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第1章 新しい世界と出会い
第14話 脱・最下級!
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ぐつぐつと音をたてながら、薬草を煮出すこと約3分ほど。
お湯の中の薬草がかなり柔らかくなってくると同時に、灰汁のような灰色の泡がお湯の表面に浮き上がってきた。
「け、結構出るなぁ……。とりあえずこれを取ってと」
お玉で掬い、それを捨ててはまた掬い、何度も何度もそれを繰り返す。
そうこうしているうちにお湯の色はどんどん緑色に変化していった。
「もう、いいかな?」
ほとんど色が変わらなくなってきたタイミングで火を落とし、中から薬草を取り出す。
……なんだか茹で上がったほうれん草みたいだ。
「さて、肝心のポーションは……うん、いつもより綺麗に出来てる気がする!」
今までは灰汁の関係で少しだけ濁った色をしてたけど、今回のは綺麗な緑色。
なんだか少しだけ、口を付けやすそうな色味になったかも。
「多少は苦みが消えていればいいのですが……」
シルフが風を使って鍋を冷ましつつ、そんな希望を口にする。
それに深く頷きながら、冷めて湯気が出なくなった薬湯を瓶に移し替えて……完成!
「どうなったかなっと……」
[最下級ポーション(良):10秒かけてHPが20%回復
多少苦味が抑えられている]
「お! これは一応成功かな!」
「ええ。苦みを抑えるという点では成功だと思います!」
「……まぁ実際は飲んでみないと分からないんだけど」
「それは、そうですが……」
なんていうか、多少って書かれてる以上、すごく苦みが消えてるって感じはしないんだよね。
「この良というのは……?」
「多分だけど、良品ってことじゃないかな? 最下級ポーションだけど、良いものって証みたいな?」
「なるほど……」
確か最下級の通常品は、10秒かけてHPが15%回復だったかな?
それと比べると、5%も回復量が上昇してるのはすごいかも!
ただ……薬草と水の2種類だけだと、これ以上のものは作れなさそうな気がする。
なんとなくだけど、そんな気がするんだ。
だから僕は、インベントリから次の素材を取り出すことにした。
――[アクアリーフの蜜]、これが多分次のレベルに必要な素材。
草を溶けやすくするって、兵士のおじさんが去り際に教えてくれたのもあるけど……なぜか直感でこれを使うって、そう確信してる。
「問題はタイミングだけど……悩んでても仕方ないし、全部試そう」
「はいっ!」
幸い、アクアリーフは結構倒せたからか蜜も沢山あるし、薬草もアルさんに貰ったおかげで、まだいっぱい残ってる。
とりあえず蜜を数個鍋の中に入れて、切った薬草をその中に入れてみた。
「火にかける……いや、うーん……」
僕がそんな風に悩んでいる間にも、蜜の中へ薬草が少しずつ溶けていく。
その変化が面白くて火を入れることをやめた僕は、次に蜜と同じ量の水を用意することにした。
どんどんと解けていく薬草に、薄緑の蜜の色が少しずつ濃い色へと変わっていく。
薬草が完全に溶けたのを確認してから、僕は用意していた水を中へと入れた。
「ここからは棒で混ぜつつ、火を入れてみようかな」
そうしようと棒を入れ、混ぜていくけれど全く混ざっていかない。
まるで水と油みたいに分離していて、かき混ぜてもかき混ぜても混ざっていかなかった。
「むむ……」
「温度とかでしょうか……?」
「んーそうかも。もうちょっと混ぜてみようか」
かき混ぜつつ、シルフと鍋の中身を確認すること約5分。
だんだんと混ざってきた気がする。
そのことに安心しつつ更に混ぜていけば、体感3分ほどで綺麗に混ざり合い、少し透き通った緑色の液体になった。
「たぶんこれで、完成っと」
「では少し冷ましますね」
「うん、お願い」
火を落としたタイミングでシルフに風を当ててもらい、ゆっくりと冷ましていく。
そして瓶に詰めると……
[下級ポーション:10秒かけてHPが25%回復
実用的な回復量を持つポーション]
が、完成した。
「できた!」
「おめでとうございますっ!」
「シルフもお手伝い、ありがとう。でも、良品でもないのに最初から25%の回復量ってすごいね……」
「もしこれが良品になれば、もっと回復するようになるでしょうし、最下級よりもずっと使い勝手が良くなりそうです」
「ただ、どうやれば良品になるのか……全然わかんないんだけど」
というのも、最下級の時のように、灰汁が浮いてきたりとかもなかった。
最下級が良品になったのは、薬湯に含まれる不純物が取り除かれたからだと思うんだけど、今回作った下級は、最初から結構綺麗な色をしていて、これに不純物が含まれているようには感じない……。
つまり、最下級とは違う考え方で、より良いものにしないといけない必要があるってことかな。
「ひとまずは手順の見直しかな? 最下級と同じ考え方で良いなら、下級の材料は[薬草][アクアリーフの蜜][水]の3つで間違いないだろうし」
分解して考えれば、少しは思い付きそうだ。
まず、粉末にして、薬草自体の効果を上げるとか……それ以外にも、混ざりにくかった蜜と水を混ぜた上で、薬草を混ぜてみるなんかの、手順の変更。
……他にもたぶんあるんだろうけど、今のところ思いついたのはそのくらいかな?
