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第1章 新しい世界と出会い
第1話 ログイン
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――このゲームは、努力を決して、裏切らない。
何の気なしにみていたテレビに流れる、とあるゲームCM。
その最後に流れた、たった一言に、僕は引き込まれてしまったんだ。
――VRMMORPG<Life Game>
VR技術を使った、初の大規模多人数型オンラインゲーム。
少し調べてみるだけでも、その前評判の高さがわかるほどで、むしろなんで僕は知らなかったのか、自分でも不思議になるくらいだった。
<Life Game>という名前からわかる通り、コンセプトは「もう一つの人生」。
それは、ゲームシステムからもよくわかる。
なぜなら、RPGお決まりのステータスやスキルが、自分の行動で変わっていくらしい。
しかも努力すれば、既存のスキルじゃない、自分だけの新しいスキルを作り出すことだってできるみたいだ。
「ここなら、僕がやりたいことが……、見つかるのかもしれない」
ただ時間を潰すように、日々を過ごすことしかできない僕が……、本気になれることを見つけられるかもしれない。
そう思うと、いてもたってもいられなくて、パッケージ予約開始日を調べて、カレンダーに印を付けたり、アラームをセットしたり……。
その甲斐あってか、数ヵ月後、なんとか正規パッケージを手にいれることができた。
「今日の朝10時から、オープン……!」
前日の内に、ゲームのインストールを済ませておいたこともあり、あとは時間になるのを待つだけ。
僕が知るよりも前にクローズドβテストがあったみたいだけど、あえてシステム以外の情報は調べていない。
全力で、やれることを探していくために、プレイ情報はみないことにしたからだ。
「きた! 時間だ!」
時計の針が時間になったのを確認した直後、僕はゲームの世界へと、ログインした。
『ゲーム内アバターの作成に入ります』
男性とも、女性とも、どちらとも取れる声が脳内に響く。
それと同時に、真っ暗だった僕の視界に光が差した。
真っ白な部屋と、目の前に置かれた巨大な鏡。
きっと、この鏡を見ながらアバターを弄っていくことになるんだろう。
『アバター作成は、脳内で想像していただければ、目の前の鏡に反映されます。注意点としましては、極端な変更、また性別の変更などは出来ません。可能上限に引っ掛かる場合は、上限で変化が止まりますので、ご了承ください』
これはシステム情報に載っていたから、知っていたけれど。
想像したら変わるのはすごいなぁ……。
そう思いつつ、上限一杯まで身長を伸ばしてみたり、縮めてみたり。
面白いけど、なんだか違和感があるし、そのままで良いかな。
「ぁ、全部一緒だと知り合いとかいたら嫌だし……、髪の色と長さだけランダムにしよっと」
ランダムと言っても範囲指定ができるので、指定しておけばスキンヘッドになったり、すごいロングになったりは防げる仕様になってる。
なので、安心してランダム設定ができる。
「よしっと、アバター作成おーわりっ」
『アバターが確定であれば、初期スキル選択に入ります。よろしいですか?』
「大丈夫ですっ!」
『かしこまりました。では次に、初期スキル選択に移ります』
そう聞こえた瞬間、目の前の鏡が消え去り、1つの本が中に浮かび上がる。
『本を開きながら、探したいスキルを想像していただくことで、初期スキルとして付けることが可能なスキルが表示されます。初期スキルは最大3つ付けることが可能です。また、確定するまでは変更も可能です』
試しに本を開きながら、剣を想像すると……、本のページが勝手に捲られていき、とあるページで止まる。
<剣術><鍛冶><危険察知>などなど……、見開きのページにスキルの名前と、簡単な説明が浮かび上がった。
「す、すごい……」
ただ、剣と想像しただけなのに、剣を使った戦闘関係のスキルや、<鍛冶>なんかの生産スキルまで出てくるなんて……。
けれど僕は、自分のやりたいことを探したいから。
少しだけ目を瞑り、本を閉じる。
「スキル選択、終わります」
『スキルが何も設定されていませんが、よろしいですか?』
「はい、大丈夫です」
『かしこまりました。それでは、これで初期設定をヲ、をわりマ……』
「ん……?」
アナウンスの声が、妙な音に聞こえた気がして、首を傾げた直後、僕の視界で光が弾ける。
