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69.婚約者がいるのに運命の番と出会ってしまった
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気弱なΩくんには婚約者がいた。
相手のαはおっとりしていてΩくんと趣味もあう。
大学卒業と共に結婚する予定を楽しみにしていた。
しかし卒業前に海外旅行に出かけた先で、運命の番と出会ってしまう。
彼は金髪碧眼の外国人で、言葉も通じない。
なのに強烈に惹かれあい、情熱的に口説かれて一夜を共にしてしまった。
悪い夢だったことにして、連絡先も明かさずに帰国した。
今まで通りαの側に控えていようかと思ったけれど、会うたびに罪悪感が胸を塞ぐ。
元気のないΩをαはマリッジブルーかな、なんてからかう。
今更結婚をやめようだなんて言えない、もう式まで十日もない。
けれど過ちを犯してしまったことを言わないまま結婚だなんて、不誠実すぎる。
結局Ωはαに、運命の番と会って一夜を共にしたと告白した。
彼は驚いたようだけれど、いつもの笑みでおっとりと笑う。
「そうなんだ。ふうん。でも別にいいよ、それでも君はここに戻ってきてくれたんだもの。二度と彼に会わないって約束してくれるよね?」
Ωは何度も頷いた。
「それに僕は君が誰を好きでいようと構わないんだ、義理さえ果たしてくれれば。帰ってきてくれてよかったよ、家族みんなが喜ぶね」
咄嗟に笑い返したけれど、引きつっていなかっただろうか。
安堵と、苦い後悔の両方を抱えながらαの隣で小さくなって過ごした。
そして式当日。白いタキシードとは裏腹に、Ωの気分は真っ黒に沈んでいる。
本当にこのまま結婚してもいいのかとためらうが、にこにこ笑う両親の顔を見ていると今更真実は口にできない。
いざ時間となり、バージンロードを歩いていく。αは微笑んで待っていた。
これでいいと言い聞かせて彼の手を取ろうとした瞬間、背後の扉が開くとそこにいたのは運命の人だった。
「彼は私の番だ!」
流暢な日本語でそう告げた彼は、Ωを拐ってホテルに連れ帰る。
ベッドに押し倒されそうになり慌てて弁解した。
「ま、待ってください! 僕は……別の人と結婚するんです」
「なぜだ? 君は私を愛しているのだろう」
断定されて言葉に詰まった。心の底では婚約者への愛情なんてない、目の前の彼に惹かれている。
「私も君を愛している。どうか番になってくれ」
「だめ、駄目です……みんなに申し訳が立たない」
「みんなとは誰だ。私は君の気持ちを聞いている」
そんなの好きに決まってる。けれどどうしても言えなくて。
キスが降ってきて、拒めなかった。
またしても体を暴かれてしまい、強引に頸を噛まれてしまう。
「ああ……っ!」
「これで君は私のものだっ」
国に連れ帰られて、屋敷で軟禁されながら昼も夜もなく愛される日々が続いた。
そのうち子どもにまで恵まれるとだんだん情が湧き始め、元々好きだったこともあり番と共に穏やかに過ごした。
子どもの寝顔を見ながら、時々日本に帰りたいなと愚痴を言うと、番の彼は毎回Ωを抱き潰す。
「決して逃さない、君の居場所は僕の隣だ」
本当に帰ろうと思ってはいないけれど、それでも言ってしまうのは不安だから。
彼のせいで帰れないんだ、だから今この状況にいるのは自分のせいじゃないと、激しい夜の合間に安堵のため息をつく。
軟禁されながら、溺れるほどの愛を注がれ続ける業の深いΩの話。
相手のαはおっとりしていてΩくんと趣味もあう。
大学卒業と共に結婚する予定を楽しみにしていた。
しかし卒業前に海外旅行に出かけた先で、運命の番と出会ってしまう。
彼は金髪碧眼の外国人で、言葉も通じない。
なのに強烈に惹かれあい、情熱的に口説かれて一夜を共にしてしまった。
悪い夢だったことにして、連絡先も明かさずに帰国した。
今まで通りαの側に控えていようかと思ったけれど、会うたびに罪悪感が胸を塞ぐ。
元気のないΩをαはマリッジブルーかな、なんてからかう。
今更結婚をやめようだなんて言えない、もう式まで十日もない。
けれど過ちを犯してしまったことを言わないまま結婚だなんて、不誠実すぎる。
結局Ωはαに、運命の番と会って一夜を共にしたと告白した。
彼は驚いたようだけれど、いつもの笑みでおっとりと笑う。
「そうなんだ。ふうん。でも別にいいよ、それでも君はここに戻ってきてくれたんだもの。二度と彼に会わないって約束してくれるよね?」
Ωは何度も頷いた。
「それに僕は君が誰を好きでいようと構わないんだ、義理さえ果たしてくれれば。帰ってきてくれてよかったよ、家族みんなが喜ぶね」
咄嗟に笑い返したけれど、引きつっていなかっただろうか。
安堵と、苦い後悔の両方を抱えながらαの隣で小さくなって過ごした。
そして式当日。白いタキシードとは裏腹に、Ωの気分は真っ黒に沈んでいる。
本当にこのまま結婚してもいいのかとためらうが、にこにこ笑う両親の顔を見ていると今更真実は口にできない。
いざ時間となり、バージンロードを歩いていく。αは微笑んで待っていた。
これでいいと言い聞かせて彼の手を取ろうとした瞬間、背後の扉が開くとそこにいたのは運命の人だった。
「彼は私の番だ!」
流暢な日本語でそう告げた彼は、Ωを拐ってホテルに連れ帰る。
ベッドに押し倒されそうになり慌てて弁解した。
「ま、待ってください! 僕は……別の人と結婚するんです」
「なぜだ? 君は私を愛しているのだろう」
断定されて言葉に詰まった。心の底では婚約者への愛情なんてない、目の前の彼に惹かれている。
「私も君を愛している。どうか番になってくれ」
「だめ、駄目です……みんなに申し訳が立たない」
「みんなとは誰だ。私は君の気持ちを聞いている」
そんなの好きに決まってる。けれどどうしても言えなくて。
キスが降ってきて、拒めなかった。
またしても体を暴かれてしまい、強引に頸を噛まれてしまう。
「ああ……っ!」
「これで君は私のものだっ」
国に連れ帰られて、屋敷で軟禁されながら昼も夜もなく愛される日々が続いた。
そのうち子どもにまで恵まれるとだんだん情が湧き始め、元々好きだったこともあり番と共に穏やかに過ごした。
子どもの寝顔を見ながら、時々日本に帰りたいなと愚痴を言うと、番の彼は毎回Ωを抱き潰す。
「決して逃さない、君の居場所は僕の隣だ」
本当に帰ろうと思ってはいないけれど、それでも言ってしまうのは不安だから。
彼のせいで帰れないんだ、だから今この状況にいるのは自分のせいじゃないと、激しい夜の合間に安堵のため息をつく。
軟禁されながら、溺れるほどの愛を注がれ続ける業の深いΩの話。
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