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処刑執行

処刑当日④

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「じじい・・・」

処刑場の広場の外れに息を潜めるシズナとライズが、磔にされているセバスを唇を噛み締め声を殺しながら見ている。

「シズナ、もういくぞ!」

「まだダメよ。待って」

今にも飛び出したい気持ちは痛いほどわかるが、シズナはライズのことを止める。

『コツン、コツン』

「ぐずぐずしてたから見つかっちまったじゃねえか!」

ライズは背後から聞こえた足音に反応しウィザードガンを構える。

「ライズ、それ下ろしていいわよ。彼女を待っていたのだから」

シズナに言われたライズは、理解はできていなかったがシズナを信用し銃を下げた。

「さすがは魔法部隊の部隊長様だ。身体も軽いし、魔力量も跳ね上がったぜ」

国に使える立場のノエルが、反旗を翻すべく準備をしているライズに魔法をかけている。

「あなたの潜在能力の一部を強制解放したわけだから時間制限もあるし、反動が辛いわよ」

「サクッと終わらせるから大丈夫だろ。それに後のことなんか気にしても意味ないしな」

「あと、補助程度だけどステルスもかけておくわね。探知されるリスクも減らせるはずよ」

ステルスをかけられたライズはどこか存在が薄くなったように見られる。

「力を貸していただいて感謝します」

シズナの言葉にノエルは申し訳なさそうな表情を浮かべていた。

「いえ。この程度のことしかできずごめんなさい。私には貴方達のように国を敵にまわす程の覚悟はできませんでした」

「俺達と違って国に仕えてるんだからしょうがねえよ。下手したらあんたの部下達にまで被害が及ぶかもしれないだろ。自分の感情で動いていい立場じゃねえもんな」

「ライズの言う通りです。でも、任せてとは言いませんよ。私たちはおじいさまを助けるために動きます。なので、ベンダーさんの救出がうまく行かなくても恨まないでくださいね」

シズナはあくまでもセバスの救出が目的で、ついでにベンダーも助けるだけだとノエルに伝える。

「もちろん分かっています」

ノエルは国が間違っていることを理解しつつも、巨大な敵に立ち向かえない自分に対して、気を遣ってくれる自分よりも年下の2人に対して恥ずかしい気持ちでいた。

「死なないでくださいね」

ノエルは最後に一言いうとその場から立ち去った。

「そろそろ行こっか」

ノエルが立ち去り時間を数分空けたところでシズナが言う。

「あぁ、そうだな」

ライズは戦闘準備を整えタイミングをずっと持っていた。

「生きて帰るわよ」

「当たり前だろ」

2人はお互いの武器を手に取り、『カン』と軽く合わせるとその場からバラバラに離れた。
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