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第2章 現実と仮想現実
第153話 木板
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「ありがとうございます。伐採していただいた樹は、拠点の東側に置いていただいて結構ですよ。その際はこちらのネームを掛けてくださいね」
あれからまっすぐ拠点に戻って、僕らは斧を借りる時に訪れた天幕へ。
そして、中にいたおじさん――前回とは違う人に用件を説明すると、樹の置き場と一緒に、紐のついた木板を渡された。
「これは……?」
「こちらは、所有者設定板という道具でして、この板に手をかざすと、かざした人の魔力を使って板に情報が書き込まれます。その所有者以外は動かしたり、加工したりができなくなるという道具です」
「へぇー……」
「もちろん、人なんかには使えません。あくまでもアイテムや素材に対してのみ使えるようになってますよ」
「他の人が板を外したりとかは……?」
「そちらもできない仕様になっています。安心してお使いください」
なるほど……確かにこれは便利かも……。
特に、今回のイベントみたいに、いろんな人がいる中で外に置いておきたい物とかに対しては、すごい便利。
これを先に貰っておいたら、僕が伐ってとりあえずその場に置いておくってこともできるのかなぁ……。
「ひとまず8つ、ありがとうございます。これって先に貰っておくこともできるんですか?」
「えぇ、可能ですよ。出掛けられる前に立ち寄っていただければ、1人10個までお渡しできますので」
「なるほど。ありがとうございます。今度は先に来ておきますね!」
「はい。よろしくお願いします」
おじさんに軽く会釈してから、天幕の外へ出る。
外で待っていてくれた3人に、樹の置き場を説明して、僕らはそこへと向かった。
「なるほど、このようなアイテムがあったのですね」
「すごい」
説明ついでに、インベントリから樹を1本取り出して、紐を掛けてから木板に手をかざす。
すると、木板の表面が薄く青色に光り……何やら文字が浮かび上がっていた。
僕らの知っている文字とは違う文字だったため、読めないんだけど……多分、魔法的な文字なんだろうか……?
掛けられた樹を見ると、所有者の名前が半透明のプレートみたいに、目の前に浮かび上がる仕様みたいだ。
「あ、オリオンさんも見たことなかったんですね」
「ええ、初めて見るアイテムですね。便利そうですが普及してないということは、イベント限定のアイテムなのかもしれませんね」
「あー、なるほど……」
確かにこういったアイテムなら、露店とかで使われててもおかしくないのに、見たことないってことはそうなのかも。
オリオンさん、露店にはよく行ってるはずだし。
「アキさん。樹の所有は全てアキさんにしておいてください」
「え?」
「その方が、管理が手軽ですから」
「ラミナも、それでいい」
「私もそれでいいよー!」
「そう? みんながそう言うなら、そうしますけど……」
自身の横にゆっくり出現するとはいえ、事故が起きないように1本ずつインベントリからとりだしては、木板を取り付けていく。
一本が僕の体よりも太く、幹の長さも身長の数倍以上あるからか、たった8本でも、全部取り出すと結構壮観だ。
重なった木に降り注ぐ夕日が、なんだか木の色に合ってて、良い仕事した、って感じ。
それにしても、もう夕方かぁ……。
慣れてくればもっと早くたくさん伐れるとは思うけど……初めてだったから結構時間かかったなぁ……。
「さて、もうすぐ日も落ちますし、外に出るのはそろそろやめておきましょうか」
「そうですね。そろそろアルさん達も戻ってくるでしょうし、戻り次第合流して状況の確認をしましょう」
「ラミナー、私たちはどうするー?」
「予定、ない」
あー、そっか。
普通に混ざってたから忘れてたけど、ラミナさん達って本来同盟外だっけ……。
んー……手伝ってもらった手前ここで別れるってのも……。
どうしようかなぁ……。
「でしたら、この後少しお茶でもいかがでしょうか? 会議の前にそのようなお話をして、結局していなかったですから」
「あ、そういえばそうでしたね。ラミナさん達、どうかな? オリオンさんのお茶とお菓子、美味しいからさ」
「おぉー! 行く! 行く! ラミナも良いよね?」
「お菓子、行く」
「かしこまりました。それではお嬢様方に満足していただける物を、ご用意させていただきます」