その眩しさに、僕は思わず目を閉じた。
「――さん。お嬢さん。もう、目を開けても大丈夫だぞ」
右側から聞こえた声に、閉じていた目をゆっくりと開ける。
視界に見えるのは、いろんな人たちが行き来する、活気溢れる町並み。
剣を腰に差した人が歩くたび、鉄と鉄が擦れる音が鳴り、馬の鳴き声も遠くから聞こえた。
「すごい……」
それ以外に、言葉がまったく出てこない。
「すごいよな。これがゲームだなんて言われても、まったく信じれないぞ」
僕の声に反応するように、右横から声が聞こえた。
そういえば、さっきも同じ声が聞こえた気がする。
そう思って、声のした方に顔を向ければ、相手もその動きに気付いたのか、顔をこちらに向けてきた。
「うわ、イケメン……」
「ははっ、その様子じゃもう大丈夫そうだな。俺の直後に転移してきたのに、まったく動かなかったから心配だったんだ」
「あ、そうなんですね。ご心配お掛け致しました……」
そう言いながら、男性に軽く頭を下げる。
「いや、気にしなくていい。ネットとはいえ、女の子が1人で動かないのも危ないしな。それで声をかけさせてもらっただけだ。特別なにかしたわけじゃない」
「ありがとうございます。ん……?」
今なんだか、スルーしてはいけないことを言われたような……。
「あの……」
「ん? なんだ?」
「今、僕のこと……、女の子って言いました……?」
僕の記憶が正しければ、今のアバターは現実の僕とほとんど変わらないはず。
つまり、最近は身長も伸びて、男らしくなった僕のはずだ。
まぁ、昔は背も小さくて童顔だったから、女の子に間違われることもあったけど、今はそんなこともないはずだし……。
「あぁ……。何て呼べばいいかわからなくてな。ひとまず見た感じで女の子って言ったんだが……、もしかしてランダム設定とかで身長が低くなってて、実年齢より若くなってるのかもしれんな」
そう言いながら、男性は腰に差してた剣を抜いて、僕の前へとかざす。
使ってもいない新品の剣は、まだまだ全然綺麗で、まるで鏡みたいに僕の姿を映してくれた。
薄紅の髪を背中まで伸ばした、ちょっと発育が足りないけれど、とても可愛らしい女の子の姿を。
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名前:アキ
性別:女 ← NEW!!
何の気なしにみていたテレビに流れる、とあるゲームCM。
その最後に流れた、たった一言に、僕は引き込まれてしまったんだ。
――VRMMORPG<Life Game>
VR技術を使った、初の大規模多人数型オンラインゲーム。
少し調べてみるだけでも、その前評判の高さがわかるほどで、むしろなんで僕は知らなかったのか、自分でも不思議になるくらいだった。
<Life Game>という名前からわかる通り、コンセプトは「もう一つの人生」。
それは、ゲームシステムからもよくわかる。
なぜなら、RPGお決まりのステータスやスキルが、自分の行動で変わっていくらしい。
しかも努力すれば、既存のスキルじゃない、自分だけの新しいスキルを作り出すことだってできるみたいだ。
「ここなら、僕がやりたいことが……、見つかるのかもしれない」
ただ時間を潰すように、日々を過ごすことしかできない僕が……、本気になれることを見つけられるかもしれない。
そう思うと、いてもたってもいられなくて、パッケージ予約開始日を調べて、カレンダーに印を付けたり、アラームをセットしたり……。
その甲斐あってか、数ヵ月後、なんとか正規パッケージを手にいれることができた。
「今日の朝10時から、オープン……!」
前日の内に、ゲームのインストールを済ませておいたこともあり、あとは時間になるのを待つだけ。
僕が知るよりも前にクローズドβテストがあったみたいだけど、あえてシステム以外の情報は調べていない。
全力で、やれることを探していくために、プレイ情報はみないことにしたからだ。
「きた! 時間だ!」
時計の針が時間になったのを確認した直後、僕はゲームの世界へと、ログインした。
『ゲーム内アバターの作成に入ります』
男性とも、女性とも、どちらとも取れる声が脳内に響く。
それと同時に、真っ暗だった僕の視界に光が差した。
真っ白な部屋と、目の前に置かれた巨大な鏡。
きっと、この鏡を見ながらアバターを弄っていくことになるんだろう。
『アバター作成は、脳内で想像していただければ、目の前の鏡に反映されます。注意点としましては、極端な変更、また性別の変更などは出来ません。可能上限に引っ掛かる場合は、上限で変化が止まりますので、ご了承ください』
