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処刑執行
処刑当日13
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「セバス隊長、この霧は何が起きたのでしょうか」
「この国の神様が護ってくれておるのかの」
セバスとベンダーは霧と建物の陰に身を潜めながら進んでいる。
『カラッ』
微かな物音に反応した2人は身を潜め、途中で手にした武器を構える。
「おじいさま!」
2人の目の前に、シズナとライズが現れた。
これまでの戦闘でボロボロになっている2人の姿を眼にしたセバスひ目頭を押さえる。
「お前たち、何をしておるんじゃよ。わしに構うなと言ったではないか」
「助けに来たのに文句言うなよな」
「そうです。そこは感謝の言葉が先ではないですか」
「2人とも迷惑をかけてすまなかった」
シズナとライズは笑顔でお互いに顔を見合わせた。
「私からも礼を言うよ」
「ベンダーさんは、私たち以外にもお礼を言わないとですよ」
「まさか、あいつらか!」
ベンダーの脳裏には、ダイラン、ノエル、そしてリクセンの顔が思い浮かんでいた。
「あいつらかは知らねえけど、魔法使いの力は借りたぜ」
「いつか、ノエルさんに会えたら感謝の言葉を伝えてあげてください」
「ああ、ありがとう。そして、【いつか】と言うことはこの国から逃げる算段でいいのかな」
「ええ、この霧に乗じて逃げ切ります。」
シズナは皆を先導し着実に戦力下から遠ざかっていく。しかし、それと同時に霧も少しずつ晴れてきているため、時間との勝負になってきていた。
投獄から拷問、火炙りと受けているセバスとベンダーの体力がかなり消耗しているためペースが上がらない。
『キィン』
シズナが飛んできた矢に反応し、ギリギリのところで防いだ。
「どこに行くのですか」
まだ霧はかかっていたが、4人を狙う者の姿が確認できた。矢の先にはおそらくレグロスである1人の姿が確認できた。
「1人だけならやっちまおう」
「ばか、1人とは限らないでしょ」
シズナはそう言いつつ、それほどの人数はいないと考えていた。
セバスとベンダーも同じ考えのようだ。
戦力が十分なら弓で攻撃などせず、乱戦にするはず。弓の攻撃によって、何人いるか分からなくさせる狙いだったのだろう。
とはいえ、手を出してきたからには渡り合える戦力はあるに違いない。
戦ううちに援軍が来るかもしれない。このまま逃げるにしても、攻撃を受けながら逃げ切ることは難しい。
シズナはどうするべきか判断に悩んでいた。
「お前たちは先に行け。わしが足止めをする」
「反対です!ここでおじいさまが残るのでしたら、私たちは何のために!」
いつも冷静なシスナが感情的にセバスに反抗した。
「皆で残って全滅するくらいなら、今この場でワシは死ぬよ」
「でも!」
「ワシの強さは知っておるじゃろ」
セバスはシズナの頭を撫でる。
「いや、ここはセバス元隊長も逃げてください。私がやります」
「ベンダーはこの先で2人の盾になってくれ。文官のレグロスはわしに譲ってくれぬか」
「おじいさま、この場所に馬が止めてあります」
シズナは落ち着きを取り戻すと、メモに地図を走りがき渡した。
シズナ、ベンダーとその場所から去っていく。
「じじい死ぬなよ」
ライズもそう言い残すとその場所から立ち去った。
「お前たちが逃げ切るまでは死なんよ」
セバスは武器を構え、レグロスに向かっていった。
「この国の神様が護ってくれておるのかの」
セバスとベンダーは霧と建物の陰に身を潜めながら進んでいる。
『カラッ』
微かな物音に反応した2人は身を潜め、途中で手にした武器を構える。
「おじいさま!」
2人の目の前に、シズナとライズが現れた。
これまでの戦闘でボロボロになっている2人の姿を眼にしたセバスひ目頭を押さえる。
「お前たち、何をしておるんじゃよ。わしに構うなと言ったではないか」
「助けに来たのに文句言うなよな」
「そうです。そこは感謝の言葉が先ではないですか」
「2人とも迷惑をかけてすまなかった」
シズナとライズは笑顔でお互いに顔を見合わせた。
「私からも礼を言うよ」
「ベンダーさんは、私たち以外にもお礼を言わないとですよ」
「まさか、あいつらか!」
ベンダーの脳裏には、ダイラン、ノエル、そしてリクセンの顔が思い浮かんでいた。
「あいつらかは知らねえけど、魔法使いの力は借りたぜ」
「いつか、ノエルさんに会えたら感謝の言葉を伝えてあげてください」
「ああ、ありがとう。そして、【いつか】と言うことはこの国から逃げる算段でいいのかな」
「ええ、この霧に乗じて逃げ切ります。」
シズナは皆を先導し着実に戦力下から遠ざかっていく。しかし、それと同時に霧も少しずつ晴れてきているため、時間との勝負になってきていた。
投獄から拷問、火炙りと受けているセバスとベンダーの体力がかなり消耗しているためペースが上がらない。
『キィン』
シズナが飛んできた矢に反応し、ギリギリのところで防いだ。
「どこに行くのですか」
まだ霧はかかっていたが、4人を狙う者の姿が確認できた。矢の先にはおそらくレグロスである1人の姿が確認できた。
「1人だけならやっちまおう」
「ばか、1人とは限らないでしょ」
シズナはそう言いつつ、それほどの人数はいないと考えていた。
セバスとベンダーも同じ考えのようだ。
戦力が十分なら弓で攻撃などせず、乱戦にするはず。弓の攻撃によって、何人いるか分からなくさせる狙いだったのだろう。
とはいえ、手を出してきたからには渡り合える戦力はあるに違いない。
戦ううちに援軍が来るかもしれない。このまま逃げるにしても、攻撃を受けながら逃げ切ることは難しい。
シズナはどうするべきか判断に悩んでいた。
「お前たちは先に行け。わしが足止めをする」
「反対です!ここでおじいさまが残るのでしたら、私たちは何のために!」
いつも冷静なシスナが感情的にセバスに反抗した。
「皆で残って全滅するくらいなら、今この場でワシは死ぬよ」
「でも!」
「ワシの強さは知っておるじゃろ」
セバスはシズナの頭を撫でる。
「いや、ここはセバス元隊長も逃げてください。私がやります」
「ベンダーはこの先で2人の盾になってくれ。文官のレグロスはわしに譲ってくれぬか」
「おじいさま、この場所に馬が止めてあります」
シズナは落ち着きを取り戻すと、メモに地図を走りがき渡した。
シズナ、ベンダーとその場所から去っていく。
「じじい死ぬなよ」
ライズもそう言い残すとその場所から立ち去った。
「お前たちが逃げ切るまでは死なんよ」
セバスは武器を構え、レグロスに向かっていった。
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