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第2章 現実と仮想現実
第93話 普通過ぎる露店商
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(それで、シルフが見つけたお店はあそこ?)
(はい。あちらのお店が、他のお店と比べると値段が真ん中あたりかと)
(なるほど……)
(ただ、なんだか……。変な感じがしまして……)
(変な、感じ……?)
シルフと念話で話しながら、少し遠めからお店を見る。
ごく普通の露店で、置いてある商品も他のお店で見るくらい普通の商品だ。
お店の人が変なのかと思って見てみても、これと言って変なところもない、普通の男性に見える……。
(んー……。どこが変? 僕が見る限り普通の露店に見えるんだけど)
(どこ、と言われますと……分からないです……)
んー……、見ててもよくわかんないし……。
悩んでても仕方ないし、とりあえず買いに行ってみるかなぁ……。
「すみません。ルコの実を売って欲しいんですが……」
「ん? あぁ、いいぜ。どれくらいだ?」
「えっと……、使うのが初めてで、量がわからないんですが……」
話しながら、横目で店員さんを見てみても、特に変なところもない。
強いて言えば、普通過ぎる……?
「お嬢ちゃん。人を見るときはもっと視線から気配を消して見るもんだぜ?」
「ひぅッ!?」
声に驚いて、変な声が出る。
目を店員さんの顔の方へ恐る恐る向ければ、店員さんの目とがっちりと合ってしまった。
「あ、あはは……」
「……、へたくそな笑い過ぎるぜ? ごまかすならもう少し魅力磨いてから出直しな」
「えっと……、ごめんなさい……」
「それで、この皿1杯分が大体1回分と思え」
「あ、はい」
見せてくれたお皿は、木を削って作られた小さいお皿。
お刺身を食べるときの醤油皿みたいな大きさだろうか……。
「で、どれくらい必要なんだ?」
「んー……、5……いや10回分くらい……」
「そんなもんでいいのか?」
「え、もしかして少ないんですか?」
僕としては結構多めに見積もったつもりだったんだけど……。
もしかして、もっと多く買っていく人が多かったりするのかな……。
「まぁ、買っていくやつは両手で抱えるくらい買っていくな」
「えっ!? そんなに……?」
「そりゃ、色々使い道があるからな。あって困るもんじゃないぜ?」
「あー……」
(アキ様、その方の言われてることは本当のようです……。先ほど探している時に買っていかれる方は、皆様多く買われてました……)
んー……、僕が使うとしたら、薬草とかの苦みを取るためだから……。
まぁ、沢山買っておいても問題ないといえば問題ないんだけど……。
でも、本当にこれで合ってるのかどうかも分かんないしなぁ……。
「んー……、やっぱり10回分でいいよ。試しに使ってみるわけだし、使えそうなら追加で買いに来るよ」
「あいよ、そんじゃそれで用意する」
「うん、お願いします」
店員さんは、両手で持てる大きさの木の箱に、木のお皿を使ってルコの実を移していく。
ちょうど10回移したところで、木の箱の蓋を閉め、僕へと渡してくる。
僕はそれを受け取る代わりに、インベントリからお金を出して渡す。
お金自体はアルさん達へポーションを卸す代わりに貰ったりしてるから、それなりにあったり……。
と言っても、無駄遣いはできないくらいしかないけど……。
「ちょうど確かに。まぁ、俺は大体ここにいるから、もし次も買うならよろしく」
「あ、はい! ありがとうございます!」
頭を下げて、踵を返す。
ひとまずは帰って、薬草で苦みが取れるか試してみないと……。
――あんまり……、いいぜ。
「え?」
何か言われたような気がして後ろを振り返る。
けれど、そこでは僕の方を見ず、お客さんの相手をする店員さんの姿があった。
「気のせい……かな?」
そう結論付けて、おばちゃんの雑貨屋を目指し、また道を歩いていく。
ぁ、そういえば名前も聞いてないや……。
また今度聞いてみようかなぁ……。
(はい。あちらのお店が、他のお店と比べると値段が真ん中あたりかと)
(なるほど……)
(ただ、なんだか……。変な感じがしまして……)
(変な、感じ……?)
