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眠り姫の追放

王族籍の剥奪

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「失礼いたします」

支度を整えたレムは王の間にやってきた。

そこには父でありこの国の王であるアルゴル、長兄ベルモントをはじめ、兄弟が集まっていた。

「ようやく起きたようだな、レムよ」

アルゴルが静かに話しはじめた。

「お父様!申し訳ございません!このような大切な日に」

レムはそう言うと、深々と頭を下げた。

「大切な日だと分かっているのに、何故眠りから覚めないんだ!」

レムの姿に四男のヒューゲルが怒った口調で問いただした。

「ヒューゲルお兄様、それは・・・」

「レム、また夢の話をするのかい?」  

レムの言葉を遮るように三男のマルクスが、冷たく冷静な言葉を発した。

「レム姉さま」

レムの弟でレムに懐いていた、五男のリグルはずっと俯いていた。

「レムよ。身体が弱いこともあってお主のその自堕落さには目を瞑ってきたが、此度の件は看過できぬ。その行いは王族の権威を著しく低下させるのだぞ」

今日のセレモニーに出ないことが、どれほど重大な出来事であるかはレムも承知していた。

この国の民に王族として認められることを自ら拒んだ事に等しい。

「確かに、私は眠りから目が覚めぬことは往々にしてございます。しかし、今回はいつもの理由ではございません。それなのに3日間も目が覚めぬなどおかしいです!」

「おまえがおかしいのはいつものことだろう!こんな時ばかりおかしいなどと通じるか!」

ヒューゲルは怒り心頭と様子だ。

「でも今回ばかりは本当なのです。睡眠薬でも盛られたとしか思えません!」

「何を抜け抜けと」

マルクスはレムの話など一切信じてない様子だ。

「そんな…」

この場の誰1人として自分の味方はいないと感じたレムはその場にひざまづいた。

「皆さま!あまりにも酷いではありませぬか」

そんなレムの肩をベルモントの妻であるミリシアが抱き支えた。

「ミリシア義姉様」

「確かに、レムさんは王族としては間違いを犯したかもしれません。ですが、王族の前に私達の家族ではないですか!」

ミリシアはそう言うとレムに抱きつき、優しく包み込んだ。

(ふふ、眠り姫にも睡眠薬は効くのですね)

ミリシアはレムの耳元で小さく囁いた。

『ドン』

レムは反射的にミリシアのことを突き飛ばした。
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