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第2章 現実と仮想現実
第160話 約束したから
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「とりあえず、アキさんが行っている拠点の施設設営なんですが、現状の進み具合と目標の確認のために、そっちのリーダーと会ってもらうことって可能ですか?」
あの雄叫びの後、少し静かになってからそんなことを聞かれた。
僕なんかより、この緑の髪の女性の方がしっかりしてて、リーダー向きだと思うんだけど……。
そんなことを思いながらも、一応頷いておく。
あー、でもそんなには無理かなぁ……アルさんたちの準備も手伝いたいし。
「会うことは会えるけど、できれば僕も作業したくて……」
「わかりました。でしたら相手をこちらに呼びましょう。アキさんは、作業しておいてください! すぐ呼んできますのでー!」
「え、えぇ……?」
僕の反応も見ず、人でできた壁を割り、彼女は作業場から出ていく。
……前言撤回。
リーダーには向いてないかもしれない……、僕もだけど……。
「まぁ、とりあえず……僕も作業エリアにいかないと……」
考えるのを止めて後ろへ振り返れば……人の壁。
どうにかこうにか通してもらって、作業エリアについた時には、すでに体力の限界が近くなっていた。
「まずは、ポーション類……。できれば軟膏も作っておきたいけど……」
ただ、下級ポーションと軟膏には[アクアリーフの蜜]が必要で、この島で出るのかすらわからない……。
一応、トーマ君にお願いして持ってきてもらったんだけど、数はそんなに無いしなぁ。
いるとは言われなかったし、ひとまずは最下級の良品と速効性用の粉末ってところかな?
「新しい素材も見つけてるし、なにか別のものとかできれば良いんだけど」
まぁ、なんにしても試作とかは落ち着いてからかな。
よし、それじゃまずは粉末作るぞー!
「じゃあシルフ、乾そ……っていないんだったっけ……。いつも作るときにはいてくれたから忘れてた……」
切れてるわけじゃないから大丈夫だけど……落ち着いてみるとやっぱり少し寂しいなぁ……。
って、シルフがいなかったら薬草の乾燥どうしよう!
干すしかないのかな!?
「あっちゃー……。一応手持ちの粉末もあるから、今回はそれで代用するとしても……。とりあえず使う分の乾燥はさせないと」
でも、どうやって?
たしか紐で縛って吊るすんだっけ?
あれ、網に入れて吊るすんだっけ……?
「わ、わかんない……。どうしよう」
「アキ、いた」
「え、えーっとこういうときは……」
「アキ」
「アルさん? いや、料理関係だしオリオンさんかな?」
「むう」
悩みつつも、フレンドからオリオンさんを呼び出そうとし……後ろから両頬を引っ張られる。
「ぬぁ……」
むにむにと、痛みを感じない絶妙な力加減で僕の頬が引っ張られたり、押し込まれたり……。
数回繰り返されたところで、とりあえず僕は両腕を掴んで動きを止めた。
「はなひへ」
「むう……」
渋々……といった風に、指が僕の頬から離れる。
それを肌で感じてから、僕は腕を手放した。
「それで、なん……っ」
すぐ後ろに振り向こうと思ったのに、体をぎゅっと抱き締められる。
これは……ラミナさんだね?
いや、別にカラダのラインがとかそういうことじゃなくて、それはハスタさんもほとんどかわらな……いや、そうじゃなくて。
「ラミナさん? どうしたの?」
「アキ、いなかった」
「ん?」
「探した。約束したから」
「あー……ごめんね。昨日別れた後に、急遽予定が変わってさ。朝から探索に行ってたんだよ」
「そう」
そっか、約束、だったのかぁ……。
僕としては、あの「また明日」って言葉は、約束って意味じゃなくて、どっちかって言うと別れの挨拶みたいな?
でも、悪いことしちゃったかなぁ……。
「ごめんね?」
「大丈夫。会えたから」
「それなら良いんだけど……」
僕の謝罪に対して、特に雰囲気も変えず普通に返してくる。
ほんとに気にしてないのか、気にしてるのか分かりにくいなぁ……。
顔見てても分かりにくいし、ハスタさんとかみたいな家族だったらわかるのかな?
「アキ。なにしてたの?」
「ん? 今日? それとも今?」
「今」
「今……は、ちょっとお薬を作ろうとしてたんだけど、調理法がわかんないことがあったから、詳しそうな人に聞こうかなって。薬草を乾燥させるんだけど、いつも手伝ってくれる人がいないからね」
そう言いながら、作業台に乗せたままの薬草を手に取って見せる。
数自体はそんなに必要な訳じゃないから、乾燥の目処が立ちさえすればストックを渡すことも出来るんだけど……。
「……天日干し?」
「ん? あぁ、うん。天日干しなんだけど、吊るすか網とかにのせて乾かすのかが分かんなくてね」
「そう……。確か、お皿」
「ん? お皿?」
僕の言葉に小さく頷き、彼女は手で「このぐらい」と大きさを教えてくれた。
ふむ……お皿の上に置いて、天日干しか。
お皿かー……どうしようかな。
「お皿、いる?」
「ん? 持ってるの?」
「そう」
「そっか。もし良かったら貸してもらえたら嬉しいかな」
「大丈夫」
言うが早いか、彼女はインベントリから木のお皿を取りだし、作業台の上に置いた。
浅めで真四角の形をしていて、薬草を乗せるのにちょうど良い大きさ。
これの上に薬草を置いて、天日干しすれば大丈夫っと。
「ラミナさん、ありがとね」
「別にいい」
「でも、よく知ってたね」
「おと……前に聞いたことがあった。それだけ」
おと……?