シルフと念話で話しながら、少し遠めからお店を見る。
ごく普通の露店で、置いてある商品も他のお店で見るくらい普通の商品だ。
お店の人が変なのかと思って見てみても、これと言って変なところもない、普通の男性に見える……。
(んー……。どこが変? 僕が見る限り普通の露店に見えるんだけど)
(どこ、と言われますと……分からないです……)
んー……、見ててもよくわかんないし……。
悩んでても仕方ないし、とりあえず買いに行ってみるかなぁ……。
「すみません。ルコの実を売って欲しいんですが……」
「ん? あぁ、いいぜ。どれくらいだ?」
「えっと……、使うのが初めてで、量がわからないんですが……」
話しながら、横目で店員さんを見てみても、特に変なところもない。
強いて言えば、普通過ぎる……?
「お嬢ちゃん。人を見るときはもっと視線から気配を消して見るもんだぜ?」
「ひぅッ!?」
声に驚いて、変な声が出る。
目を店員さんの顔の方へ恐る恐る向ければ、店員さんの目とがっちりと合ってしまった。
「あ、あはは……」
「……、へたくそな笑い過ぎるぜ? ごまかすならもう少し魅力磨いてから出直しな」
「えっと……、ごめんなさい……」
「それで、この皿1杯分が大体1回分と思え」
「あ、はい」
見せてくれたお皿は、木を削って作られた小さいお皿。
お刺身を食べるときの醤油皿みたいな大きさだろうか……。
「で、どれくらい必要なんだ?」
「んー……、5……いや10回分くらい……」
「そんなもんでいいのか?」
「え、もしかして少ないんですか?」
僕としては結構多めに見積もったつもりだったんだけど……。
もしかして、もっと多く買っていく人が多かったりするのかな……。
「まぁ、買っていくやつは両手で抱えるくらい買っていくな」
「えっ!? そんなに……?」
「そりゃ、色々使い道があるからな。あって困るもんじゃないぜ?」
「あー……」
(アキ様、その方の言われてることは本当のようです……。先ほど探している時に買っていかれる方は、皆様多く買われてました……)
んー……、僕が使うとしたら、薬草とかの苦みを取るためだから……。
まぁ、沢山買っておいても問題ないといえば問題ないんだけど……。
でも、本当にこれで合ってるのかどうかも分かんないしなぁ……。
「んー……、やっぱり10回分でいいよ。試しに使ってみるわけだし、使えそうなら追加で買いに来るよ」
「あいよ、そんじゃそれで用意する」
「うん、お願いします」
店員さんは、両手で持てる大きさの木の箱に、木のお皿を使ってルコの実を移していく。
ちょうど10回移したところで、木の箱の蓋を閉め、僕へと渡してくる。
僕はそれを受け取る代わりに、インベントリからお金を出して渡す。
お金自体はアルさん達へポーションを卸す代わりに貰ったりしてるから、それなりにあったり……。
と言っても、無駄遣いはできないくらいしかないけど……。
「ちょうど確かに。まぁ、俺は大体ここにいるから、もし次も買うならよろしく」
「あ、はい! ありがとうございます!」
頭を下げて、踵を返す。
ひとまずは帰って、薬草で苦みが取れるか試してみないと……。
――あんまり……、いいぜ。
「え?」
何か言われたような気がして後ろを振り返る。
けれど、そこでは僕の方を見ず、お客さんの相手をする店員さんの姿があった。
「気のせい……かな?」
そう結論付けて、おばちゃんの雑貨屋を目指し、また道を歩いていく。
ぁ、そういえば名前も聞いてないや……。
また今度聞いてみようかなぁ……。
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