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ふたりの内緒
ふたりの内緒 6
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身体をつなげたまま、「ひと休み」といわんばかりに数分、ただ互いの身体を撫でながら、沈黙の時間を過ごす。
火照った身体が、クーラーで冷やされる。
「……そういえば大助、午前中に圭介君が来たんだよ」
大助は驚いた表情で声を上げる。
「え? あいつ帰ってきてたの?」
「うん、先週から帰国してたんだって。……忙しかったみたいで、すぐ帰っちゃったんだけど。僕たちにお土産だけくれたよ」
「へえ、何だったの?」
「内緒だって。大助と2人で開けてって言われてた」
そう言った途端に、表情を暗くする。
「2人で……ちょっと嫌な予感するな」
「なんで?」
「……中身見てから話すわ」
「気になる……」
僕の声に、大助はんん、と考え込んで、大きく息を吐いた。
「そうだな……ちょっと持ってきて良い?」
「ええ……」
「リビングにおいてある? 今から開けよう」
「え、ちょっと、……あぁっ……」
大助は完全に勢いで離れようとしたけど、大助のが引き抜かれるその感覚が急に来て、身体の力が抜けてしまった。
「あっ、ごめん、……でも、どのみちゴム、新しいのに替えたくて」
「……いきなりはちょっと、ひどい……ちょっと大助、服は?」
そのまま何も纏わずリビングに向かう姿を、思わず制止する。
「え? すぐ戻るから」
そう言って、そのまま出て行ってしまった。
そのつかの間の時間に、大助が破り捨てたスキンの包装を見つめる。
大助は、また新しいのに替えると言った。
(……また、するんだ)
こうやって、時間の許す限り大助と乱れ会える時間が、こんなに幸せに感じるとは思わなかった。
こんな爛れた生活、普通は良くないと思うけれど。
でも、多分、大助が学生の間の特権だから、今のうちだけ享受していよう。
「おまたせ。見た目より結構重いな」
全裸でプレゼント箱を持った恋人の姿は、ちょっと愉快だった。
「大助、やっぱりなんか着てないとかっこ悪いよ」
「……また脱ぐの、面倒じゃん」
そう言って僕の鎖骨をなぞる。
「もう……先に開けようよ」
ベッドの中央に置かれたプレゼント箱を取り囲んで、開封する。
恋人の弟からもらったプレゼントを、裸で開封するこの状況……やっぱり服くらい着た方がいいのでは? と思い、大助の方を見る。
「民人くんの言いたいことはわかってる。……でも多分、これでいい」
僕が口を開く前に、大助は何かを決意した表情で言う。
そうして、包装紙を剥がし、箱を開けると、そこには外国語が書かれた小さな箱が2,3個入っていた。
「え? なんだろうこれ、雑貨?」
僕が箱を手に取るのと、大助がため息をつくのとは、ほぼ同時だった。
そして、パッケージを見て、思わず赤面する。
「……やっぱり」
「え、大助、やっぱりって……これ、アレだよね」
手に取った箱には、男性器を模した機械が描かれていた。
――ひとりで、もしくはふたりで、エッチの時に使うやつ。
見たところ、大助のソレと遜色ないサイズ……って、何考えてるんだ。
というか、弟からこれを贈られて「やっぱり」って何?
