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第2章 現実と仮想現実
第117話 すごい広い島……とか?
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「でも、参加者全員で開拓イベントなんですかねぇ……」
持って行くアイテムを相談している最中、スミスさんがそんなことを呟いた。
「ん? そうなんじゃないの?」
「いやー、アキさんも考えてみてくださいよ。この<Life Game>って、すごいプレイヤーの数いるじゃないですか。そりゃあ、全員参加するわけじゃないでしょうけど……半分も参加したら、開拓なんて一気に終わりそうじゃないですか?」
「んー……、言われてみれば確かにそうかも……」
それこそ島ってことだから、大人数で一気にやればすぐ終わってしまいそうな気がするし……。
もしかすると……すごい広い島……とか?
「……多分それは、エリアが分かれるんじゃないか?」
「ん?」
「せやなぁ……。やないとパーティーやら同盟やらを組ます意味も分からんし」
僕とスミスさんの話を聞いていたのか、横からアルさん達が会話に入ってきた。
2人は自分自身が持ち込むアイテムは早々に決まったらしく、今は他の人と相談しながら、代わりに持つアイテムを話し合っていたはず……。
でも、エリアを分けるって……?
「んー? どういうこと?」
「そうだな……。イベント参加者はみんな、『同じ島』なんだが『同じ島』じゃないというか……?」
「……?」
何を言っているのか、よくわからない……。
あれかな……謎かけみたいな……?
「あぁ、その……」
「なんや、同じ作りの別の家みたいな感じやと思えばええわ。イベント開始と同時にそれぞれ振り分けられる感じのな?」
「え、うん……それでいいなら」
首を傾げながらも一応納得した僕へ、トーマ君は軽く頷いて席を立つ。
どうやら、スミスさんのアイテム選びを手伝うみたいだ。
「あー、そのなんだ……。アキさんは知らないかもしれないが、一応そんなシステムが昔からあるんだ」
トーマ君に説明を奪われたアルさんが、苦笑いをしながらもそんなフォローをしてくれる。
アルさんが知ってて僕が知らないって言うのは、年齢的にも分かるけど……。
なんでトーマ君が知ってるのか……。
やっぱり昔から、VRじゃないネットゲームでもしてたんだろうか……?
「つまり、今回のイベントはそれになる……と?」
「多分、だがな……。その可能性は高いだろう。それならパーティーや同盟を組む理由も分からなくはない」
「あ、そう言われたらそうですね……」
「それとは別に、振り分け人数が何人かはわからないが、別のパーティーと一緒になる可能性もあるぞ」
アルさんの説明に対して、なるほどー……と納得して頷いていた僕に、彼はそんな爆弾を落としてくる。
それって、戦闘メインの人ばっかりだったら、僕らすごい大変なんじゃ……。
それに、始めたばかりの人がたくさんいたら……!
「……いっぱいお薬を作れるようにしとかないと……!」
「まぁ、気負い過ぎないようにな」
「せやで。調薬できんのは、たぶんアキ以外にもおるやろしな」
気合いを入れた僕に、2人はそう言いつつ苦笑いを見せる。
というか、トーマ君はいつからこっちの話を聞いてたの!?
さっきまで、スミスさんと相談してたよね!?
そんなことに驚きつつも同時に……アルさんはともかく、ほとんど年の変わらないトーマ君に諭されたのが少し悔しくて――
「じゃあ、おふたりには作らなくて大丈夫ですねー。せーっかく飲みやすいポーションも作れるようにって、持ち込むアイテム考えてたんですけどねー」
なんて、わざとらしく言ってしまう。
それには2人も驚いたみたいで、すぐさま慌てた様子で口を開いた。
「え、ちょまっ!」
「アキさん、それはちょっと困るぞっ!?」
「えー」
そんな風に渋る僕に2人はホントに慌てたらしく、「頼む!」と必死の形相で両手を合わせる。
それが妙におかしくて、僕は『渋っている』顔が維持できず、つい吹き出してしまった。
「……ぷっ。ふふ……、2人とも大丈夫です、ちゃんと作りますから」
「ほ、本当か?」
「ええ、本当です……ふふ」
「……っはー、嫌な汗かいたわ……」
声を抑えて笑う僕に安心したのか、2人は拝む姿勢をやめて脱力したように椅子に座る。
その姿を見て笑い出したジンさんに、僕だけでなく、今まで傍観していた他のみんなもつられて笑いだした。
持って行くアイテムを相談している最中、スミスさんがそんなことを呟いた。
「ん? そうなんじゃないの?」
「いやー、アキさんも考えてみてくださいよ。この<Life Game>って、すごいプレイヤーの数いるじゃないですか。そりゃあ、全員参加するわけじゃないでしょうけど……半分も参加したら、開拓なんて一気に終わりそうじゃないですか?」
「んー……、言われてみれば確かにそうかも……」
それこそ島ってことだから、大人数で一気にやればすぐ終わってしまいそうな気がするし……。
もしかすると……すごい広い島……とか?
