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ふたりの約束
ふたりの約束 3
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19時。
帰りのエレベータに乗ったら、思わずため息が漏れた。
2時間、なんとかなったとはいえ、すごく疲れた。
心臓がバクバク言っているし、手にほんのり汗を感じる。
「学校の先生はこれを毎日、大人数相手に何時間もやるんだ……大変だあ」
杏奈ちゃんには、学校の先生よりわかりやすいって言ってもらえたけど、先生、すごいです。
大助は普段、この曜日は20時に帰ってくるので、夕飯の準備を進めなきゃ。
そう思いながらエレベーターを降りると、ちょうど僕たちの部屋の前に、大助が佇んでいた。
「あれ、大助早いね」
声をかけると、大助はにこやかに返事をくれる。
「ああ、民人くんお疲れ様。今日は俺もやるよ」
「いいのに」
どうやら朝と同じく、僕を気遣って早く帰ってきてくれたようだ。
「気にしないでよ、俺も民人君と一緒にいたいだけだから」
玄関で靴を抜いている間に、後ろからそんなことを言われる。
大助はなんの気無しに放った言葉だろうけど、ちょうど僕の耳元で言われる形になって、顔に熱が集まる。
「へっ……またそういうこと言う」
「なんだよ民人くん、顔真っ赤。俺まで恥ずかしくなるじゃん」
「ちょっとは恥ずかしがれよ、そんな直球でさあ」
そんなわけで、分担して作った夕飯を、今日の話で盛り上がりながら平らげた。
その後は、ソファでぐったり。
「疲れた……」
お疲れ様、と大助はダイニングで紅茶を飲みながら、僕を見て笑う。
「あ、そうだ。民人くんちょっとまってて」
「え?」
大助は、急に何かを思い出した様子で、リビングをあとにする。
程なくして戻ってきたときには、小さな紙袋を手にしていた。
「プレゼント。俺もバイトして買ってみた」
「ええ!?」
渡された紙袋に、思わず居直る。
「開けてみて」
紙袋から、ジュエリーブランドと見受けられるが、まさか。
「……そのまさかだ」
中に入っていたのは、指輪と、チェーン。
「2つ理由があってね、1つ目は、俺はずっと民人くんのそばにいるから。2つ目は、これから民人くんは色んな所に行くけれど、民人くんには俺という恋人がいるから、みんなに知ってほしくて。自分でも重いと思うけど……よかったら受け取って欲しい」
「つまりは、お守りで、魔除け?」
「虫除けかな」
その言葉に、彼の独占欲の強さを再認識させられる。
笑顔でサラリととんでもないことを言う。
「僕に寄ってくる物好き、大助くらいだと思うけど……」
「あのおまわりさんみたいに、いるでしょ」
「東さんはただの……まあいいや。1つ目の理由だけでも、もらっておくね」
なんて言ってみたけれど、本当はものすごく嬉しい。
衝動で思わず、大助の肩を引き寄せる。
「民人くん、ちょっと……」
自分から大助に、キス、してしまうくらいに。
「ありがとう」
「……すげえご褒美」
大助は赤面して、頭を掻く。
「そんなに?」
「だって、民人くんからなんて、そんなに……」
なにかものすごく大事なものでも扱うかのように、自らの口を手で覆う。
「そりゃ、僕だってそういう時くらいあるよ」
「民人くん、好き」
腰をかがめて、僕の首に手を回す。
頬に大助の短い髪があたってこそばゆい。
ソファに倒れ込んでみると、そのまま大助が覆いかぶさるように崩れ込んでくる。
大助は僕に体重をかけないように支えているみたいだけれど、少しの重みが、どうしようもなく愛おしい。
彼の唇が、何度も僕のそれをついばむ。
「大助、今日だから言うけど……昨日の夜、ちょっと寂しかった」
「……それ、誘ってる? いいの? 疲れてるでしょ」
「そうだけど……それより、大助が良ければ……ん……」
続きの言葉は、彼に塞がれる。
静まり返った部屋に、時折響くリップノイズは耳を支配する。
口吻は次第に深くなっていき、大助の舌が僕の歯列をなぞる。
僕も負けじと彼の舌に吸い付く。
「はぁ……ア、……ン……」
苦しい、でも、もっと。
互いを貪るように絡み合ったあと、糸を引いて名残惜しそうに離れていく。
大助の赤い瞳が、僕をまっすぐに見つめる。
「そんな事言われて、断れるわけ、ないでしょ」
息も絶え絶えに言い放つ彼は、シャツのボタンを一つはずしてから、僕の腰に手を回す。
そのままゆっくりと背中を伝いあげ、僕の服はかんたんに捲くりあげられる。
外気にさらされた突起は、2日ぶりの刺激を期待してすでに固くなっているのを感じる。
それに大助の視線が注がれているのを感じて、思わず体を丸める。
「な、なんだよ」
「俺が民人くんの身体、そんなにしたと思ったら、嬉しくて」
「喜ぶなよ……」
「ごめん。でも、ほんとに、民人くんが俺のこと求めてくれるの、嬉しい」
だから、全部見せて。
そう言われたら、観念するしかない。
僕は身体の前で交差した手をほどき、胴を優しく撫でるその手を受け入れる。
「……はぁ……っ」
尖ったそこを手がかすめるたび、吐息が漏れる。
じれったい快感を逃すために開いた口を待ちわびたように、彼の唇が逃げ場を奪う。
「んっ……ぁ……アァ……」
