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91.嫌いな先輩が指導者になった、最悪だ。
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嫌いな先輩が指導者になった、最悪だ。
「君、この企画はないんじゃない? 真面目に考えてる?」
もともと気があわない先輩だったけど、指導者になってからは全てにおいてダメ出しされている。
「すみません、もう一度考え直します」
「うん。どうやら先方の意向を勘違いしているようだから、この後時間をとって教えるよ」
言っていることは正しいように思う、けれどどうしても受け入れられないことがある。
「だからさ、今晩一緒に飯行かない?」
「お断りします」
仕事以外の時間で関わるなんて冗談じゃない。
荷物をまとめはじめると、熱っぽいため息をつかれた。
「はあ……後輩と仲良くなりたいだけなのになあ」
「ご冗談を。失礼します」
どうせ酒を言い訳にして、からかって遊んだり延々と説教したりするのだろう。
絶対に行くものかと肩を怒らせて退社した。
デスクに一人残された先輩は、がっくりと肩を落とす。
「あーあ、なーんで俺ってばあんなに嫌われてんのかなー? めちゃくちゃ丁寧に指導してんのに。一足飛びに恋人になりたいまでは高望みしないから、せめて飯くらい一緒にいけるようになりたい」
そんな風に、断固として会社関係の飲み会を断っていた後輩だが、専務を接待しなきゃだから今日だけは出ろと上から命令されて、渋々参加する日がやってきた。
もう先輩は張り切って後輩に絡み、酒を勧め、自身も酔っ払ってしまう。
もうやだこの人と思いながらも、酒に強い後輩は全く酔うことがない。帰りはへべれけに酔った先輩の面倒を任された。
「最悪だ……」
「なんれら~? 俺は最高の気分だよー!」
肩を貸すとガバッと抱きつかれて、酒臭くて顔をしかめる。
「くっさ。離れてください」
「ひでぇなあ、本当に……俺はこんなにもお前が好きなのにぃ」
「えっ? そうなんですか」
「うん。めちゃくちゃ好き。めちゃくちゃにされたいくらい好きー」
とろりと熱を孕んだ瞳に見つめられる。
「家、寄ってく?」
「……! お断りします」
「ちぇー」
冷静に返しながらも、今まで仲良くしたいと言われていたのは本気だったのかと思う。
かかる吐息や、触れ合ったところから伝わる体温を意識してしまう。
恋愛対象として見てみると、先輩は十分すぎるほどに魅力的だと気づいたらもう、ダメだった。
「……っ、もう、帰りますから。ほら、ちゃんと歩いて」
「やだ、くっつきたい」
「貴方って人は……!」
もつれあいながらも、なんとか先輩を家に送り届け、理性を総動員して帰ってきた。
「はあ……どんな顔をして会えばいいんだ」
一方、昨日後輩に絡みまくって告白までしたことを、すっきりと目覚めた先輩も鮮明に覚えていた。
「ヤバい、いったいどんな顔で会えばいい」
同じ悩みを抱える二人が、会社で再会して顔面を噴火させるまで、あと一時間。
「君、この企画はないんじゃない? 真面目に考えてる?」
もともと気があわない先輩だったけど、指導者になってからは全てにおいてダメ出しされている。
「すみません、もう一度考え直します」
「うん。どうやら先方の意向を勘違いしているようだから、この後時間をとって教えるよ」
言っていることは正しいように思う、けれどどうしても受け入れられないことがある。
「だからさ、今晩一緒に飯行かない?」
「お断りします」
仕事以外の時間で関わるなんて冗談じゃない。
荷物をまとめはじめると、熱っぽいため息をつかれた。
「はあ……後輩と仲良くなりたいだけなのになあ」
「ご冗談を。失礼します」
どうせ酒を言い訳にして、からかって遊んだり延々と説教したりするのだろう。
絶対に行くものかと肩を怒らせて退社した。
デスクに一人残された先輩は、がっくりと肩を落とす。
「あーあ、なーんで俺ってばあんなに嫌われてんのかなー? めちゃくちゃ丁寧に指導してんのに。一足飛びに恋人になりたいまでは高望みしないから、せめて飯くらい一緒にいけるようになりたい」
そんな風に、断固として会社関係の飲み会を断っていた後輩だが、専務を接待しなきゃだから今日だけは出ろと上から命令されて、渋々参加する日がやってきた。
もう先輩は張り切って後輩に絡み、酒を勧め、自身も酔っ払ってしまう。
もうやだこの人と思いながらも、酒に強い後輩は全く酔うことがない。帰りはへべれけに酔った先輩の面倒を任された。
「最悪だ……」
「なんれら~? 俺は最高の気分だよー!」
肩を貸すとガバッと抱きつかれて、酒臭くて顔をしかめる。
「くっさ。離れてください」
「ひでぇなあ、本当に……俺はこんなにもお前が好きなのにぃ」
「えっ? そうなんですか」
「うん。めちゃくちゃ好き。めちゃくちゃにされたいくらい好きー」
とろりと熱を孕んだ瞳に見つめられる。
「家、寄ってく?」
「……! お断りします」
「ちぇー」
冷静に返しながらも、今まで仲良くしたいと言われていたのは本気だったのかと思う。
かかる吐息や、触れ合ったところから伝わる体温を意識してしまう。
恋愛対象として見てみると、先輩は十分すぎるほどに魅力的だと気づいたらもう、ダメだった。
「……っ、もう、帰りますから。ほら、ちゃんと歩いて」
「やだ、くっつきたい」
「貴方って人は……!」
もつれあいながらも、なんとか先輩を家に送り届け、理性を総動員して帰ってきた。
「はあ……どんな顔をして会えばいいんだ」
一方、昨日後輩に絡みまくって告白までしたことを、すっきりと目覚めた先輩も鮮明に覚えていた。
「ヤバい、いったいどんな顔で会えばいい」
同じ悩みを抱える二人が、会社で再会して顔面を噴火させるまで、あと一時間。
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