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魔物の襲来

依頼の報告

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「遅れてすまない」

仕事が立て込み、約束の時間から少し遅れ、ベンダーが応接室にやってきた。

応接室にはすでにダイラン、リクセン、ノエルの姿があった。

「待ちくたびれたわ」

ダイランが少し苛立ったようにタバコをふかしながら返事を返す。

目の前には何本もの吸殻が溜まっていた。

それほど遅れたつもりはなかったが、吸い殻の量からダイランが予想以上に苛立っているのを感じ、ベンダーが申し訳なさそうに席に着く。

「別に時間に遅れたから怒ってる訳じゃないと思いますよ」

ベンダーの様子にリクセンが気を使ったようだ。

「あなたはもう少し信頼できる人だと思ってました」

ノエルはベンダーの方には目を向けず、冷たく言い放つ。

「俺からしたら楽できてよかったと思うんすけどね」

リクセンのみ2人と温度差がある。

「えっと、何かあったのか」

ダイランとノエルがなぜ苛立ちを見せるのか見当がつかずベンダーが3人に尋ねた。

「あの依頼はなんなんだ!強いゴブリンどころか魔物の1匹もいなかったぞ」

ダイランがテーブルを『ドン』と叩きつけながらベンダーに言う。

「あなたの依頼のために任務を部下に任せて来たというのに、無駄でしたわ」

ノエルはどこか拗ねている様子が見える。

「2人ともベンダーさんからの依頼で気合入ってたんすよ。そこを、ダイランの旦那は力の振るう相手がなく肩透かしにあい、ノエルさんはゴブリン相手に警戒していた自分が馬鹿みたいに思えてしまったって感じっすかね」

「リクセンは怒ってないのか?」

「おれは、楽な任務で報酬貰えてラッキーって感じなので」

実力はあるのに、どこかやる気のないリクセンに対して思うところはあったが、今だけはそんな奴で助かったとベンダーは心の中で思った。

「しかし、ゴブリンがいなかったとは本当か」

2人の怒りの原因である報告内容を確認する。

「ええ。私の魔法でも探索してみましたけど、ゴブリン以外の反応すらありませんでしたわ」

「そうか。すまなかったな部隊長達にこんな依頼出してしまって」

ベンダーが3人に対して、無駄な時間をかけさせたことを詫びる。

「まあ大丈夫っすよ。2人とも怒ってますけど、ベンダーさんから直に依頼が来て嬉しそうにしてたんで」

リクセンは2人の顔をみながら、ニヤリと笑みを浮かべた。

その表情に2人の怒りの矛先が、リクセンに向かったような気がした。
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