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98.天使くんを守りたい
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天使が空から落ちてきた。
「ごめんっ! まさか人がいたなんて」
ドロップキックされた形になり、目を回しながら彼に手を伸ばす。
「天使だ……」
「は?」
後から気づいたけれど、頭を打った衝撃で天使の輪が見えるようになったらしい。
天使くんの頭上には、輝く金色の輪っかが浮かんでいた。
学校の屋上に続く階段で、天使くんと出会った平凡くんは、お詫びにとサンドイッチをおごってもらったことがきっかけで彼と仲良くなる。
「何度も言うけど、俺は普通の人間だからね? 屋上の上から飛んだ時に幻覚でも見えたんじゃない?」
「う、うん……」
普通の人間と言い張る彼の頭上には、今も天使の輪っかが燦然と光り輝いている。
けれどこれは他の人には見えないようだ。
きらきらしてて綺麗だから、目の保養ってことでいいかと流していた。
そんな中、町で見かけたおじさんにも輪っかがついていて。
二人目がいたって見ていたら、その人は目の前で車にひかれて死んでしまった。
「えっ」
もうビックリして家に逃げ帰った。
もしかして天使の輪っかは死の宣告みたいなものじゃないかと気づく。
「……守らないと」
天使くんは超常現象的な話を信じない人だ、だからこそのんびりくんが守ってあげないと、うっかり死んでしまうかもしれない。
授業時間が終わる度に様子を見にいき、夜はお泊まり会だと行って強引に押しかけた。
「ははっ、なんだよお前、そんなに俺のこと好きか」
のんびりくんはハッとした。
そうか、恋人になれば彼の一番側にいられるのか。
だったら好きということにしようと頷いた。
「……うん。恋人にならない?」
「いいよ」
嬉しそうに笑った天使くんはすごく綺麗で、ドキッとした。
輪っかの色が少し薄くなった気がした。
天使くんははにかみながら手を握ってきたり、二人きりになるとキスしてきたりと、情熱的だ。
その度に騙している気がして罪悪感が募った。
クラスメイトからつきあってるのか聞かれて、気が引けながらも肯定する。
「そっかあ、残念。俺アイツのこと好きだったのにな」
申し訳なさがMAXに達して、気がつくと否定していた。
「ああ、実はつきあってるフリをしてるだけで、目的は別にあって」
カラン、とバケツが転がる音がした。
青ざめた天使くんが、勢いよく廊下を駆けていった。
「待って!」
走る彼の輪っかは常にないほど輝いていて、焦って追いかけるけれどなかなか追いつけない。
「危ない!」
階段から足を踏み出しそうになったところを、なんとかキャッチした。
「……っとけよ」
「なに?」
「俺のことなんてどうでもいいんだろ!? ほっとけよ!」
「ほっとけない! だって君のことが」
好きだからとは言えなかった。迷った挙句、小さく口にする。
「……気になるんだ」
天使くんは泣きそうな顔で、ドンドンと拳を胸に打ちつけてくる。
「お前なんて、お前なんて……好きにならなきゃよかった」
天使くんの輪っかはまだ光っていて、どうしようもなく心が引き絞られる気がした。
胸の中に抱き締める。この気持ちが恋なのかわからない、けれど。
彼の温かな体温が、染み渡るほど心地よくて、切なくて。
絶対に手を離したくないと、そう思ったんだ。
「ごめんっ! まさか人がいたなんて」
ドロップキックされた形になり、目を回しながら彼に手を伸ばす。
「天使だ……」
「は?」
後から気づいたけれど、頭を打った衝撃で天使の輪が見えるようになったらしい。
天使くんの頭上には、輝く金色の輪っかが浮かんでいた。
学校の屋上に続く階段で、天使くんと出会った平凡くんは、お詫びにとサンドイッチをおごってもらったことがきっかけで彼と仲良くなる。
「何度も言うけど、俺は普通の人間だからね? 屋上の上から飛んだ時に幻覚でも見えたんじゃない?」
「う、うん……」
普通の人間と言い張る彼の頭上には、今も天使の輪っかが燦然と光り輝いている。
けれどこれは他の人には見えないようだ。
きらきらしてて綺麗だから、目の保養ってことでいいかと流していた。
そんな中、町で見かけたおじさんにも輪っかがついていて。
二人目がいたって見ていたら、その人は目の前で車にひかれて死んでしまった。
「えっ」
もうビックリして家に逃げ帰った。
もしかして天使の輪っかは死の宣告みたいなものじゃないかと気づく。
「……守らないと」
天使くんは超常現象的な話を信じない人だ、だからこそのんびりくんが守ってあげないと、うっかり死んでしまうかもしれない。
授業時間が終わる度に様子を見にいき、夜はお泊まり会だと行って強引に押しかけた。
「ははっ、なんだよお前、そんなに俺のこと好きか」
のんびりくんはハッとした。
そうか、恋人になれば彼の一番側にいられるのか。
だったら好きということにしようと頷いた。
「……うん。恋人にならない?」
「いいよ」
嬉しそうに笑った天使くんはすごく綺麗で、ドキッとした。
輪っかの色が少し薄くなった気がした。
天使くんははにかみながら手を握ってきたり、二人きりになるとキスしてきたりと、情熱的だ。
その度に騙している気がして罪悪感が募った。
クラスメイトからつきあってるのか聞かれて、気が引けながらも肯定する。
「そっかあ、残念。俺アイツのこと好きだったのにな」
申し訳なさがMAXに達して、気がつくと否定していた。
「ああ、実はつきあってるフリをしてるだけで、目的は別にあって」
カラン、とバケツが転がる音がした。
青ざめた天使くんが、勢いよく廊下を駆けていった。
「待って!」
走る彼の輪っかは常にないほど輝いていて、焦って追いかけるけれどなかなか追いつけない。
「危ない!」
階段から足を踏み出しそうになったところを、なんとかキャッチした。
「……っとけよ」
「なに?」
「俺のことなんてどうでもいいんだろ!? ほっとけよ!」
「ほっとけない! だって君のことが」
好きだからとは言えなかった。迷った挙句、小さく口にする。
「……気になるんだ」
天使くんは泣きそうな顔で、ドンドンと拳を胸に打ちつけてくる。
「お前なんて、お前なんて……好きにならなきゃよかった」
天使くんの輪っかはまだ光っていて、どうしようもなく心が引き絞られる気がした。
胸の中に抱き締める。この気持ちが恋なのかわからない、けれど。
彼の温かな体温が、染み渡るほど心地よくて、切なくて。
絶対に手を離したくないと、そう思ったんだ。
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