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123生徒と先生が運命の番だった話
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高校の入学式の日、運命の番と出会った。
「あ……先生」
「君は……っ!」
お互いに気づいても、どうにもできなかった。
生徒と先生だ、関係を進めようがない。
それでも気になって、遠くから目で追っていた。
生徒と目があうたびに、どうしても惹かれる自分を自覚するが、これは叶えられない運命だ。
気持ちに蓋をして、教師然とした態度を崩さずに過ごした。
発情期は辛くてたまらなかったが、一人で悶えながら家に閉じこもってやり過ごす。
そして三年の時が過ぎ去り、卒業式の日も何事もなく過ぎ去った。
(終わった……さよなら、俺の初恋)
生徒をフェロモンで誘惑しないよう、徹底的に避けまくった甲斐があって、彼は無事に卒業を迎えられた。
サッカー部で活躍し、友達とふざけあう彼の姿に、眩しさと憧憬を抱いていた。
けれどもう、そんな彼の姿を目にすることもないのだろう。
四月になり、また新しい子ども達を迎える準備のため出勤した日の帰りに、通学路で呼び止められた。
「オメガさん」
「え、君は」
髪を染めて大人っぽくなった元生徒は、自分のことを「先生」ではなく名前で呼んだ。
花束を抱えた彼は、先生の前で跪く。
「貴方にずっと恋焦がれていました。どうか僕とつきあってくれませんか」
「え、は、でも……」
「歳の差がどうとか、僕のことを知らないとか、そんな言い訳はやめてくださいね? 先生だって僕に惹かれているはずだ。ねえ、そうでしょう?」
立ち上がった彼は、立ちすくんだまま動けない先生をそっと抱きしめた。
「ああ、この匂いだ……甘い匂いを感じて振り向くと、いつだって貴方が僕を見つめていた」
「なっ」
バレていたのかと真っ赤になる。
「あんな熱い視線を向けておいて、いまさら僕のことが好きじゃないなんて酷い言い訳はしないでください」
「……っ!」
何も反論できないまま、震える手で彼の背を抱くと、嬉しくてたまらないというように笑われる。
「おつきあいしましょう。いいですよね?」
「……はい」
かわいいと笑われても、往来でキスをされてもろくに抵抗できないくらい、彼の熱量で頭が沸騰していた。
そんな二人を桜吹雪が、人々の視線から覆い隠してくれた。
「あ……先生」
「君は……っ!」
お互いに気づいても、どうにもできなかった。
生徒と先生だ、関係を進めようがない。
それでも気になって、遠くから目で追っていた。
生徒と目があうたびに、どうしても惹かれる自分を自覚するが、これは叶えられない運命だ。
気持ちに蓋をして、教師然とした態度を崩さずに過ごした。
発情期は辛くてたまらなかったが、一人で悶えながら家に閉じこもってやり過ごす。
そして三年の時が過ぎ去り、卒業式の日も何事もなく過ぎ去った。
(終わった……さよなら、俺の初恋)
生徒をフェロモンで誘惑しないよう、徹底的に避けまくった甲斐があって、彼は無事に卒業を迎えられた。
サッカー部で活躍し、友達とふざけあう彼の姿に、眩しさと憧憬を抱いていた。
けれどもう、そんな彼の姿を目にすることもないのだろう。
四月になり、また新しい子ども達を迎える準備のため出勤した日の帰りに、通学路で呼び止められた。
「オメガさん」
「え、君は」
髪を染めて大人っぽくなった元生徒は、自分のことを「先生」ではなく名前で呼んだ。
花束を抱えた彼は、先生の前で跪く。
「貴方にずっと恋焦がれていました。どうか僕とつきあってくれませんか」
「え、は、でも……」
「歳の差がどうとか、僕のことを知らないとか、そんな言い訳はやめてくださいね? 先生だって僕に惹かれているはずだ。ねえ、そうでしょう?」
立ち上がった彼は、立ちすくんだまま動けない先生をそっと抱きしめた。
「ああ、この匂いだ……甘い匂いを感じて振り向くと、いつだって貴方が僕を見つめていた」
「なっ」
バレていたのかと真っ赤になる。
「あんな熱い視線を向けておいて、いまさら僕のことが好きじゃないなんて酷い言い訳はしないでください」
「……っ!」
何も反論できないまま、震える手で彼の背を抱くと、嬉しくてたまらないというように笑われる。
「おつきあいしましょう。いいですよね?」
「……はい」
かわいいと笑われても、往来でキスをされてもろくに抵抗できないくらい、彼の熱量で頭が沸騰していた。
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