勢いで寝てしまった親友との関係にけじめをつけます

noriko

文字の大きさ
上 下
3 / 4

ずっとこうしたかった

しおりを挟む
「民人くん、すごい……出さずにイったの? 前、つらくない?」
恍惚とした表情で、大助がため息を漏らす。
「んぁ……だいすけぇ……もっと、奥、欲しい……」
イったばかりなのに、身体は疼き続ける。
はやく、太ももに当たっているそれを飲み込みたい。
大助は額に手を当てて、天を仰ぐ。
「奥って……、あぁ……民人くん俺、今日止まんないかも」
「止めないで……ここ、エッチするところなんだから」
「民人くん……ほんと、エッチ好きなんだね……」
そう言いながら小袋を破き、自身に皮膜を被せる。
「……好きな人とするのが、好きなんだよ」
そう言うと、手を止めて、こちらを見る。
そして口元を緩めて、赤面する。
……僕は僕で、言ってから恥ずかしくなって、枕に顔を埋めているのだけど。
「好きな人、か……ほんと、夢みたい。……ねえ、俺のこと、好きって言って」
「ん……そう言われると、恥ずかしくて」
「そっか」
彼は少し、残念そうに笑う。
……申し訳ないけど、今本心を言ったら、本当に、全部のタガが外れてしまいそうで。
本当は伝えたいんだけど。
大助のこと、どれだけ好きか。
「大助、きて」
かわりに、首に手を回して、それだけ伝える。
せめて、態度で示したくて。
大助は顔をほころばせ、僕の頬に手を添えた。
硬くて、熱いそれが、ぴったりと後孔にあてがわれる。
「民人くん、好きだよ」
少しずつ、大助がめり込んでくる間隔に、思わず声が漏れる。
「ん、ぁ……アア、ん……」
しっかりとした質量のそれを感じながら、なんとか受け入れる。
「くっ……入り口、すごいきつい」
「だって、だいすけ、ふとい……」
久々の――とはいえ半月だけれど――身体には、刺激が強すぎるかも知れない。
指では絶対に得られない多幸感。
「……褒めてくれてる?」
「うん、きもちい……」
「ありがと。……でも、つらかったら、言ってね」
そう言って、額に優しく口づけする。
僕の腰を抱えて、少しずつ、僕の中を押し進む。
「ん、アア……だいすけぇ……奥、キてる……」
「ハァ、民人くん、この前より、締まる……」
「あ、ああ……だいすけえ……きもちい……? くるしく、ない?」
彼は、頬を紅潮させて、破顔する。
そして、耳元でため息交じりに囁いた。
「うん、きもちいいよ、民人くんのナカ……目が合うたびに、ここ、締まる」
下腹部を撫でられて、思わず顔を背けた。
……だって、大助の表情が、あまりに扇情的だから。
大助は僕とセックスすること、僕から好意を向けられること、夢みたいだと言っているけれど。
僕も夢みたいだと思う。
ふだん親友として接していた男に、こんなに焦がれて、どうしようもないくらい情緒を掻き乱されるなんて。
「……だいすけぇ……」
名前を呼ぶたび、嬉しそうににこりと応じる。
ごり、と奥をえぐられる。
尻に彼の体が密着し、大助が全て収まったのだと理解した。
「ああ、民人くん……好き、ほんとに、民人くんのこと、ずっと好きだった、ずっとこうしたかった」
僕の髪を梳くように、優しく頭を撫でる。
心臓がうるさい。
大助の胸に手を当てると、彼の心臓も、同じくらいバクバクと跳ねていた。
その鼓動を感じているのを察したのか。
「……恥ずかしいな、余裕がないのバレちゃう」
そう言って、照れくさそうに笑う。
「お互い様だよ」
頭を撫でる彼の髪を、僕の胸の真ん中に誘導する。
僕の鼓動を感じて、目を細める。
「……嬉しい、俺で、こんなにしてくれてるんだ」
ただ、コクリとうなずく。
背中に手を回すと、大助も僕を強く抱きかかえた。
舌先でつん、と唇をつつかれて、何度目かの、舌を絡め合う口づけを交わす。
「あ、んう……」
体を動かさないまま、ナカに埋まった大助の欲望と、口の中で蠢く彼の舌を感じる。
身体が、ぜんぶひとつになる感覚。
しばらく無言で、くちゅ、くちゅ……と、絡まり合う音と、互いの吐息を堪能する。
やがて、どちらからともなく離れていき、互いをつなぐ透明な糸が、ぷつりと切れた。
……はやく、それを奥まで、突き上げてほしい。
大助と目があったとき、今にも僕を抱き壊してしまいたいとでもいうような、獰猛な欲望をはらんだ表情を向けられて、心臓がきゅっと締め付けられる。
「ねえ、民人くん……動いて、いいかな」
それでも、いつもみたいな甘い、優しい声で、穏やかにねだる。
「うん……奥、ちょーだい……」
「はあ、それ……ほんと、ずるい」
ゆっくりと、埋めたそれを引き抜いては、奥を突き上げるように挿し込む。
硬いそれが内壁がゴリゴリと刺激する感覚に、声が抑えられない。
「あ、ああっ……ア……」
思わず開く足を一瞥し、腰を抱えていた腕を、僕の太ももに持ち替える。
「あ、だめ、それぇ……」
あられもない姿を大助にさらけ出す恥じらいと、大助の当たる場所が変わったことで強くなった刺激に、身を捩らせる。
探るように、押し当てるように動いていた腰は、少しずつ速度を速めていく。
「ん、あ、……あァ、んは、ぁ、だい、すけぇっ」
「ア、……ん、ぐ、……みんと、くん」
眉間にしわを寄せて、呻くように声を漏らす大助を見つめる。
いつも見ている横顔……だけれど、いつもは見ない表情。
半月ぶりに見るその顔つきに、愛おしさがこみ上げる。
もともと――親友だと思って、どこかで一線を引いていたけれど――、大助はどこまでも、僕の好きな男だ。