口の中と身体をなぶり回されて、何も考えられない。
でも、どこまでも満たされていく。
帰りのエレベータに乗ったら、思わずため息が漏れた。
2時間、なんとかなったとはいえ、すごく疲れた。
心臓がバクバク言っているし、手にほんのり汗を感じる。
「学校の先生はこれを毎日、大人数相手に何時間もやるんだ……大変だあ」
杏奈ちゃんには、学校の先生よりわかりやすいって言ってもらえたけど、先生、すごいです。
大助は普段、この曜日は20時に帰ってくるので、夕飯の準備を進めなきゃ。
そう思いながらエレベーターを降りると、ちょうど僕たちの部屋の前に、大助が佇んでいた。
「あれ、大助早いね」
声をかけると、大助はにこやかに返事をくれる。
「ああ、民人くんお疲れ様。今日は俺もやるよ」
「いいのに」
どうやら朝と同じく、僕を気遣って早く帰ってきてくれたようだ。
「気にしないでよ、俺も民人君と一緒にいたいだけだから」
玄関で靴を抜いている間に、後ろからそんなことを言われる。
大助はなんの気無しに放った言葉だろうけど、ちょうど僕の耳元で言われる形になって、顔に熱が集まる。
「へっ……またそういうこと言う」
「なんだよ民人くん、顔真っ赤。俺まで恥ずかしくなるじゃん」
「ちょっとは恥ずかしがれよ、そんな直球でさあ」
そんなわけで、分担して作った夕飯を、今日の話で盛り上がりながら平らげた。
その後は、ソファでぐったり。
「疲れた……」
お疲れ様、と大助はダイニングで紅茶を飲みながら、僕を見て笑う。
「あ、そうだ。民人くんちょっとまってて」
「え?」
大助は、急に何かを思い出した様子で、リビングをあとにする。
程なくして戻ってきたときには、小さな紙袋を手にしていた。
「プレゼント。俺もバイトして買ってみた」
「ええ!?」
渡された紙袋に、思わず居直る。
「開けてみて」
紙袋から、ジュエリーブランドと見受けられるが、まさか。
「……そのまさかだ」
中に入っていたのは、指輪と、チェーン。
「2つ理由があってね、1つ目は、俺はずっと民人くんのそばにいるから。2つ目は、これから民人くんは色んな所に行くけれど、民人くんには俺という恋人がいるから、みんなに知ってほしくて。自分でも重いと思うけど……よかったら受け取って欲しい」
「つまりは、お守りで、魔除け?」
「虫除けかな」
その言葉に、彼の独占欲の強さを再認識させられる。
笑顔でサラリととんでもないことを言う。
「僕に寄ってくる物好き、大助くらいだと思うけど……」
「あのおまわりさんみたいに、いるでしょ」
「東さんはただの……まあいいや。1つ目の理由だけでも、もらっておくね」
なんて言ってみたけれど、本当はものすごく嬉しい。
衝動で思わず、大助の肩を引き寄せる。
「民人くん、ちょっと……」
自分から大助に、キス、してしまうくらいに。
「ありがとう」
「……すげえご褒美」
大助は赤面して、頭を掻く。
「そんなに?」
「だって、民人くんからなんて、そんなに……」
なにかものすごく大事なものでも扱うかのように、自らの口を手で覆う。
「そりゃ、僕だってそういう時くらいあるよ」
「民人くん、好き」
腰をかがめて、僕の首に手を回す。
頬に大助の短い髪があたってこそばゆい。
ソファに倒れ込んでみると、そのまま大助が覆いかぶさるように崩れ込んでくる。
大助は僕に体重をかけないように支えているみたいだけれど、少しの重みが、どうしようもなく愛おしい。
彼の唇が、何度も僕のそれをついばむ。
「大助、今日だから言うけど……昨日の夜、ちょっと寂しかった」
「……それ、誘ってる? いいの? 疲れてるでしょ」
「そうだけど……それより、大助が良ければ……ん……」
続きの言葉は、彼に塞がれる。
静まり返った部屋に、時折響くリップノイズは耳を支配する。
口吻は次第に深くなっていき、大助の舌が僕の歯列をなぞる。
僕も負けじと彼の舌に吸い付く。
「はぁ……ア、……ン……」
苦しい、でも、もっと。
互いを貪るように絡み合ったあと、糸を引いて名残惜しそうに離れていく。
大助の赤い瞳が、僕をまっすぐに見つめる。
「そんな事言われて、断れるわけ、ないでしょ」
息も絶え絶えに言い放つ彼は、シャツのボタンを一つはずしてから、僕の腰に手を回す。
そのままゆっくりと背中を伝いあげ、僕の服はかんたんに捲くりあげられる。
外気にさらされた突起は、2日ぶりの刺激を期待してすでに固くなっているのを感じる。
それに大助の視線が注がれているのを感じて、思わず体を丸める。
「な、なんだよ」
「俺が民人くんの身体、そんなにしたと思ったら、嬉しくて」
「喜ぶなよ……」
「ごめん。でも、ほんとに、民人くんが俺のこと求めてくれるの、嬉しい」
だから、全部見せて。
そう言われたら、観念するしかない。
僕は身体の前で交差した手をほどき、胴を優しく撫でるその手を受け入れる。
「……はぁ……っ」
尖ったそこを手がかすめるたび、吐息が漏れる。
じれったい快感を逃すために開いた口を待ちわびたように、彼の唇が逃げ場を奪う。
「んっ……ぁ……アァ……」
口の中と身体をなぶり回されて、何も考えられない。
でも、どこまでも満たされていく。
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