大助を見ると、大助は困惑した表情で、口を開く。
「びっくりさせてごめん、少し前電話したときに……民人くんとのこと、普通にバレて」
「ええ」
どういう文脈だったかは知らないけれど、つまり、圭介くんは僕と大助の関係を悟ったということらしい。
「セックスの話になって……ごめん、圭介、そういうの好きだから」
大助的には、勝手に自分と僕の夜の話をしてしまって申し訳ないということだろうけど、圭介くんをごまかすのは一筋縄じゃいかなそうだし、もはや情事に茶々を入れられるのは(東さんのせいで)慣れっこだから良いとして。
「いいけど、それで、こういうオモチャが贈られることに?」
「そう」
「んん……?」
わかったけれど、根本的によくわからない。
けど、考えたところで、わかることもないかと、聞かなかったことにした。
「いいや、とにかくこれは……」
しまおう、と言おうとしたのに、大助は順調に開封を進めていた。
「……せっかくもらったし、使ってみる?」
「えっ……」
付属の電池を入れて、うごめくそれの動作確認まで始める。
モーター音が響き、それはゆっくりと動作を始めた。
その淫靡な動きに、思わず見入ってしまったけれど。
「民人くん、興味ない?」
挑発に似た誘いは、僕の好奇心を試すようだった。
「……一回だけなら、良いかな……」
大助、普通に欲しかったからもらったのでは、と頭を過ったけれど。
結論として、すごく良かったので、それからも時々お世話になっている。
火照った身体が、クーラーで冷やされる。
「……そういえば大助、午前中に圭介君が来たんだよ」
大助は驚いた表情で声を上げる。
「え? あいつ帰ってきてたの?」
「うん、先週から帰国してたんだって。……忙しかったみたいで、すぐ帰っちゃったんだけど。僕たちにお土産だけくれたよ」
「へえ、何だったの?」
「内緒だって。大助と2人で開けてって言われてた」
そう言った途端に、表情を暗くする。
「2人で……ちょっと嫌な予感するな」
「なんで?」
「……中身見てから話すわ」
「気になる……」
僕の声に、大助はんん、と考え込んで、大きく息を吐いた。
「そうだな……ちょっと持ってきて良い?」
「ええ……」
「リビングにおいてある? 今から開けよう」
「え、ちょっと、……あぁっ……」
大助は完全に勢いで離れようとしたけど、大助のが引き抜かれるその感覚が急に来て、身体の力が抜けてしまった。
「あっ、ごめん、……でも、どのみちゴム、新しいのに替えたくて」
「……いきなりはちょっと、ひどい……ちょっと大助、服は?」
そのまま何も纏わずリビングに向かう姿を、思わず制止する。
「え? すぐ戻るから」
そう言って、そのまま出て行ってしまった。
そのつかの間の時間に、大助が破り捨てたスキンの包装を見つめる。
大助は、また新しいのに替えると言った。
(……また、するんだ)
こうやって、時間の許す限り大助と乱れ会える時間が、こんなに幸せに感じるとは思わなかった。
こんな爛れた生活、普通は良くないと思うけれど。
でも、多分、大助が学生の間の特権だから、今のうちだけ享受していよう。
「おまたせ。見た目より結構重いな」
全裸でプレゼント箱を持った恋人の姿は、ちょっと愉快だった。
「大助、やっぱりなんか着てないとかっこ悪いよ」
「……また脱ぐの、面倒じゃん」
そう言って僕の鎖骨をなぞる。
「もう……先に開けようよ」
ベッドの中央に置かれたプレゼント箱を取り囲んで、開封する。
恋人の弟からもらったプレゼントを、裸で開封するこの状況……やっぱり服くらい着た方がいいのでは? と思い、大助の方を見る。
「民人くんの言いたいことはわかってる。……でも多分、これでいい」
僕が口を開く前に、大助は何かを決意した表情で言う。
そうして、包装紙を剥がし、箱を開けると、そこには外国語が書かれた小さな箱が2,3個入っていた。
「え? なんだろうこれ、雑貨?」
僕が箱を手に取るのと、大助がため息をつくのとは、ほぼ同時だった。
そして、パッケージを見て、思わず赤面する。
「……やっぱり」
「え、大助、やっぱりって……これ、アレだよね」
手に取った箱には、男性器を模した機械が描かれていた。
――ひとりで、もしくはふたりで、エッチの時に使うやつ。
見たところ、大助のソレと遜色ないサイズ……って、何考えてるんだ。
というか、弟からこれを贈られて「やっぱり」って何?
大助を見ると、大助は困惑した表情で、口を開く。
「びっくりさせてごめん、少し前電話したときに……民人くんとのこと、普通にバレて」
「ええ」
どういう文脈だったかは知らないけれど、つまり、圭介くんは僕と大助の関係を悟ったということらしい。
「セックスの話になって……ごめん、圭介、そういうの好きだから」
大助的には、勝手に自分と僕の夜の話をしてしまって申し訳ないということだろうけど、圭介くんをごまかすのは一筋縄じゃいかなそうだし、もはや情事に茶々を入れられるのは(東さんのせいで)慣れっこだから良いとして。
「いいけど、それで、こういうオモチャが贈られることに?」
「そう」
「んん……?」
わかったけれど、根本的によくわからない。
けど、考えたところで、わかることもないかと、聞かなかったことにした。
「いいや、とにかくこれは……」
しまおう、と言おうとしたのに、大助は順調に開封を進めていた。
「……せっかくもらったし、使ってみる?」
「えっ……」
付属の電池を入れて、うごめくそれの動作確認まで始める。
モーター音が響き、それはゆっくりと動作を始めた。
その淫靡な動きに、思わず見入ってしまったけれど。
「民人くん、興味ない?」
挑発に似た誘いは、僕の好奇心を試すようだった。
「……一回だけなら、良いかな……」
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