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魔物の襲来

襲来⑤

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「何も連絡来ねえな」

「班長のやつ、また飲んだくれてんだろ」

「そもそも、情報が来てないのかもな」

東の門を護る門番達は、緊急事態を告げる鐘を聞きはしたが、それ以降の連絡は特にない状態だった。

この場所が他国から攻められにくい立地ということと、居住区の身分が低いことから緊急時だろうが後回しにされるのはよくあること。
むしろ、連絡が早いほど、国として危機に瀕していると思うくらいだった。

「特に気にするほどのことじゃないんだろ。それよりもここに住む馬鹿どもがこの機に何かしないか警戒する方が重要か」

緊急事態で騎士団が対応する間に、火事場泥棒を働く輩や、騎士団への日頃のお返しと暴れる者が少しばかり出てくるのだ。

ー助けてくれ

「何か聞こえなかったか?」

門番達は微かに聞こえた声のような音に、周りを確認する。

「助けてくれーー」

今度は門の外からはっきりと聞こえた。

「あそこだ」

門番はこっちに向かって走ってくる男を確認した。

「あの野郎、ゴブリンなんかに追いかけられて逃げてるのかよ」

門番達は、自信家でむかつく男がゴブリンから必死に逃げている姿を見て馬鹿にしたように笑う。

「助けてやるか?」

「もう少し見てようぜ」

ゴブリンに追いかけられる姿をもう少し見て楽しんでから助けてやるかと門番達は思った。

「助けてくれーー」

ゴブリンなら、かすり傷程度ですむだろうと聞こえないフリをする。

門番達は男の必死な形相をひと通り笑い終えると、門を開け助けに行く事にした。

『ギィー』

門を開いた途端、ゴブリンはスピードを上げる。逃げる男を捕まえると、首元へかぶりついた。

目の前で血飛沫をあげ、ゴブリンに襲われる男に門番達は驚愕した。

「すぐに門を閉める準備して」

「とりあえず、おれらにまっかせなさい」

シズナは男に背後からしがみ付くゴブリンの眉間をレイピアで正確に貫く。

シズナの攻撃にゴブリンは力が抜けたように男からその場に崩れ落ちる。シズナは瀕死の男を連れその場から後退すると、ライズがゴブリンに向かって火の玉を放ちとどめを刺した。

「ゴブリンを見たら数倍はいると思えとは言うけどさ」

ライズは草陰に隠れている数十体のゴブリンを見ながら言った。

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