「……多分それは、エリアが分かれるんじゃないか?」
「ん?」
「せやなぁ……。やないとパーティーやら同盟やらを組ます意味も分からんし」
僕とスミスさんの話を聞いていたのか、横からアルさん達が会話に入ってきた。
2人は自分自身が持ち込むアイテムは早々に決まったらしく、今は他の人と相談しながら、代わりに持つアイテムを話し合っていたはず……。
でも、エリアを分けるって……?
「んー? どういうこと?」
「そうだな……。イベント参加者はみんな、『同じ島』なんだが『同じ島』じゃないというか……?」
「……?」
何を言っているのか、よくわからない……。
あれかな……謎かけみたいな……?
「あぁ、その……」
「なんや、同じ作りの別の家みたいな感じやと思えばええわ。イベント開始と同時にそれぞれ振り分けられる感じのな?」
「え、うん……それでいいなら」
首を傾げながらも一応納得した僕へ、トーマ君は軽く頷いて席を立つ。
どうやら、スミスさんのアイテム選びを手伝うみたいだ。
「あー、そのなんだ……。アキさんは知らないかもしれないが、一応そんなシステムが昔からあるんだ」
トーマ君に説明を奪われたアルさんが、苦笑いをしながらもそんなフォローをしてくれる。
アルさんが知ってて僕が知らないって言うのは、年齢的にも分かるけど……。
なんでトーマ君が知ってるのか……。
やっぱり昔から、VRじゃないネットゲームでもしてたんだろうか……?
「つまり、今回のイベントはそれになる……と?」
「多分、だがな……。その可能性は高いだろう。それならパーティーや同盟を組む理由も分からなくはない」
「あ、そう言われたらそうですね……」
「それとは別に、振り分け人数が何人かはわからないが、別のパーティーと一緒になる可能性もあるぞ」
アルさんの説明に対して、なるほどー……と納得して頷いていた僕に、彼はそんな爆弾を落としてくる。
それって、戦闘メインの人ばっかりだったら、僕らすごい大変なんじゃ……。
それに、始めたばかりの人がたくさんいたら……!
「……いっぱいお薬を作れるようにしとかないと……!」
「まぁ、気負い過ぎないようにな」
「せやで。調薬できんのは、たぶんアキ以外にもおるやろしな」
気合いを入れた僕に、2人はそう言いつつ苦笑いを見せる。
というか、トーマ君はいつからこっちの話を聞いてたの!?
さっきまで、スミスさんと相談してたよね!?
そんなことに驚きつつも同時に……アルさんはともかく、ほとんど年の変わらないトーマ君に諭されたのが少し悔しくて――
「じゃあ、おふたりには作らなくて大丈夫ですねー。せーっかく飲みやすいポーションも作れるようにって、持ち込むアイテム考えてたんですけどねー」
なんて、わざとらしく言ってしまう。
それには2人も驚いたみたいで、すぐさま慌てた様子で口を開いた。
「え、ちょまっ!」
「アキさん、それはちょっと困るぞっ!?」
「えー」
そんな風に渋る僕に2人はホントに慌てたらしく、「頼む!」と必死の形相で両手を合わせる。
それが妙におかしくて、僕は『渋っている』顔が維持できず、つい吹き出してしまった。
「……ぷっ。ふふ……、2人とも大丈夫です、ちゃんと作りますから」
「ほ、本当か?」
「ええ、本当です……ふふ」
「……っはー、嫌な汗かいたわ……」
声を抑えて笑う僕に安心したのか、2人は拝む姿勢をやめて脱力したように椅子に座る。
その姿を見て笑い出したジンさんに、僕だけでなく、今まで傍観していた他のみんなもつられて笑いだした。
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