「まずは、薬草の粉末を混ぜるところから初めて見ませんか?」
「そうだね。……粉末が絶対即効性になる、とか分かったらそれはそれで勉強にはなるし」
シルフの提案に乗りながら、乾燥してもらった薬草をすり鉢で潰していく。
一度やって多少慣れたのか、少しだけ早く完成した粉末を蜜の中に入れて溶かしていった。
「お、粉末の方が溶けやすいみたい」
粉末が解けて濃い色になった蜜を、鍋の中に入れておいた水に投入。
火をかけながら5分ほど混ぜれば、綺麗な色の薬湯が完成した。
さっきよりも混ざりやすかったような気がするけど、なんの違いだったんだろう……。
[下級ポーション(即効性):瞬時にHP25%回復
作成後3分でアイテム効果変化]
冷まして移し替えたアイテムを確認すれば、やっぱりというか……即効性。
どうやら粉末を使って通常のポーションを作ると、即効性になるみたいだ。
「ただ、制限時間と効果が上昇してるね」
「先ほどは制限時間1分で、20%回復でしたね。3分ならまだ……?」
「いや、それを作るための時間に3分以上かかってるし、やっぱり使うのは難しいかな……」
問題は変化後の効果だ。
それがさっきみたいな効果に変わるのであれば……確実な罠アイテムみたいになりそう。
でもそれが分かるまで3分足らずあるわけだし、その間に別のことを試してみようかな。
「えーと、水と蜜を先に混ぜて……」
さっきまでと同じ量の水と蜜を鍋の中に投入して、火にかける。
その間に薬草を切って……時折、鍋の中身をかき混ぜて状況を確認。
やっぱり薬草を入れてないからか、さっきまでよりも手軽に混ざっていってる気がする。
そのことに内心喜びながら、僕は切っておいた薬草を入れようと、手を伸ばし――
「うぐっ!?」
あまりの激臭に思わず両手で鼻と口を覆った。
酸っぱいような、辛いような、下と唇がピリピリと痛くなるような……そんな臭いが指をすり抜け、鼻とか口とかから浸食してくる。
あ、これ……もしかして、即効性、下級……。
飛びそうになりながらもそこまで考えていた僕の意識の端で、シルフが必死に瓶へと魔法を掛けているのが、見えた……気がした……。
お湯の中の薬草がかなり柔らかくなってくると同時に、灰汁のような灰色の泡がお湯の表面に浮き上がってきた。
「け、結構出るなぁ……。とりあえずこれを取ってと」
お玉で掬い、それを捨ててはまた掬い、何度も何度もそれを繰り返す。
そうこうしているうちにお湯の色はどんどん緑色に変化していった。
「もう、いいかな?」
ほとんど色が変わらなくなってきたタイミングで火を落とし、中から薬草を取り出す。
……なんだか茹で上がったほうれん草みたいだ。
「さて、肝心のポーションは……うん、いつもより綺麗に出来てる気がする!」
今までは灰汁の関係で少しだけ濁った色をしてたけど、今回のは綺麗な緑色。
なんだか少しだけ、口を付けやすそうな色味になったかも。
「多少は苦みが消えていればいいのですが……」
シルフが風を使って鍋を冷ましつつ、そんな希望を口にする。
それに深く頷きながら、冷めて湯気が出なくなった薬湯を瓶に移し替えて……完成!
「どうなったかなっと……」
[最下級ポーション(良):10秒かけてHPが20%回復
多少苦味が抑えられている]
「お! これは一応成功かな!」
「ええ。苦みを抑えるという点では成功だと思います!」
「……まぁ実際は飲んでみないと分からないんだけど」
「それは、そうですが……」
なんていうか、多少って書かれてる以上、すごく苦みが消えてるって感じはしないんだよね。
「この良というのは……?」
「多分だけど、良品ってことじゃないかな? 最下級ポーションだけど、良いものって証みたいな?」
「なるほど……」
確か最下級の通常品は、10秒かけてHPが15%回復だったかな?
それと比べると、5%も回復量が上昇してるのはすごいかも!
