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処刑執行
処刑当日⑨
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『上手くいったわね』
マルクスの拘束から抜け出したレムは、辺りを見渡し、手のひらを握りしめ自分の感覚を取り戻している。
「まさか、君がシープなのか」
マルクスは、目の前に立つレムの雰囲気が変わったことに警戒しつつ、脳裏によぎった言葉を発した。
『そうよ』
「ずっと会いたかったんだ!姿を現したということは、俺のものになってくれるのかい!」
マルクスは、眠りについていないはずのレムが、シープの力を使ったことなど気にしていないようで、冷静さをかきどこか興奮気味だ。
『残念だけど、貴方みたいな変態に力を貸すつもりなんてないわよ。それに、悪い子は寝る時間よ』
シープは指で輪っかを作るとそこに息を吹き込んだ。
すると白い雲のようにフカフカした物体が辺り一面に広がっていく。
シープは白い物体を指先で操作すると、それがマルクスの顔から足の先までを覆っていく
「ゔうぉ」
声にならないうめきをあげのたうち回っていたマルクスだったが、しばらくすると床に倒れ微動だしなくなった。
『さて、時間がないわね』
今度は、窓の前に立つと、両手を合わせ指先をつけたまま手のひらを離し、先ほどよりも大きな空間を作った。
そして同じように白い物体を作り出した。今度は霧状になると殺伐としている処刑広場が濃い霧に包まれていった。
レムの身体を借りているシープだが、拘束されていた時よりも疲労が増したようで息が明らかに上がっていた。
『後は、この子を安全なところへ避難させないといけないわね。』
なんとか身体を動かして扉へと近づこうとするが、意識が途切れそうにフラフラとしていた。
「レム様ここにいますか!」
マルクスの部下に拘束されていたであろう、新しい傷が増え苦しそうな顔をしているが、ロイがレムを助けるためにやってきた。
シープはロイを見るやいなやその場に倒れそうになった。
「レム様!」
ロイは一瞬で距離を詰め寄ると、包み込むようにして倒れるレムを受け止める。
『ロイー!怖かったよ。助けに来てくれてありがとうー』
シープから、先ほどまでの威厳のある雰囲気がなく、甘えるようにしてロイに抱きついた。
ロイは突然抱きついてきたレムに驚き硬直し、目を丸くする。
『いま傷を癒してあげるね』
シープはロイに口づけをしようと顔を近づける。
「誰だお前。偽物か」
我に帰ったロイは、顔は紛れもなくレムだが、雰囲気と姿がまるで違うことに気づくと、シープの額に手を当てて抑える。
そして、腰の短刀を手に取るとシープの喉元に向けた。
『あー待ちなさいって。外は本物だから。つまんないの。流石に気づかれるわね。ある程度の傷は治しといてあげるからレムのこと任せたわよ』
マルクスの拘束から抜け出したレムは、辺りを見渡し、手のひらを握りしめ自分の感覚を取り戻している。
「まさか、君がシープなのか」
マルクスは、目の前に立つレムの雰囲気が変わったことに警戒しつつ、脳裏によぎった言葉を発した。
『そうよ』
「ずっと会いたかったんだ!姿を現したということは、俺のものになってくれるのかい!」
マルクスは、眠りについていないはずのレムが、シープの力を使ったことなど気にしていないようで、冷静さをかきどこか興奮気味だ。
『残念だけど、貴方みたいな変態に力を貸すつもりなんてないわよ。それに、悪い子は寝る時間よ』
シープは指で輪っかを作るとそこに息を吹き込んだ。
すると白い雲のようにフカフカした物体が辺り一面に広がっていく。
シープは白い物体を指先で操作すると、それがマルクスの顔から足の先までを覆っていく
「ゔうぉ」
声にならないうめきをあげのたうち回っていたマルクスだったが、しばらくすると床に倒れ微動だしなくなった。
『さて、時間がないわね』
今度は、窓の前に立つと、両手を合わせ指先をつけたまま手のひらを離し、先ほどよりも大きな空間を作った。
そして同じように白い物体を作り出した。今度は霧状になると殺伐としている処刑広場が濃い霧に包まれていった。
レムの身体を借りているシープだが、拘束されていた時よりも疲労が増したようで息が明らかに上がっていた。
『後は、この子を安全なところへ避難させないといけないわね。』
なんとか身体を動かして扉へと近づこうとするが、意識が途切れそうにフラフラとしていた。
「レム様ここにいますか!」
マルクスの部下に拘束されていたであろう、新しい傷が増え苦しそうな顔をしているが、ロイがレムを助けるためにやってきた。
シープはロイを見るやいなやその場に倒れそうになった。
「レム様!」
ロイは一瞬で距離を詰め寄ると、包み込むようにして倒れるレムを受け止める。
『ロイー!怖かったよ。助けに来てくれてありがとうー』
シープから、先ほどまでの威厳のある雰囲気がなく、甘えるようにしてロイに抱きついた。
ロイは突然抱きついてきたレムに驚き硬直し、目を丸くする。
『いま傷を癒してあげるね』
シープはロイに口づけをしようと顔を近づける。
「誰だお前。偽物か」
我に帰ったロイは、顔は紛れもなくレムだが、雰囲気と姿がまるで違うことに気づくと、シープの額に手を当てて抑える。
そして、腰の短刀を手に取るとシープの喉元に向けた。
『あー待ちなさいって。外は本物だから。つまんないの。流石に気づかれるわね。ある程度の傷は治しといてあげるからレムのこと任せたわよ』
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