オリオンさんは一歩引いて、僕ら3人に綺麗な姿勢で頭を下げる。
お嬢様方って、僕も入ってるんだよね……。
いや、その……わかってるけどさ。
あれからまっすぐ拠点に戻って、僕らは斧を借りる時に訪れた天幕へ。
そして、中にいたおじさん――前回とは違う人に用件を説明すると、樹の置き場と一緒に、紐のついた木板を渡された。
「これは……?」
「こちらは、所有者設定板という道具でして、この板に手をかざすと、かざした人の魔力を使って板に情報が書き込まれます。その所有者以外は動かしたり、加工したりができなくなるという道具です」
「へぇー……」
「もちろん、人なんかには使えません。あくまでもアイテムや素材に対してのみ使えるようになってますよ」
「他の人が板を外したりとかは……?」
「そちらもできない仕様になっています。安心してお使いください」
なるほど……確かにこれは便利かも……。
特に、今回のイベントみたいに、いろんな人がいる中で外に置いておきたい物とかに対しては、すごい便利。
これを先に貰っておいたら、僕が伐ってとりあえずその場に置いておくってこともできるのかなぁ……。
「ひとまず8つ、ありがとうございます。これって先に貰っておくこともできるんですか?」
「えぇ、可能ですよ。出掛けられる前に立ち寄っていただければ、1人10個までお渡しできますので」
「なるほど。ありがとうございます。今度は先に来ておきますね!」
「はい。よろしくお願いします」
おじさんに軽く会釈してから、天幕の外へ出る。
外で待っていてくれた3人に、樹の置き場を説明して、僕らはそこへと向かった。
「なるほど、このようなアイテムがあったのですね」
「すごい」
説明ついでに、インベントリから樹を1本取り出して、紐を掛けてから木板に手をかざす。
すると、木板の表面が薄く青色に光り……何やら文字が浮かび上がっていた。
僕らの知っている文字とは違う文字だったため、読めないんだけど……多分、魔法的な文字なんだろうか……?
掛けられた樹を見ると、所有者の名前が半透明のプレートみたいに、目の前に浮かび上がる仕様みたいだ。
「あ、オリオンさんも見たことなかったんですね」
「ええ、初めて見るアイテムですね。便利そうですが普及してないということは、イベント限定のアイテムなのかもしれませんね」
「あー、なるほど……」
確かにこういったアイテムなら、露店とかで使われててもおかしくないのに、見たことないってことはそうなのかも。
オリオンさん、露店にはよく行ってるはずだし。
「アキさん。樹の所有は全てアキさんにしておいてください」
「え?」
「その方が、管理が手軽ですから」
「ラミナも、それでいい」
「私もそれでいいよー!」
「そう? みんながそう言うなら、そうしますけど……」
自身の横にゆっくり出現するとはいえ、事故が起きないように1本ずつインベントリからとりだしては、木板を取り付けていく。
一本が僕の体よりも太く、幹の長さも身長の数倍以上あるからか、たった8本でも、全部取り出すと結構壮観だ。
重なった木に降り注ぐ夕日が、なんだか木の色に合ってて、良い仕事した、って感じ。
それにしても、もう夕方かぁ……。
慣れてくればもっと早くたくさん伐れるとは思うけど……初めてだったから結構時間かかったなぁ……。
「さて、もうすぐ日も落ちますし、外に出るのはそろそろやめておきましょうか」
「そうですね。そろそろアルさん達も戻ってくるでしょうし、戻り次第合流して状況の確認をしましょう」
「ラミナー、私たちはどうするー?」
「予定、ない」
あー、そっか。
普通に混ざってたから忘れてたけど、ラミナさん達って本来同盟外だっけ……。
んー……手伝ってもらった手前ここで別れるってのも……。
どうしようかなぁ……。
「でしたら、この後少しお茶でもいかがでしょうか? 会議の前にそのようなお話をして、結局していなかったですから」
「あ、そういえばそうでしたね。ラミナさん達、どうかな? オリオンさんのお茶とお菓子、美味しいからさ」
「おぉー! 行く! 行く! ラミナも良いよね?」
「お菓子、行く」
「かしこまりました。それではお嬢様方に満足していただける物を、ご用意させていただきます」
オリオンさんは一歩引いて、僕ら3人に綺麗な姿勢で頭を下げる。
お嬢様方って、僕も入ってるんだよね……。
いや、その……わかってるけどさ。
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