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オーブル領

指名手配

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「若者は打ち解けるのがはやくていいのう」

オーブルは昨日とうって変わって、和やかな食卓の雰囲気に満足そうな顔をしている。

「今日一日この砦を回ってみて、皆さんは信頼できる方だと思いました。昨日の無礼をお許しいただけますか」

シズナはオーブルに深々と頭を下げる。

「シズナ、そんなことしなくて良いですって」

そんなシズナに、ミズキが頭を上げるように言う。

「おっさんここはいいとこだな。鍛冶屋のじじいはいい仕事するし、エルフの姐さんは色々とヤバかった」

「ライズ喋りすぎだろ」

ホムラがライズの口を慌てて塞ぐ。

「何が楽しかったのか、姉さん達に詳しく話しなさいよ」

シズナとミズキが2人仲良く、弟たちに向かって言う。

「ロイも来たらよかったのに」

「私は少しやる事があったので」

レムはロイの用事が気になったが、追求することはやめた。

「こんなに賑やかな食卓は、いつ以来だろうな。ついでに、俺からも1つ話しておこうかの。お主ら指名手配されておるぞ」

オーブルの言葉に皆の動きが止まった。

「オーブル伯、今なんと仰いましたか?」

「聞こえんかったか?指名手配されておるぞ」

オーブルはテーブルの上に1枚の紙を置いた。

「今はまだ名前だけだがの、これが送られてきたわ」

そこにはシズナ、ライズ、ベンダー、エスナの名前が記されていた。

「思ったより早かったわね」

シズナは最初こそ取り乱していたが、冷静に羊皮紙を見ている。

「レムとロイの名前はないんだな」

「さすがに元王女を指名手配はしなかったようね。だけど、私たちと一緒にいるのは見透かされているわ」

レムを探さなくても、指名手配した者を見つければ自ずと確保できると思っているのだろうとシズナは言う。

「直にこの地にも、王国から派遣された者が来るかもしれんな」

オーブル伯が真剣な面もちで言う。

「その時だけ上手く誤魔化せば大丈夫だろ。なあ?」

ホムラは軽く言う。

「そんな簡単にいくかしら。住人のみんなにも顔見せしちゃったし」

ミズキは慎重に答える。

「私たちは、オーブル伯の指示に従います」

レムの言葉にみな静かに頷いた。

「ならばこの砦から出ていってもらおうか」

「おっさん。正気かよ!一度受け入れたのに追い出すのか」

「早まるなホムラ。一度西の森に行ってもらうだけだ」

「西の森か。何か考えがあるんだよな」

「ああ、少し予定が早まったがな」

ホムラはオーブルの意味深な言葉に思い当たる事があるのか静かになる。

「私たちは何をすれば」

「とりあえず魔女に会ってもらえるか」
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