ふたつの嘘

noriko

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ひとりの時間

ひとりの時間 1

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日付が変わってどれだけか経った頃。
「だいすけ……、も、何時だと」
「ごめん、民人くん、もう一回だけ……」
今日は小出しにできない、の宣言通りに、今日の大助はいつにも増して僕を求める。
はじめのうちは僕もノリノリだったけど、大助に体力で勝てるわけもなく。
次第に大助のなすがままにされるしかなくなっていった。
「おまえ、それ何回目だよ……」
もう1回、あと1回、を何度も繰り返し、……いや、ほんとに何回目か思い出せない。
今までは冗談でなく、小出しにされていたのだと思い知る。
「本当にこれで、最後。ゴムなくなっちゃったから」
そう言って大助は、恨めしそうにスキンの空箱を投げ捨てる。
「ああ……」
どうやら本当に最後らしい。
その言葉を聞いてホッとする反面、物寂しさを感じてしまう。
身体は限界だけど、正直、まだ足りない。
もっと大助を味わいたい。
上にかぶさる大助の、程よく肉付きのよい身体を無意識になぞる。
「僕も、筋トレとかしようかな……」
「どうしたの、いきなり」
「朝までできる体力が……い、いや、何でもない」
頭が回らなくて、普段なら心に留めておくつもりの言葉を、なにも考えずに口にしてしまった。
途中で口を塞いだが、時既に遅し。
大助の顔がみるみる赤くなり、口が震えている。
「民人くん、そんなこと思ってくれてたの」
そう言われて、僕もはしたない欲望を垂れ流したことがだんだん恥ずかしくなってくる。
「い、今の忘れて」
「無理、一生忘れない。戻ったら絶対朝までエッチしようね」
「だから、体力が…‥」
「ちょっとずつ伸ばそう」
「そんなトレーニングいやだ……」
無茶苦茶な提案に抵抗しようとしても、大助からの口吻で止められてしまう。
僕を堪能するかのように、深く深く、何度も口づける。
「ん……ぁ……」
それは本当に、これから数日、会えないぶんを埋め合わせるようだった。
「からだ、つらいでしょ。うつ伏せして」
本当は、大助と抱き合ってするのが好きだけど。
名残惜し見つつも、たしかに身体がつらいので、うつ伏せになって大助の枕を抱きかかえる。
その枕ごと、大助が僕を抱きしめた。
楽にはなったが、前も後ろも大助がいるみたいで、かえって頭がおかしくなりそうだった。
「無理そうだったら言ってね」
「ううん……はやく、ちょうだい」
「民人くん、ほんと……」
先程から尻に当てつけられていたものが、僕のナカにめり込んでいく。
同時に、彼の右手が僕の熱を刺激する。
「あっ……大助、それ、ダメ……」
「だめ? 民人くんのここ、よさそうだよ」
「いい、けど……っ」
同時に与えられる快楽に、身を捩らすも、大助の身体で固定されていてそれも許されない。
そうこうしているうちに、僕のナカは大助のそれを、すっぽりと飲み込んだ。
「動くね」
右手の刺激に合わせて、ゆっくりと大助が腰を打ち付ける。
「アッ、ン……ふ……」
「ハァ……みんと、くん」
耳元で大助が、荒い呼吸まじりで僕を呼ぶ。
その声色があまりに官能的で、全身を愛撫されたような感覚に陥る。
「んっ……はぁ、アっ……んあっ……」
五感を大助に支配されて、ただただ布団に顔を押し付けて、だらしなくあえぐしかできない。
大助を少しでも感じたくて、後孔に力を入れる。
「っ、みんとくん、キツ、……」
大助も快感にうめき、腰を打ち付けるスピードが早くなる。
大助のそれが、僕のナカの弱いところにゴリゴリと擦れて、快感で余計に大助を締めつける。
もう訳が分からないくらい乱れ合う。
「あっ、あ、あっ……だい、すけぇ……」
「みんと、くん、きもちい?」
「あ、ん、……はあ……きもち……あっ」
「俺も、……はあ、うっ」
僕の弱いところを、その絶対的な質量が突き上げる。
「ぁ……そこ、すきっ……んッ…」
頭がもう頭がまわらない。
絶頂が近い。
それを悟った大助が、僕のものの先端を、優しくなで回す。
先走りで濡れたそこに与えられた刺激で、快感は何倍にも膨れ上がる。
「アァっ! あ、はぁ、アっ……」
ひくついた穴が、彼を強くしめつける。
「……ッ、みんと、くん、ヤバ……アっ」
「ハ…ぁ、それ以上、も、ぁ、ア、……ああっ……」
「いいよ……イって」
俺だけに、その声を聞かせて。
耳元で囁かれれば、その振動すら快感になる。
彼は腰の動きを速め、僕をよりいっそう突き上げる。
「あ、や、も……大助、ぇ、も、イく……!」
彼に刺激され、もう薄くなった精を吐き出す。
絶頂に伴い、締まった穴は彼を絶頂に追い込む。
「みんとく、ん、ああ……」
「あ、やっ、はぁ……アッ……」
絶頂の後でさえ続く快感。
「みんと、くん、……おれも、……っ!」
ひくつく僕の後孔に、大助は喘ぎながら、一番奥にうちつけ、そして、爆ぜた。
大助は、なだれるように僕に覆いかぶさる。
被膜越しに感じる彼の存在は、しばらく引き抜かれないまま余韻に浸る。
ただ、深夜の静まり返った薄暗い部屋に、二人の呼吸が響く。
ぴったりと重なる汗ばんだ身体を全身で感じ、得も言われぬ多幸感を覚える。
ずっとこのままでいたい。
そう思わせるような、静かな時間がしばし流れる。
「はあ……ああ、民人くん、すき」
「ん……だいすけぇ……」
耳元で愛を囁かれ、もう限界のはずの身体が、またうずいてしまう。
「……そんな声で、呼ばないでよ」
大助も同じだったようで、名残惜しそうに、僕の中から大助が離れていく。
そして、僕の隣に寝転がり、僕の髪を優しく撫でる。
大助に向き合うと、物寂しそうな目をした大助が僕をみつめていた。
その表情を見て、思わず僕も寂しさを溢してしまった。
「数日会えないくらい、大げさだと思ってたけど」
同じ気持ちだ、とばかりに、大助が寂しそうに微笑む。
「毎日、電話するから」
実際、僕も大助と顔を合わせない事自体が久しぶりなのに。
数日、大助に触れられないなんて。
お互いを確認するように抱き合って、そのままどちらからとなく眠りに落ちた。

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