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眠り姫の追放

眠り姫

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「おまえは王族に相応しくない!今日限りで追放する!」

「お父様!何故ですの!」

「分かり切ってるだろ!おまえがいつも寝ているからだ!」

「お兄様!それは!」

「もういい!今すぐ出て行け!王族の権威を傷つけるな!」

ーーーまって、私の話を聞いてください

「ようやくお目覚めか、レム」

レムは目を覚ますと、ソファーに腰掛ける長兄ベルモンドの姿があった。

ベルモント=グロリア

この国、グロリアの王位継承権1位の王子にあたる。

今のは夢だったのかとレムは安堵した。

夢など見るのが久しぶりで、レムにとっては現実に起きている事だと思い込んでしまいそうだった。

「ベルモント兄様、おはようございます」

レムは王位継承はほぼないに等しい末妹であり、王族唯一の王女であった。

「おまえには、王族としての品位はないのか!」

王族としての教育は一通り受けており、見た目の清廉さなどは流石王女というものであったが、レムには唯一の欠点があった。

「眠り姫などと揶揄されていては、王家の恥だぞ!」

レムはある時を境に眠りからなかなか目覚めなくなってしまったのだ。

1日の大半を寝て過ごすわけではなく、いく日も目覚めぬこともあれば、普通に目覚めることもある。

奇病や呪いにでもあったのかも、ベルモント達は心配をしていたのだが、専門家に調べさせても原因が分からなかった。

最終的には本人が王族という立場に甘え、自堕落な人間であると皆の認識が変わってしまっていた。

数年間、公の場に出てこないレムのことを、国民達は眠り姫と噂していたのだ。

「ベルモント兄様、それには訳があると何度も言っております」

レムが深い眠りにつく事には理由があるらしく、何度も国王や兄弟達に訴えていた。

「また、夢の話か。いい加減に聞き飽きたよ。それよりも今日はおまえの16の誕生日だったな」

ベルモントの言葉に、3日間も眠りについていたことを知った。

そして、その事実にレムは血の気がひいていくのが分かった。

「・・・お兄様、その、今は何時なのでしょうか」

部屋の明かりがついており、外が暗くなっている事に気がついたレムはベルモントに問いかける。

「もう3時間も経てば、誕生日は終わってしまうだろうな」

「そんな、」

王家にとって16を迎えるということは、正式にこの国の王族として国民に認められる大切な日だ。

レムもこの国の王女として国民に正式なお目通しをする予定であった。

「セレモニーはどうなりましたか!」

「そんなもの、中止に決まっているだろ」

当然、盛大なセレモニーを予定していたのだが眠りから目覚めないレムをどうすることもできず、中止となってしまっていた。

「父上から話があるそうだ。支度をしたらすぐに来るように」

そう言うとベルモントはレムの部屋を立ち去った。
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