整った顔を流れる汗が、顎を伝うその様だって、たまらなく画になる。
「あ、だいすけ、え、すき、あ、ああっ」
口にしたら、おかしくなってしまうと思っていたその言葉が、思わず溢れるくらいには。
「……ああ、ア……みんと、くん、ハァ……うれしい、おれも、すき」
顔をくしゃりと歪ませて、熱い吐息を漏らす。
彼の下半身が、少し膨張したようで。
彼が腰を打ち付ける度、こすれるそれが、僕の弱いところを押さえつける。
「んあ、ア、あ、あっ……ふぁ、あっ……!」
大助をもっと感じたくて、彼の欲望を締め付けるように、下腹部に力を込める。
「あ、みんと、くん、キツ……あ、はぁ、たまんない……」
僕は僕で、力を込めた分、よけいに彼を感じてしまって。
「んぁ、ああ、はぁっ……だいすけ、そこ、だめ、……っあ、ア、あ」
しかも、彼は僕の弱いところを探り当てたようで、ぐりぐりと先端を押しつける。
「ふ、……みんとくん、ここ、突くと、すっごいしまる、搾り取られる、みたいっ」
「や、ア、だめ、ほんと、おかしく、なっ……ア、ああっ……!」
満たされる多幸感と、強い刺激に、頭の中で星がちらばったみたいに、まぶしくて何も考えられない。
軽いオーガズムみたいなのがずっと続いてて、ただ大助から与えられる快楽を受け入れるしかない。
「んぁ、だいすけ……すきぃ、もっと、奥……」
「みんと、くん、ハァ、おれまで、おかしく、……ふ、アっ……」
奥をねだると、大助はぐり、と奥に打ち付けてくれる。
指じゃ届かないそこが、たっぷりと大助の先端で満たされる感覚。
「あ、ああん、あ、アっ……あ、すき、あっ……」
「そんなに、好きって……ハァ、おれも、すき、ずっと、すき」
彼の肩に片足を担がれ、今までよりももっと奥に差しこまれる。
「あ、ア、はぁ、奥、だめ、キちゃう、あ、ああっ……!」
そして、空いた手が、触れられずに痛いほど腫れ上がった僕の中心に添えられる。
その刺激で、今までじれったく感じていた快楽が、一気に絶頂に攻め立てられる。
彼のそれが最奥を突いたとき、びくり、と身体が跳ねた。
「……ハァ、民人くん、エロすぎ……」
うごめく僕のナカは、一度動きを止めた彼を絡め取るように動く。
僕の意思に反して、ひくひくと彼を締め付ける。
「あぁ……大助、うごか、ないで……」
「動いてないよ、民人くんが、俺の絞ってんの……これだけでイきそう」
「うそ、あ……だって、こんな、きもち……」
ドクドクと、だらしなく僕の先端から溢れる白濁を、大助はただ見つめる。
「ほんと、気持ちよさそう、……こんなエッチな民人くん、見れるなんて」
「そんなの、みないで、はずかし……」
額に、チュ、と音を立てて口づける。
「ねえ、民人くん……俺も、民人くんで、イきたい」
耳元で、僕の大好きな……ふだんから、僕にしかしない甘い声でねだられたら、断れるはずもなく。
「ん……うごいて、僕で、イって」
「ごめんね、ちょっと、我慢して」
果てたばかりの僕を、労ってくれているけれど。
再び動き始めた彼の首に手を回して、思わず、本音をこぼす。
「ん、がまんしない、まだ、たりない……大助、ほしい」
「……みんとくん、はあ、好き、今日、ほんと、ゴム足りない、かも」
「んあ、あ、いい……すきなだけ、シよ……」
行きがけに買ったスキンは、それなりの数があったはずだけれど。
半月……いや、大助にとってはそれ以上、ずっと、耐えてきたんだから、仕方ないかもしれない。
それに何より、こんなに、相性がいいなんて。
唇を薄く開けて彼を見つめると、願ったとおりに唇を重ねてくれる。
「ん、うぁ……あ、はあ、あっ……」
「ん、あ、民人くん、は、はあ……あ、ア……」
もだえるような表情に、彼の絶頂が近いことを悟る。
「だいすけ、え……奥、ちょうだい、んぁ」
余韻でひくつくナカを締め付け、大助を求める。
「あ、みんとくん、……ハァ、あ、ア!」
ばちん、と音を立てて僕の奥を突き上げると、ナカで大助がどくり、と爆ぜた気がした。
被膜越しに、彼の脈動を感じる。
「あ……大助の、なんか、アツい……」
しばらく軽い口づけを交わしてから、ずるり、とそれが引き抜かれる。
「民人くん……ここ、ほんと、エロすぎ……」
見えないけれど、大助の形にぽっかりと空いた穴が、ひくひくと未だそれを求めているのだろう。
そんな痴態を大助に見られている、と思ったら、思わず枕に顔を埋めて声を上げた。
「ああ、見ないで、電気消して」
「いまさら? もう、民人くんの全部、見ちゃったよ。俺のが入ってるところも」
そう言って、僕の身体を指でなぞる。
「ずるい、僕はほとんど、見えてないのに」
「そんなこと言われても……」
大助は、キョロキョロと部屋を見渡す。
そして、天を仰いでから。
「そうだ」
と言って、上体を起こす。
ぱちん、とゴムの音がしたので、おそらくスキンを剥がしたのだろう。
「……手慣れてるね」
手際よく結ぶ姿を見て、つい感心して言ってしまう。
それを聞いて、大助は少し、むすっと頬を膨らせた。
「……言っとくけど俺、民人くんが初めての相手だからね」
「えっ……」
つまり、半月前のあのとき。
いや、じゃあ僕、あんな形で、大助の初めてを奪ってしまったのか。
「……ごめんなさい……」
「いや、謝らないでよ、俺は嬉しいんだから」
へら、と笑う彼は、僕に気を使っているのではなく、本当に嬉しいようだった。
……それなら、浮かばれるけれど。

