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何でも屋

調査開始

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「進展なしか」

ビビアンから渡されたメモの人物に話を聞きに行ったが、全員がビビアンの店で誰かに盗まれたはずだとしか言わなかった。

そのうえ、お酒が入っているせいなのか誰かと一緒にいた記憶があるが思い出せないと言った状態だ。

「うーん。どうしよっか」

朱里が顎に手を当て首を傾げる。

助手の立場を手に入れた朱里だが、どこで手に入れてきたのか、茶色い格子柄のアニメの世界から出てきたかのような、いかにも探偵という服装で決めている。

その隣でいつものごとく真っ黒なパーカーを羽織っている空は、探偵と犯人みたいだなと思った。

「うーくん。そんなに見られると恥ずかしいよ」

空に見られていることに気がついた朱里は顔を赤らめて照れながら言った。

「かわいい?」という問いかけに空は「探偵みたいだね」と返事を返す。

「一回帰ろっか」

これ以上、何も情報を得ることができないなと2人は1度ビビアンの店に帰ることにした。

『カランカラン』

「まだ、準備中よー」

店内からビビアンではない声が聞こえてきた。

「2人でデートしてたの?」

まだ開店前だというのにすでに何杯か飲んでいる時雨の姿があった。

「え、違うけど」

空は時雨の問いかけに特に何も考えず返事をした。
その隣で朱里は少し悲しそうな表情を浮かべる。

「ビビアンは?」

「なんか買い物があるらしくて出てったわよ」

時雨は店主がいない店で自分で勝手に飲んでいたらしい。

「時雨ちゃん、こんな時間から何してるの?」

朱里は時雨の隣に座る。

「美人大学生はね、飲まないとやってられないのよ!ほら、空ものみな!」

空は久しぶりにめんどくさい時雨になってるなと思いながら、席に座る。

「時雨ちゃんめんどくさいよ」

朱里が時雨に向かって言う。

「めんどくさいのは大学の奴らよ!」

時雨はそう言うと2人に口をこぼし始めた。

以前付き纏われていた小金を追い払った事で、有象無象の他の学生が言い寄ってくる事が増えたらしい。

今までは小金に目をつけられることを恐れ、隠れていた男たちが動き出したのだろう。

さらに言い寄る男が増えると、その男に好意を寄せる女たちからの恨みを買う機会も増えていく。

結果、以前よりも大学での振る舞いが面倒になったと言うわけだ。

「いっそのこと、女王蜂様がみんな刺しちゃおうかしら。ねえ、空この前の薬試してみない?」

時雨は小金に使おうと開発していた、興味がなくなる薬を取り出す。

「だめー」

朱里は時雨の手から慌てて薬を奪いとった。
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