で、ラミナさんが両手を差し出してくる。
なにかを渡せってことかな……?
でも、何を……?
「えっと?」
「まな板と包丁」
「あぁ、洗ってくれるの?」
「そう」
小さく頷きながらも、変わらず両手を差し出してくるラミナさんに、まな板を渡し、包丁は作業台の上へと置いた。
直接渡すのは危険だしね!
たぶん彼女もそれはわかってるみたいで、特に異も唱えず包丁を掴み、水場へと持っていった。
「すごい手伝ってくれるけど……なんでだろ……」
手伝ったところで、ラミナさんには特に利点もないはずなんだけど……。
ただ待ってるのが悪い気がするのかな?
まぁ、いいや。
「ほいほいっと」
浮いてきた灰汁をお玉で集めて、空瓶の中に入れていく。
おばちゃんの作業場みたいに、水場が近ければそのままぽいっと捨てちゃうんだけど……。
さすがに、まだそこまで水も引けてないからね……。
「っと、そろそろ大丈夫かな」
鍋の中身が、ほどよく緑色になったところで、火を切り、冷ましていく。
この冷ます作業も、シルフがいれば風で冷ましてくれるんだけど……。
今回は仕方ない、自然に冷めるのを待つしかないか。
「アキ」
「ん? あぁ、おかえり。洗ってくれてありがとう」
「大丈夫」
洗ってきたものを作業台の上に置き、ラミナさんは1歩下がる。
多分、さっき僕が包丁を渡したときと同じで、危険だから置いたってことなんだろうな。
「アキさーん! お待たせしましたー!」
まな板と包丁をインベントリにしまって、空瓶を取り出していると、遠くから声が聞こえた。
まぁ、多分さっき言ってた拠点の施設設営の件についてかな。
作業的にも待たないといけないところだし、ちょうどいいタイミング。
「アキさん! 作業お疲れさまです! 先程お話しした、拠点の施設設営のリーダーを連れて来ました!」
「あ、ありがとうございます。えっと、ご存じ……ですかね? 私はアキです」
「おう! 噂は聞いてるぜい! 俺はウッディーマウンテン! 人呼んで、大工の木山よ!」
そう言って、作業服みたいな青一色の服を着たおじさんが、大きな声で笑った。
0
お気に入りに追加
1,630
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦国時代の武士、VRゲームで食堂を開く
オイシイオコメ
SF
奇跡の保存状態で頭部だけが発見された戦国時代の武士、虎一郎は最新の技術でデータで復元され、VRゲームの世界に甦った。
しかし甦った虎一郎は何をして良いのか分からず、ゲーム会社の会長から「畑でも耕してみたら」と、おすすめされ畑を耕すことに。
農業、食堂、バトルのVRMMOコメディ!
※この小説はサラッと読めるように名前にルビを多めに振ってあります。

Free Emblem On-line
ユキさん
ファンタジー
今の世の中、ゲームと言えばVRゲームが主流であり人々は数多のVRゲームに魅了されていく。そんなVRゲームの中で待望されていたタイトルがβテストを経て、ついに発売されたのだった。
VRMMO『Free Emblem Online』
通称『F.E.O』
自由過ぎることが売りのこのゲームを、「あんちゃんも気に入ると思うよ~。だから…ね? 一緒にやろうぜぃ♪」とのことで、βテスターの妹より一式を渡される。妹より渡された『F.E.O』、仕事もあるが…、「折角だし、やってみるとしようか。」圧倒的な世界に驚きながらも、MMO初心者である男が自由気ままに『F.E.O』を楽しむ。
ソロでユニークモンスターを討伐、武器防具やアイテムも他の追随を許さない、それでいてPCよりもNPCと仲が良い変わり者。
そんな強面悪党顔の初心者が冒険や生産においてその名を轟かし、本人の知らぬ間に世界を引っ張る存在となっていく。
なろうにも投稿してあります。だいぶ前の未完ですがね。
VRおじいちゃん ~ひろしの大冒険~
オイシイオコメ
SF
75歳のおじいさん「ひろし」は思いもよらず、人気VRゲームの世界に足を踏み入れた。おすすめされた種族や職業はまったく理解できず「無職」を選び、さらに操作ミスで物理攻撃力に全振りしたおじいさんはVR世界で出会った仲間たちと大冒険を繰り広げる。
この作品は、小説家になろう様とカクヨム様に2021年執筆した「VRおじいちゃん」と「VRおばあちゃん」を統合した作品です。
前作品は同僚や友人の意見も取り入れて書いておりましたが、今回は自分の意向のみで修正させていただいたリニューアル作品です。
(小説中のダッシュ表記につきまして)
作品公開時、一部のスマートフォンで文字化けするとのご報告を頂き、ダッシュ2本のかわりに「ー」を使用しております。
タイムワープ艦隊2024
山本 双六
SF
太平洋を横断する日本機動部隊。この日本があるのは、大東亜(太平洋)戦争に勝利したことである。そんな日本が勝った理由は、ある機動部隊が来たことであるらしい。人呼んで「神の機動部隊」である。
この世界では、太平洋戦争で日本が勝った世界戦で書いています。(毎回、太平洋戦争系が日本ばかり勝っ世界線ですいません)逆ファイナルカウントダウンと考えてもらえればいいかと思います。只今、続編も同時並行で書いています!お楽しみに!

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。

最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO
無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。
名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。
小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。
特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。
姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。
ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。
スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。
そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる