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第1章 新しい世界と出会い
第3話 初スキル
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契約をしたわけだし……、今日はもう少しログインしておこうかな……。
でも、スキルもお金もないし、どうしようかなぁ……。
「でしたら、とりあえず雑貨屋さんに行ってみてはどうでしょう?」
「ん? 雑貨屋さん? あと声に出てた?」
「あ、いえ、声は出ていなかったのですが……。契約をして頂いたおかげで、ある程度の思念を感じることが出来るようになりましたの。もちろん完璧にというわけではないので、思念だけで会話されるのでしたら、語りかけるように心で思っていただければ……。あと、雑貨屋さんでしたら色々と置いてますので、見て楽しむこともできるかと」
「なるほど……、ちょっと試してみるね」
えっと、語りかけるようにってことだから……。
(あーあー、これで聞こえるってことかな?)
「はい、大丈夫ですよ」
「なるほど……。契約ってすごいね……」
「そう、ですね……。あ、あとアキ様。普段、私はアキ様以外からは見えないように姿を消しておきます」
「ん? そうなの?」
「えぇ、今までアキ様以外で、私の存在に気付いた方はいなかったので……」
そういえば、精霊との契約っていうのは、大体どんなゲームでもレアなイベントだったりするっけ……。
それなら仕方ないかなぁ……。
普段は声に出さずに会話するようにしないと……。
「とりあえず、雑貨屋さんに行ってみよっか」
「はいっ!」
「あ、また発見。結構生えてるね」
今、僕たちは街の外の草原にいる。
そこで腰を落としながら、目の前の草を抜いていた。
(そうですね。それにもう少しでお願いされた数も揃いそうです)
「まさか、こんなお願いされるとは思ってもなかったけどね……」
(私も驚きました……)
僕としては、置かれてる品物の多さに圧倒されつつ、薬草を見てたりしてただけなんだけど……。
いきなり、お店のおばちゃんに薬草の採取をお願い事されるとは……。
「よし、これで指定された数は揃った……かな?」
(アキ様、お疲れ様です)
「うん、シルフも探してくれてありがとう。おかげで早く集まったよ」
僕の言葉に、少し照れたように笑うシルフを横目に地面に座って休む。
抜いた薬草はインベントリの中にしまってと……。
「あ、スキルが増えてる……。<採取>か……」
なんとなく開いた所持スキルの欄には、<採取Lv.1>の表記が増えていた。
ホントに、行動次第でスキルが増えるんだなぁ……。
「これが、初めてのスキル……」
(おめでとうございます!)
「ん、ありがと!」
笑顔で祝ってくれたシルフに、僕も笑顔で返し、身体を地面へと倒す。
ちなみに、シルフとの契約はスキルじゃなくて、称号として<風の加護>が追加されていた。
シルフに聞いてみたけど、シルフ自身初めての契約で、効果については知らないらしい。
まぁ、加護って名前だし、悪いものではないと思うけど……。
(アキ様、もうすぐ日が落ちますよ?)
シルフの声に慌てて閉じていた目を開くと、太陽が大分傾いていた。
心地よい風にのんびりし過ぎてしまったみたいだ……。
「夜になるのはダメだよね。ちょっと急いで帰ろっか!」
寝転がっていた身体を起こして、少しほぐす。
街の門からはそんなに離れていないし、今から行けば問題ないはずだ。
魔物に見つからないように気を付けながら、僕らは街の方へと駆け出した。
ちなみに、あとから知ったことだけど、夜は魔物が凶暴化するみたいで、街の門を閉めてしまうらしい。
つまり、あのまま帰らなければ街に入れず、外で野宿するしかなかったみたいだ。
雑貨屋アルジェ。
そこは、最初にログインした中央広場から伸びる大通りを、西に進んだ先の道沿いにあるお店だ。
「はい。おばちゃんお待たせ。頼まれてた薬草採ってきたよ」
インベントリから薬草を取りだし、カウンターに置いていく。
おばちゃんにお願いされた数は30束。
うん、ちゃんと数は合ってる。
「おや、ちゃんと採ってこれたみたいだね。おかげで助かったよ」
僕が薬草を置いたカウンター越しに座っていた、お母さんくらいの年齢の女性が小さく笑う。
少しふっくらとしていて、優しそうな雰囲気の人だ。
笑ったその動きで肩の上で赤い髪が揺れて、まるで炎の揺らめきみたいにも見えた。
「でも、どうしていきなり薬草が必要になったの?」
「今日、いきなり外からの住人が増えたからね……。薬が足りなくなりそうだったんだよ」
「そうなんだ……って、あれ? 薬草をってことは……、おばちゃんがこのお店のお薬を作ってるの?」
「あぁ、そうさ。うちの店で扱ってる薬なら、ほとんど私が作ってるよ。もし興味があるなら見ていくかい?」
「うん!」
僕の返事を聞いてから、おばちゃんは薬草を抱え込み、お店の奥の扉を開けて歩いていく。
僕は遅れないように、おばちゃんの後を追いかけた。
扉を抜けた先は、何の変哲もない台所だった。
鈍い金色の鉄の鍋に、包丁のようなナイフ。
木でできたまな板など、薬作りと言われなければ、ただの料理道具にしか見えないものばかりが、その部屋には置かれていた。
「あんたみたいな若い子が、薬作りに興味があるってのは珍しいねぇ……」
呟くように話しながら、おばちゃんは鍋に水を入れ、火にかけていく。
そして流れるような動きで薬草を刻み、温まったお湯の中に入れていく。
「これが、お薬の作り方……なんですか?」
場所や道具も相まって、どちらかというと料理のような……。
そんな僕の想いを知ってか、おばちゃんは笑いつつも頷いてくれる。
「そうさね。これが薬作りさ」
「でも、お湯に刻んだ薬草を入れただけ……ですよね……?」
「あぁ、そうさ。後は、水の色が変わってから薬草を取りだして、冷ましてから水を瓶に移し替えたら終わりさ」
そう言って、数分かけて作ったお薬を僕に渡してくる。
[最下級ポーション:10秒かけてHPが15%回復
最も回復量の少ないポーション]
「最下級……」
「そうさ、これは店で一番安く売ってるポーションって薬さ。ポーションにしても、もっとちゃんとしたやつは、もっと色んなことをしないといけないさね。でもそれは、自分で見つけるものさ」
「自分で……。僕が、ですか……?」
「そうさね。興味があるなら、本を読んだりして参考にするのも手だろうし、人に聞いて見たりしてみるのも手だろうさ。もし作ってみるって言うなら、あんたが工房を持つまではうちの台所を貸したげるからさ」
そう、言うだけ言って、おばちゃんは台所から出ていく。
「おばちゃん……」
やるとも言ってないけれど、そもそもこのアバターで続けれるのかもわからないけれど……。
今やれるところまで、やってみるのもいいのかもしれない。
「アキ様……」
「大丈夫。今日、やれるだけやってみよう。もちろん、この先どうなるかわからないけれど……」
「アキ様……! 私も、出来るだけお手伝いいたします! 一緒にがんばりましょう!」
そんなシルフの言葉を受けながら、僕は薬草の束とナイフに手を伸ばした。
--------------------------------------
名前:アキ
性別:女
称号:ユニーク<風の加護> ←NEW!!
武器:なし
防具:ホワイトリボン
冒険者の服
冒険者のパンツ
冒険者の靴
スキル:<採取Lv.1> ←NEW!!
精霊:シルフ
でも、スキルもお金もないし、どうしようかなぁ……。
「でしたら、とりあえず雑貨屋さんに行ってみてはどうでしょう?」
「ん? 雑貨屋さん? あと声に出てた?」
「あ、いえ、声は出ていなかったのですが……。契約をして頂いたおかげで、ある程度の思念を感じることが出来るようになりましたの。もちろん完璧にというわけではないので、思念だけで会話されるのでしたら、語りかけるように心で思っていただければ……。あと、雑貨屋さんでしたら色々と置いてますので、見て楽しむこともできるかと」
「なるほど……、ちょっと試してみるね」
えっと、語りかけるようにってことだから……。
(あーあー、これで聞こえるってことかな?)
「はい、大丈夫ですよ」
「なるほど……。契約ってすごいね……」
「そう、ですね……。あ、あとアキ様。普段、私はアキ様以外からは見えないように姿を消しておきます」
「ん? そうなの?」
「えぇ、今までアキ様以外で、私の存在に気付いた方はいなかったので……」
そういえば、精霊との契約っていうのは、大体どんなゲームでもレアなイベントだったりするっけ……。
それなら仕方ないかなぁ……。
普段は声に出さずに会話するようにしないと……。
「とりあえず、雑貨屋さんに行ってみよっか」
「はいっ!」
「あ、また発見。結構生えてるね」
今、僕たちは街の外の草原にいる。
そこで腰を落としながら、目の前の草を抜いていた。
(そうですね。それにもう少しでお願いされた数も揃いそうです)
「まさか、こんなお願いされるとは思ってもなかったけどね……」
(私も驚きました……)
僕としては、置かれてる品物の多さに圧倒されつつ、薬草を見てたりしてただけなんだけど……。
いきなり、お店のおばちゃんに薬草の採取をお願い事されるとは……。
「よし、これで指定された数は揃った……かな?」
(アキ様、お疲れ様です)
「うん、シルフも探してくれてありがとう。おかげで早く集まったよ」
僕の言葉に、少し照れたように笑うシルフを横目に地面に座って休む。
抜いた薬草はインベントリの中にしまってと……。
「あ、スキルが増えてる……。<採取>か……」
なんとなく開いた所持スキルの欄には、<採取Lv.1>の表記が増えていた。
ホントに、行動次第でスキルが増えるんだなぁ……。
「これが、初めてのスキル……」
(おめでとうございます!)
「ん、ありがと!」
笑顔で祝ってくれたシルフに、僕も笑顔で返し、身体を地面へと倒す。
ちなみに、シルフとの契約はスキルじゃなくて、称号として<風の加護>が追加されていた。
シルフに聞いてみたけど、シルフ自身初めての契約で、効果については知らないらしい。
まぁ、加護って名前だし、悪いものではないと思うけど……。
(アキ様、もうすぐ日が落ちますよ?)
シルフの声に慌てて閉じていた目を開くと、太陽が大分傾いていた。
心地よい風にのんびりし過ぎてしまったみたいだ……。
「夜になるのはダメだよね。ちょっと急いで帰ろっか!」
寝転がっていた身体を起こして、少しほぐす。
街の門からはそんなに離れていないし、今から行けば問題ないはずだ。
魔物に見つからないように気を付けながら、僕らは街の方へと駆け出した。
ちなみに、あとから知ったことだけど、夜は魔物が凶暴化するみたいで、街の門を閉めてしまうらしい。
つまり、あのまま帰らなければ街に入れず、外で野宿するしかなかったみたいだ。
雑貨屋アルジェ。
そこは、最初にログインした中央広場から伸びる大通りを、西に進んだ先の道沿いにあるお店だ。
「はい。おばちゃんお待たせ。頼まれてた薬草採ってきたよ」
インベントリから薬草を取りだし、カウンターに置いていく。
おばちゃんにお願いされた数は30束。
うん、ちゃんと数は合ってる。
「おや、ちゃんと採ってこれたみたいだね。おかげで助かったよ」
僕が薬草を置いたカウンター越しに座っていた、お母さんくらいの年齢の女性が小さく笑う。
少しふっくらとしていて、優しそうな雰囲気の人だ。
笑ったその動きで肩の上で赤い髪が揺れて、まるで炎の揺らめきみたいにも見えた。
「でも、どうしていきなり薬草が必要になったの?」
「今日、いきなり外からの住人が増えたからね……。薬が足りなくなりそうだったんだよ」
「そうなんだ……って、あれ? 薬草をってことは……、おばちゃんがこのお店のお薬を作ってるの?」
「あぁ、そうさ。うちの店で扱ってる薬なら、ほとんど私が作ってるよ。もし興味があるなら見ていくかい?」
「うん!」
僕の返事を聞いてから、おばちゃんは薬草を抱え込み、お店の奥の扉を開けて歩いていく。
僕は遅れないように、おばちゃんの後を追いかけた。
扉を抜けた先は、何の変哲もない台所だった。
鈍い金色の鉄の鍋に、包丁のようなナイフ。
木でできたまな板など、薬作りと言われなければ、ただの料理道具にしか見えないものばかりが、その部屋には置かれていた。
「あんたみたいな若い子が、薬作りに興味があるってのは珍しいねぇ……」
呟くように話しながら、おばちゃんは鍋に水を入れ、火にかけていく。
そして流れるような動きで薬草を刻み、温まったお湯の中に入れていく。
「これが、お薬の作り方……なんですか?」
場所や道具も相まって、どちらかというと料理のような……。
そんな僕の想いを知ってか、おばちゃんは笑いつつも頷いてくれる。
「そうさね。これが薬作りさ」
「でも、お湯に刻んだ薬草を入れただけ……ですよね……?」
「あぁ、そうさ。後は、水の色が変わってから薬草を取りだして、冷ましてから水を瓶に移し替えたら終わりさ」
そう言って、数分かけて作ったお薬を僕に渡してくる。
[最下級ポーション:10秒かけてHPが15%回復
最も回復量の少ないポーション]
「最下級……」
「そうさ、これは店で一番安く売ってるポーションって薬さ。ポーションにしても、もっとちゃんとしたやつは、もっと色んなことをしないといけないさね。でもそれは、自分で見つけるものさ」
「自分で……。僕が、ですか……?」
「そうさね。興味があるなら、本を読んだりして参考にするのも手だろうし、人に聞いて見たりしてみるのも手だろうさ。もし作ってみるって言うなら、あんたが工房を持つまではうちの台所を貸したげるからさ」
そう、言うだけ言って、おばちゃんは台所から出ていく。
「おばちゃん……」
やるとも言ってないけれど、そもそもこのアバターで続けれるのかもわからないけれど……。
今やれるところまで、やってみるのもいいのかもしれない。
「アキ様……」
「大丈夫。今日、やれるだけやってみよう。もちろん、この先どうなるかわからないけれど……」
「アキ様……! 私も、出来るだけお手伝いいたします! 一緒にがんばりましょう!」
そんなシルフの言葉を受けながら、僕は薬草の束とナイフに手を伸ばした。
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名前:アキ
性別:女
称号:ユニーク<風の加護> ←NEW!!
武器:なし
防具:ホワイトリボン
冒険者の服
冒険者のパンツ
冒険者の靴
スキル:<採取Lv.1> ←NEW!!
精霊:シルフ
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