お父さんってことかな?
でも、なんで言い直したんだろう……恥ずかしかったとかかな?
あの雄叫びの後、少し静かになってからそんなことを聞かれた。
僕なんかより、この緑の髪の女性の方がしっかりしてて、リーダー向きだと思うんだけど……。
そんなことを思いながらも、一応頷いておく。
あー、でもそんなには無理かなぁ……アルさんたちの準備も手伝いたいし。
「会うことは会えるけど、できれば僕も作業したくて……」
「わかりました。でしたら相手をこちらに呼びましょう。アキさんは、作業しておいてください! すぐ呼んできますのでー!」
「え、えぇ……?」
僕の反応も見ず、人でできた壁を割り、彼女は作業場から出ていく。
……前言撤回。
リーダーには向いてないかもしれない……、僕もだけど……。
「まぁ、とりあえず……僕も作業エリアにいかないと……」
考えるのを止めて後ろへ振り返れば……人の壁。
どうにかこうにか通してもらって、作業エリアについた時には、すでに体力の限界が近くなっていた。
「まずは、ポーション類……。できれば軟膏も作っておきたいけど……」
ただ、下級ポーションと軟膏には[アクアリーフの蜜]が必要で、この島で出るのかすらわからない……。
一応、トーマ君にお願いして持ってきてもらったんだけど、数はそんなに無いしなぁ。
いるとは言われなかったし、ひとまずは最下級の良品と速効性用の粉末ってところかな?
「新しい素材も見つけてるし、なにか別のものとかできれば良いんだけど」
まぁ、なんにしても試作とかは落ち着いてからかな。
よし、それじゃまずは粉末作るぞー!
「じゃあシルフ、乾そ……っていないんだったっけ……。いつも作るときにはいてくれたから忘れてた……」
切れてるわけじゃないから大丈夫だけど……落ち着いてみるとやっぱり少し寂しいなぁ……。
って、シルフがいなかったら薬草の乾燥どうしよう!
干すしかないのかな!?
「あっちゃー……。一応手持ちの粉末もあるから、今回はそれで代用するとしても……。とりあえず使う分の乾燥はさせないと」
でも、どうやって?
たしか紐で縛って吊るすんだっけ?
あれ、網に入れて吊るすんだっけ……?
「わ、わかんない……。どうしよう」
「アキ、いた」
「え、えーっとこういうときは……」
「アキ」
「アルさん? いや、料理関係だしオリオンさんかな?」
「むう」
悩みつつも、フレンドからオリオンさんを呼び出そうとし……後ろから両頬を引っ張られる。
「ぬぁ……」
むにむにと、痛みを感じない絶妙な力加減で僕の頬が引っ張られたり、押し込まれたり……。
数回繰り返されたところで、とりあえず僕は両腕を掴んで動きを止めた。
「はなひへ」
「むう……」
渋々……といった風に、指が僕の頬から離れる。
それを肌で感じてから、僕は腕を手放した。
「それで、なん……っ」
すぐ後ろに振り向こうと思ったのに、体をぎゅっと抱き締められる。
これは……ラミナさんだね?
いや、別にカラダのラインがとかそういうことじゃなくて、それはハスタさんもほとんどかわらな……いや、そうじゃなくて。
「ラミナさん? どうしたの?」
「アキ、いなかった」
「ん?」
「探した。約束したから」
「あー……ごめんね。昨日別れた後に、急遽予定が変わってさ。朝から探索に行ってたんだよ」
「そう」
そっか、約束、だったのかぁ……。
僕としては、あの「また明日」って言葉は、約束って意味じゃなくて、どっちかって言うと別れの挨拶みたいな?
でも、悪いことしちゃったかなぁ……。
「ごめんね?」
「大丈夫。会えたから」
「それなら良いんだけど……」
僕の謝罪に対して、特に雰囲気も変えず普通に返してくる。
ほんとに気にしてないのか、気にしてるのか分かりにくいなぁ……。
顔見てても分かりにくいし、ハスタさんとかみたいな家族だったらわかるのかな?
「アキ。なにしてたの?」
「ん? 今日? それとも今?」
「今」
「今……は、ちょっとお薬を作ろうとしてたんだけど、調理法がわかんないことがあったから、詳しそうな人に聞こうかなって。薬草を乾燥させるんだけど、いつも手伝ってくれる人がいないからね」
そう言いながら、作業台に乗せたままの薬草を手に取って見せる。
数自体はそんなに必要な訳じゃないから、乾燥の目処が立ちさえすればストックを渡すことも出来るんだけど……。
「……天日干し?」
「ん? あぁ、うん。天日干しなんだけど、吊るすか網とかにのせて乾かすのかが分かんなくてね」
「そう……。確か、お皿」
「ん? お皿?」
僕の言葉に小さく頷き、彼女は手で「このぐらい」と大きさを教えてくれた。
ふむ……お皿の上に置いて、天日干しか。
お皿かー……どうしようかな。
「お皿、いる?」
「ん? 持ってるの?」
「そう」
「そっか。もし良かったら貸してもらえたら嬉しいかな」
「大丈夫」
言うが早いか、彼女はインベントリから木のお皿を取りだし、作業台の上に置いた。
浅めで真四角の形をしていて、薬草を乗せるのにちょうど良い大きさ。
これの上に薬草を置いて、天日干しすれば大丈夫っと。
「ラミナさん、ありがとね」
「別にいい」
「でも、よく知ってたね」
「おと……前に聞いたことがあった。それだけ」
おと……?
お父さんってことかな?
でも、なんで言い直したんだろう……恥ずかしかったとかかな?
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