これはシステム情報に載っていたから、知っていたけれど。
想像したら変わるのはすごいなぁ……。
そう思いつつ、上限一杯まで身長を伸ばしてみたり、縮めてみたり。
面白いけど、なんだか違和感があるし、そのままで良いかな。
「ぁ、全部一緒だと知り合いとかいたら嫌だし……、髪の色と長さだけランダムにしよっと」
ランダムと言っても範囲指定ができるので、指定しておけばスキンヘッドになったり、すごいロングになったりは防げる仕様になってる。
なので、安心してランダム設定ができる。
「よしっと、アバター作成おーわりっ」
『アバターが確定であれば、初期スキル選択に入ります。よろしいですか?』
「大丈夫ですっ!」
『かしこまりました。では次に、初期スキル選択に移ります』
そう聞こえた瞬間、目の前の鏡が消え去り、1つの本が中に浮かび上がる。
『本を開きながら、探したいスキルを想像していただくことで、初期スキルとして付けることが可能なスキルが表示されます。初期スキルは最大3つ付けることが可能です。また、確定するまでは変更も可能です』
試しに本を開きながら、剣を想像すると……、本のページが勝手に捲られていき、とあるページで止まる。
<剣術><鍛冶><危険察知>などなど……、見開きのページにスキルの名前と、簡単な説明が浮かび上がった。
「す、すごい……」
ただ、剣と想像しただけなのに、剣を使った戦闘関係のスキルや、<鍛冶>なんかの生産スキルまで出てくるなんて……。
けれど僕は、自分のやりたいことを探したいから。
少しだけ目を瞑り、本を閉じる。
「スキル選択、終わります」
『スキルが何も設定されていませんが、よろしいですか?』
「はい、大丈夫です」
『かしこまりました。それでは、これで初期設定をヲ、をわりマ……』
「ん……?」
アナウンスの声が、妙な音に聞こえた気がして、首を傾げた直後、僕の視界で光が弾ける。
その眩しさに、僕は思わず目を閉じた。
「――さん。お嬢さん。もう、目を開けても大丈夫だぞ」
右側から聞こえた声に、閉じていた目をゆっくりと開ける。
視界に見えるのは、いろんな人たちが行き来する、活気溢れる町並み。
剣を腰に差した人が歩くたび、鉄と鉄が擦れる音が鳴り、馬の鳴き声も遠くから聞こえた。
「すごい……」
それ以外に、言葉がまったく出てこない。
「すごいよな。これがゲームだなんて言われても、まったく信じれないぞ」
僕の声に反応するように、右横から声が聞こえた。
そういえば、さっきも同じ声が聞こえた気がする。
そう思って、声のした方に顔を向ければ、相手もその動きに気付いたのか、顔をこちらに向けてきた。
「うわ、イケメン……」
「ははっ、その様子じゃもう大丈夫そうだな。俺の直後に転移してきたのに、まったく動かなかったから心配だったんだ」
「あ、そうなんですね。ご心配お掛け致しました……」
そう言いながら、男性に軽く頭を下げる。
「いや、気にしなくていい。ネットとはいえ、女の子が1人で動かないのも危ないしな。それで声をかけさせてもらっただけだ。特別なにかしたわけじゃない」
「ありがとうございます。ん……?」
今なんだか、スルーしてはいけないことを言われたような……。
「あの……」
「ん? なんだ?」
「今、僕のこと……、女の子って言いました……?」
僕の記憶が正しければ、今のアバターは現実の僕とほとんど変わらないはず。
つまり、最近は身長も伸びて、男らしくなった僕のはずだ。
まぁ、昔は背も小さくて童顔だったから、女の子に間違われることもあったけど、今はそんなこともないはずだし……。
「あぁ……。何て呼べばいいかわからなくてな。ひとまず見た感じで女の子って言ったんだが……、もしかしてランダム設定とかで身長が低くなってて、実年齢より若くなってるのかもしれんな」
そう言いながら、男性は腰に差してた剣を抜いて、僕の前へとかざす。
使ってもいない新品の剣は、まだまだ全然綺麗で、まるで鏡みたいに僕の姿を映してくれた。
薄紅の髪を背中まで伸ばした、ちょっと発育が足りないけれど、とても可愛らしい女の子の姿を。
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名前:アキ
性別:女 ← NEW!!
応援ありがとうございます!
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