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56.寝言最強伝説

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寮生活同室の美形に、恋をしている平凡くん。

お風呂上がりや着替えのたびにうひゃーって思いつつ、でも目が離せない。

不自然に思われないようにこやかに会話するけど、心あらずになっては笑われる。

「ぼんやりしてんなよ、襲われても知らねえぞ?」

むしろぜひ襲ってくださいお願いしますと、鼻息荒くそう思うものの口には出せなくて。

無防備な彼は腹チラ常習犯だし、のしっと肩に腕をよく乗せてくるし、なんなら吐息がかかる位置にいることだって日常茶飯事。

ある日美形が自分のベッドに間違えて寝ていて、理性がぷっつんした平凡は美形の隣で添い寝することにした。だって自分のベッドだし。

腕の中に収まってみると、なんかいい匂いするし筋肉にときめくし、とてもじゃないけど眠れない。

美形は寝ながら抱きついてきて、寝言で平凡くんの名前を呼ぶからもう大変。下半身が元気になっちゃう。

ごめんって内心謝りながら自身を慰めていると、後ろからにゅっと手が伸びてくる。

「なあ、なにしてんの?」
「ひぁ……っ!?」

そのまま気持ちよくされちゃって、息も絶え絶えになっていると耳元で囁かれる。

「なあ、もう限界なんだけど。襲ってもいい?」
「へ? あ、やっ……!」

なし崩しに抱かれてとんでもなくよかった。

それから彼は頻繁に平凡くんに迫ってくるようになるけれど、好きだとか愛してると言われたことがないしただの性欲発散の相手なんだなって思う。

だけど好きだから、体だけでも愛されていたいと気持ちを告げられなくて。

抱かれる時にいつも泣いてしまうのを、かわいいってあやされては気持ちがぐちゃぐちゃになってた。

そんな美形が実はうっかり平凡に気持ちを伝え忘れていたと気づくのは、またしてもうっかり寝言で平凡に好きだと呟いた後だったり。

寝言最強伝説。
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