「慣れてるのは、ひとりでするとき散らからないように使ってるだけだし。……こういうときモタつかないように練習も兼ねて、だけど」
そう言って、2つ目の袋を手に取る。
「僕、べつにナマでいいんだけど、大助なら」
「大変なのは民人くんじゃん。……俺はそうやって民人くんに甘えるの、もうやめようって決めたから」
「大助……こんないい男が近くにいたなんて」
つい、思ったことを口に出してしまったが、大助は少し得意げに笑う。
「気づいてよかったね」
少しの間のあと、二人で笑い合う。

それから、大助はベッドから降りて、浴室を指差す。
「ところで……風呂、ってさ、鏡あるかな」
「鏡? あるかもしれないけど……」
「そっか。……一緒にどう?」
「え、僕、まだ……」
まだ、ヤりたりないんだけど、と言おうとして、大助がスキンの小袋を携えていることに気づく。
……そういうことか。
「……うん、入ろう」
大助に、なにか考えがあるのだろう。
少し乗っかってみようと、僕も重い腰を上げた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

仕事ができる子は騎乗位も上手い

冲令子
BL
うっかりマッチングしてしまった会社の先輩後輩が、付き合うまでの話です。 後輩×先輩。

お酒に酔って、うっかり幼馴染に告白したら

夏芽玉
BL
タイトルそのまんまのお話です。 テーマは『二行で結合』。三行目からずっとインしてます。 Twitterのお題で『お酒に酔ってうっかり告白しちゃった片想いくんの小説を書いて下さい』と出たので、勢いで書きました。 執着攻め(19大学生)×鈍感受け(20大学生)

好きな人に迷惑をかけないために、店で初体験を終えた

和泉奏
BL
これで、きっと全部うまくいくはずなんだ。そうだろ?

彼は罰ゲームでおれと付き合った

和泉奏
BL
「全部嘘だったなんて、知りたくなかった」

つまりは相思相愛

nano ひにゃ
BL
ご主人様にイかないように命令された僕はおもちゃの刺激にただ耐えるばかり。 限界まで耐えさせられた後、抱かれるのだが、それもまたしつこく、僕はもう僕でいられない。 とことん甘やかしたいご主人様は目的達成のために僕を追い詰めるだけの短い話です。 最初からR表現です、ご注意ください。

年下彼氏に愛されて最高に幸せです♡

真城詩
BL
短編読みきりです。

23時のプール

貴船きよの
BL
輸入家具会社に勤める市守和哉は、叔父が留守にする間、高級マンションの部屋に住む話を持ちかけられていた。 初めは気が進まない和哉だったが、そのマンションにプールがついていることを知り、叔父の話を承諾する。 叔父の部屋に越してからというもの、毎週のようにプールで泳いでいた和哉は、そこで、蓮見涼介という年下の男と出会う。 彼の泳ぎに惹かれた和哉は、彼自身にも関心を抱く。 二人は、プールで毎週会うようになる。

愛人は嫌だったので別れることにしました。

伊吹咲夜
BL
会社の先輩である健二と達哉は、先輩・後輩の間柄であり、身体の関係も持っていた。そんな健二のことを達哉は自分を愛してくれている恋人だとずっと思っていた。 しかし健二との関係は身体だけで、それ以上のことはない。疑問に思っていた日、健二が結婚したと朝礼で報告が。健二は達哉のことを愛してはいなかったのか?

処理中です...