ただ……薬草と水の2種類だけだと、これ以上のものは作れなさそうな気がする。
なんとなくだけど、そんな気がするんだ。
だから僕は、インベントリから次の素材を取り出すことにした。
――[アクアリーフの蜜]、これが多分次のレベルに必要な素材。
草を溶けやすくするって、兵士のおじさんが去り際に教えてくれたのもあるけど……なぜか直感でこれを使うって、そう確信してる。
「問題はタイミングだけど……悩んでても仕方ないし、全部試そう」
「はいっ!」
幸い、アクアリーフは結構倒せたからか蜜も沢山あるし、薬草もアルさんに貰ったおかげで、まだいっぱい残ってる。
とりあえず蜜を数個鍋の中に入れて、切った薬草をその中に入れてみた。
「火にかける……いや、うーん……」
僕がそんな風に悩んでいる間にも、蜜の中へ薬草が少しずつ溶けていく。
その変化が面白くて火を入れることをやめた僕は、次に蜜と同じ量の水を用意することにした。
どんどんと解けていく薬草に、薄緑の蜜の色が少しずつ濃い色へと変わっていく。
薬草が完全に溶けたのを確認してから、僕は用意していた水を中へと入れた。
「ここからは棒で混ぜつつ、火を入れてみようかな」
そうしようと棒を入れ、混ぜていくけれど全く混ざっていかない。
まるで水と油みたいに分離していて、かき混ぜてもかき混ぜても混ざっていかなかった。
「むむ……」
「温度とかでしょうか……?」
「んーそうかも。もうちょっと混ぜてみようか」
かき混ぜつつ、シルフと鍋の中身を確認すること約5分。
だんだんと混ざってきた気がする。
そのことに安心しつつ更に混ぜていけば、体感3分ほどで綺麗に混ざり合い、少し透き通った緑色の液体になった。
「たぶんこれで、完成っと」
「では少し冷ましますね」
「うん、お願い」
火を落としたタイミングでシルフに風を当ててもらい、ゆっくりと冷ましていく。
そして瓶に詰めると……
[下級ポーション:10秒かけてHPが25%回復
実用的な回復量を持つポーション]
が、完成した。
「できた!」
「おめでとうございますっ!」
「シルフもお手伝い、ありがとう。でも、良品でもないのに最初から25%の回復量ってすごいね……」
「もしこれが良品になれば、もっと回復するようになるでしょうし、最下級よりもずっと使い勝手が良くなりそうです」
「ただ、どうやれば良品になるのか……全然わかんないんだけど」
というのも、最下級の時のように、灰汁が浮いてきたりとかもなかった。
最下級が良品になったのは、薬湯に含まれる不純物が取り除かれたからだと思うんだけど、今回作った下級は、最初から結構綺麗な色をしていて、これに不純物が含まれているようには感じない……。
つまり、最下級とは違う考え方で、より良いものにしないといけない必要があるってことかな。
「ひとまずは手順の見直しかな? 最下級と同じ考え方で良いなら、下級の材料は[薬草][アクアリーフの蜜][水]の3つで間違いないだろうし」
分解して考えれば、少しは思い付きそうだ。
まず、粉末にして、薬草自体の効果を上げるとか……それ以外にも、混ざりにくかった蜜と水を混ぜた上で、薬草を混ぜてみるなんかの、手順の変更。
……他にもたぶんあるんだろうけど、今のところ思いついたのはそのくらいかな?
「まずは、薬草の粉末を混ぜるところから初めて見ませんか?」
「そうだね。……粉末が絶対即効性になる、とか分かったらそれはそれで勉強にはなるし」
シルフの提案に乗りながら、乾燥してもらった薬草をすり鉢で潰していく。
一度やって多少慣れたのか、少しだけ早く完成した粉末を蜜の中に入れて溶かしていった。
「お、粉末の方が溶けやすいみたい」
粉末が解けて濃い色になった蜜を、鍋の中に入れておいた水に投入。
火をかけながら5分ほど混ぜれば、綺麗な色の薬湯が完成した。
さっきよりも混ざりやすかったような気がするけど、なんの違いだったんだろう……。
[下級ポーション(即効性):瞬時にHP25%回復
作成後3分でアイテム効果変化]
冷まして移し替えたアイテムを確認すれば、やっぱりというか……即効性。
どうやら粉末を使って通常のポーションを作ると、即効性になるみたいだ。
「ただ、制限時間と効果が上昇してるね」
「先ほどは制限時間1分で、20%回復でしたね。3分ならまだ……?」
「いや、それを作るための時間に3分以上かかってるし、やっぱり使うのは難しいかな……」
問題は変化後の効果だ。
それがさっきみたいな効果に変わるのであれば……確実な罠アイテムみたいになりそう。
でもそれが分かるまで3分足らずあるわけだし、その間に別のことを試してみようかな。
「えーと、水と蜜を先に混ぜて……」
さっきまでと同じ量の水と蜜を鍋の中に投入して、火にかける。
その間に薬草を切って……時折、鍋の中身をかき混ぜて状況を確認。
やっぱり薬草を入れてないからか、さっきまでよりも手軽に混ざっていってる気がする。
そのことに内心喜びながら、僕は切っておいた薬草を入れようと、手を伸ばし――
「うぐっ!?」
あまりの激臭に思わず両手で鼻と口を覆った。
酸っぱいような、辛いような、下と唇がピリピリと痛くなるような……そんな臭いが指をすり抜け、鼻とか口とかから浸食してくる。
あ、これ……もしかして、即効性、下級……。
飛びそうになりながらもそこまで考えていた僕の意識の端で、シルフが必死に瓶へと魔法を掛けているのが、見えた……気がした……。
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