眠り姫な私は王女の地位を剥奪されました。実は眠りながらこの国を護っていたのですけれどね

処刑執行

奪還作戦

「本当に危険だと判断したときは、強引にでもこの件から手を引かせますので」

シズナ達と合流するために、別れる前に聞いていた場所に向かいながら、ロイはレムに念を押すように言う。

「ねえ、結局その喋り方に戻るの？」

レムは昔のように砕けた物言いの方がロイらしいのにと、今の固い話し方をやめて欲しいと言ったがロイは聞き入れなかった。

「何のことでしょう？」

ロイはさっきの発言は無かった事にしたい様子だ。
レムは昔を思い出したせいか、ロイとの距離感がぐっと近くなりどこか楽しそうだった。

【キィン】

「きゃあ」

「物騒なお出迎えですね」

ロイは突然飛んできた銃弾に剣を抜き弾いた。

「誰かと思えばお前かよ」

銃弾が飛んできた先にはライズの姿があった。

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「レム！目が覚めたのね！心配してたのよ」

ライズに案内された建物の中に入ると、レムに気がついたシズナが駆け寄り抱きしめた。

「シズナさん、苦しいです」

レムは苦しそうにしながらも嬉しそうな顔をしていた。
シズナはごめんねと言いながらレムから離れると、2人に座るようにと促した。

「それで、どうしてここにきたの？元気になったから、顔を見せに来てくれたのかしら？」

シズナは2人に飲み物を出すと、自分も椅子に座り問いかける。

「セバスを助けるために力になりたくて」

レムはシズナの問いに答える

シズナはレムの答えに頭に手を当て深く息を吐くと、ロイの方を見た。

ロイはシズナに対して何も言わずに目をつぶり首をゆっくりと振った。

「レムの助けはいらないから帰りなさい。元気になったのが分かって良かったわ」

シズナが突き放すように冷たい口調でレムに言う。

「帰りません。このまま2人を見殺しになんてできません」

「おいおい、王女様はこの俺が死ぬとか思ってるのかよ」

柱にもたれかかりながら話を聞いていたライズが口を挟む。

「ライズは黙ってて」

シズナにそう言われ、ライズは何か反論しようとしたがシズナの雰囲気に何も言わなかった。

「そんな危ないと思ってて、あなたが何をしに来たの？」

「だってセバスがこんな事になってるのは私のせいだから」

レムは、セバスが容疑をかけられていると思っていたようだった。

お父様やお兄様達に意地悪をしようと、変な意地を張らないで最初からシープの力を使っておけばよかった。

そうすればそもそもこんな事は起きていなかったはずだと思いながらレムは涙を浮かべた。

「それは違うぞ。じじいが捕まったのは俺が強すぎたからだ」

レムは責任を感じさせないためにライズがそう言ってくれているのだと思った。

「ライズが言うと嘘みたいだけど、たぶんそう言う事なのよ。この街に騎士団は派遣されてないのに魔物の被害が少なかったでしょ？それがメンツを傷つけたのか何か理由が欲しかったんでしょうね。あいつらもライズくらいに馬鹿みたいって話なのよ」

「だったら説明すれば」

「だから俺たちの力を見せつけて、じじいの疑いを晴らすんだ。騎士団や執務隊に対して圧倒的な力でねじ伏せていけば俺たちがいたから被害が少なかったって認めさせれるだろ」

セバスをむりやり助け出した所でお尋ね者になるだけ。それなら疑われた原因に対して無実であると証明すれば良い。
つまり、魔物達を退ける力があるということを証明する。
処刑の場で暴れた事への罪は問われるだろうがその程度だったら問題はない。

「ざっとこんなところね。だから、私たちは別に決死の覚悟で挑むわけじゃないし、死ぬつもりなんてないわよ」

シズナから説明された作戦はこんな感じだった。

「レムの部屋を用意してあげるからもう寝なさい」

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【ギィィ】

夜も深くなってき頃、レムは静かに建物から外に出る。

「どこに行くつもりですか」

「やっぱりいるんだね」

外で待っていたロイに驚く事なくレムは言った。

「2人の作戦に納得したのでは？」

「してないよ。2人は死ぬ覚悟してたもん。だからそうなる前に止めてみせる」