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東野宮紫苑
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「これは?」
巌流は紫苑の目の前に木彫りの仏の像を複数並べた。
「お主は霊力、霊感はあれど自分の力として使えてるわけではあるまい」
「確かに俺は呪符を介して使ってますけど。でも霊感に使い方ってあるんですか?」
「ならば、この像はどう見える」
紫苑は巌流に言われ、木彫りの像をひとつひとつゆっくりと見ていく。
「特に変わったところは無いですね。ただの像です」
「本当にそうか?実はこの中のひとつは儂が引き取った九十九神なんじゃよ」
「この中に九十九神が?別にどれも普通に見えますけど」
巌流の言葉を聞きもう一度よく見てみるが別段変わったところは無い。
「それは、九十九神がこの像の中に隠れておるからだな」
「九十九神が隠れているですか?」
「簡単に言うとかくれんぼしているということか。お主は隠れていないものは見えるが、隠れているものは見えないということになる」
いまいちピンときてなかった紫苑であったが、この巌流の説明で納得した。
「つまり隠れているのを炙り出せるようになる必要があると」
「そう言うことじゃ。よく見ておれ」
巌流はそう言うと木彫りの像をひとつ手に取る。
紫苑は巌流の手に霊気が集まっていくのを感じた。
「カァァッ」
巌流の掛け声とともに仏像に霊気が吸い込まれる。すると仏像の周りに霊気のオーラが現れた。
「なんか、薄くぼんやりとしたものが見えます」
「それがこの像に隠れていた九十九神の御魂じゃ」
そう言うと像をテーブルの上に置いた。
『カタカタ』
テーブルに置かれた像が小刻みに揺れる
「この九十九神は生まれたてで少し動くくらいしかしないがの、年月が経てば経つほどその力は増していくんじゃ。儂らはそれを見極め力が強大になりすぎる前に管理してやらないとダメなんじゃよ」
「現れたものが見えるだけでは、九十九神の管理はできないって事ですか」
「そう言うことじゃ。先ずは自分の体に纏う霊力を使って隠れている九十九神の核となる御魂を表面化させる力を身につける必要がある」
「なるほど」
「とりあえずやってみるがよい」
巌流はそう言うと新たに木彫りの像を紫苑の前に並べた。
「儂は用があるから部屋に戻るが、できたらよんどくれ」
「分かりました」
紫苑はとりあえず並べられた像を順番に眺めてみる。
もちろん紫苑にはどれが九十九神が眠るのか皆目見当も付かない。
「とりあえず、触ってみるか」
紫苑はとりあえず像を手に取り触ってみる。集中して触ってみても何も感じない。
これは違うのではと戻し、次の像を手に取る。
無反応な像に首をかしげると次の像へと手を伸ばす。
「何も起きない」
ひととおり手を伸ばしてみたが、何も感じなかった。巌流のように自分の掌から霊力を感じることもできない。
そもそもイメージもわかないかった
自分の霊力自体、無意識に纏っているため意識的に集めることすらできない。
「どうしたらいいんだ。そもそも全部ハズレとかないよな」
紫苑は初期段階で既に超えられない壁を感じ、正解がないのではと疑うようにすらなってしまっていた。
「そんなに仏像並べて何してるの?」
巌流は紫苑の目の前に木彫りの仏の像を複数並べた。
「お主は霊力、霊感はあれど自分の力として使えてるわけではあるまい」
「確かに俺は呪符を介して使ってますけど。でも霊感に使い方ってあるんですか?」
「ならば、この像はどう見える」
紫苑は巌流に言われ、木彫りの像をひとつひとつゆっくりと見ていく。
「特に変わったところは無いですね。ただの像です」
「本当にそうか?実はこの中のひとつは儂が引き取った九十九神なんじゃよ」
「この中に九十九神が?別にどれも普通に見えますけど」
巌流の言葉を聞きもう一度よく見てみるが別段変わったところは無い。
「それは、九十九神がこの像の中に隠れておるからだな」
「九十九神が隠れているですか?」
「簡単に言うとかくれんぼしているということか。お主は隠れていないものは見えるが、隠れているものは見えないということになる」
いまいちピンときてなかった紫苑であったが、この巌流の説明で納得した。
「つまり隠れているのを炙り出せるようになる必要があると」
「そう言うことじゃ。よく見ておれ」
巌流はそう言うと木彫りの像をひとつ手に取る。
紫苑は巌流の手に霊気が集まっていくのを感じた。
「カァァッ」
巌流の掛け声とともに仏像に霊気が吸い込まれる。すると仏像の周りに霊気のオーラが現れた。
「なんか、薄くぼんやりとしたものが見えます」
「それがこの像に隠れていた九十九神の御魂じゃ」
そう言うと像をテーブルの上に置いた。
『カタカタ』
テーブルに置かれた像が小刻みに揺れる
「この九十九神は生まれたてで少し動くくらいしかしないがの、年月が経てば経つほどその力は増していくんじゃ。儂らはそれを見極め力が強大になりすぎる前に管理してやらないとダメなんじゃよ」
「現れたものが見えるだけでは、九十九神の管理はできないって事ですか」
「そう言うことじゃ。先ずは自分の体に纏う霊力を使って隠れている九十九神の核となる御魂を表面化させる力を身につける必要がある」
「なるほど」
「とりあえずやってみるがよい」
巌流はそう言うと新たに木彫りの像を紫苑の前に並べた。
「儂は用があるから部屋に戻るが、できたらよんどくれ」
「分かりました」
紫苑はとりあえず並べられた像を順番に眺めてみる。
もちろん紫苑にはどれが九十九神が眠るのか皆目見当も付かない。
「とりあえず、触ってみるか」
紫苑はとりあえず像を手に取り触ってみる。集中して触ってみても何も感じない。
これは違うのではと戻し、次の像を手に取る。
無反応な像に首をかしげると次の像へと手を伸ばす。
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そもそもイメージもわかないかった
自分の霊力自体、無意識に纏っているため意識的に集めることすらできない。
「どうしたらいいんだ。そもそも全部ハズレとかないよな」
紫苑は初期段階で既に超えられない壁を感じ、正解がないのではと疑うようにすらなってしまっていた。
「そんなに仏像並べて何してるの?」
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