ツイノベ倉庫〜1000文字程度の短編集

兎騎かなで

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63.海だ、水着だ! おそっちゃうぞ★

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夏だ、水着だ! 大好きな爽やかクラスメイトくんと海に行く約束を取り付け、張り切る腹黒くん。

頭の中では爽やかくんをにゃんにゃん泣かせているのに、実際は借りてきた猫のように大人しくしている。

新しい黒の水着を買い、筋トレで腹を引き締め準備万端で海に出かけた。

爽やかくんが腹黒くんの水着を見て笑いかける。

「すげえ気合い入ってんな! カッコいいじゃん」
「そうかな? はは、ありがとう」

惜しげもなく白い肌を見せつける爽やかくんをガン見しながら、どうやって押し倒すか考える。

「あ、あそこ洞窟みたいになってねえ? 冒険してみよう!」
「いいね、楽しそう」

好都合だと形のいい尻を見つめながら着いていく。

ピンク色の妄想を繰り広げながら辿り着いた岩陰で、腹黒くんはついに本性を曝け出そうと決意する。

手始めに壁ドンならぬ岩ドンを試みようとするも、勢い余って転けそうになる腹黒くん。

「おっと」

とっさに爽やか君が腕を掴んで引き上げてくれる。腕の中に抱き込まれた。

「ごめん」
「怪我してないか?」

顔を覗き込まれ、このシチュ自分がやりたかった、そして勢いのまま押し倒したかったと思いながらも頷く。

「してない」

それよりも顔が近くないか、でも指摘して離れられるのも嫌だなと考えていると、突然キスされた。

「んん⁉︎」

驚いているうちにベロチューされ、巧さに腰砕けになりそのまま主導権を奪う間もなく、抱かれてしまう。

こんなはずじゃないと内心叫びながらも、ずっと好きだったと思いの丈をぶつけるように抱かれて、俺も好き♡ とキュンキュンしちゃう。

そのままつきあうことになったけれど、いつまでたっても腹黒を披露する機会は訪れない。

まるで大型犬のように慕ってくる爽やかくんが、必死で愛を囁いてくるので征服欲が満たされ、まあ抱かれてやってもいいかと流されてしまう。

そして実際に抱かれると、爽やかくんの愛が激しすぎて攻める隙がない。

おっかしいなあ、と思いながらもなんだかんだ幸せなので流され続け、そのうち抱かれないと満足できない体になっちゃう腹黒くんであった。

本当の策士は爽やかくんなのかもしれない。

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