ツイノベ倉庫〜1000文字程度の短編集

兎騎かなで

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81.性嗜好がネコなアルファの話

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ガタイのいいアルファの性嗜好はネコ役だ。

思春期からずっと悩んできたが、ついに覚悟を決めた。

今年こそ相手を見つけて抱いてもらうんだ!

しかし問題があり、ネコ志望くんは背が高く肩幅も広く筋肉質で、オメガや女子にばかりモテる。

同じアルファにはやっかみの視線を向けられるくらいだ。

出会いの場に出かけてもタチ役だと誤解される。

いっそ顔や身体が見えない方が抱いてもらえるだろうと、なりふり構わず特殊性癖のバイトに応募した。

壁の穴に尻を落ち着けてドキドキしながら待っていると、客がやってきた。

小尻ばかり選ばれて切なくなる中、ついにアルファの番がきた。

慣らされて入ってきたその質量に恐れおののく。

(大きくないか!? うっ、初めてなのに……!)

しかし身体も大きいので、なんとか受け入れられてたくさん乱された。

一方客の方もアルファで、彼は大きすぎて相手がいないことで悩んでいた。

体格がよさそうなのにつっこんでみたら、これがなんとも素晴らしい。

(誰だっ、この孔の持ち主は!)

あまりにも気に入りすぎて何度も中に放ち、終いには個人情報まで聞き出そうと店員に詰め寄ったが、もちろん拒否される。

(ああ、とてもよかったな……あの身体の主が知りたい)

お互いにそう思っていた二人は、そうとは知らず近所のカフェで相席になる。

客アルファはネコ志望くんのガタイのよさをみて声をかけた。

「いい体してますね、何かスポーツをされていたんですか?」
「学生時代はバスケをしてました」
「そうなんですか? 実は私もそうでして」

話が弾んだ二人は、今度バスケに行きましょうと連絡先を交換した。

表では健全にバスケを楽しみ、バイトでは彼との触れ合いを愉しむ日々が続く。

あれから色んな棒と触れ合ったけれど、やはり最初に出会ったあの人が一番素敵だ。

会ってみたいな、でも幻滅されるかなと夢想していると、バスケの場でよく尻に視線を感じるようになる。

「どうかしました?」
「ああ、いや。やはり似ているな……じゃなくて、汚れがついているよ」
「んっ」

軽くはたかれて、変な声が出てしまう。

「この、声は……」
「んひゃ!?」

尻を揉まれてジタバタするが、離してもらえない。

「この弾力、ハリ、形……間違いない、君が理想の人だったのか!」
「へ?」
「よければこの後ホテルに行かないか。君を抱きたい」

そんなこと言われたのは生まれて初めてと、きゅんきゅんときめいてしまったネコ志望くんは、ほいほい客アルファについていく。

汁まみれになるまで仲良くした結果、お互いに理想の人に間違いないと確信を得る。

「君とつきあいたい! いいだろうか」
「も、もちろんです! よろしくお願いします」

ネコ志望くんはバイトを辞めて、客アルファの恋人になった。

趣味も身体の相性も抜群にあい、体力が有り余っている二人は、夜にとどまらず朝になるまでたくさん仲良くしている。

お互い肌艶が良くなり、満ち足りた生活をしているそうだ。
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