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50.ツンデレ同級生と平凡くん

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優秀な兄と愛らしい弟に囲まれた、平凡な次男くん。

周りは残念な人を見るような目で平凡君を見るけど、当の本人は気にしてない。

頼りになる兄とかわいい弟がいて幸せ。

ただ一つ気になるのは同級生がしつこくからかってくること。

「お前は兄貴と違ってバカだな、俺がついててやらないと」
「そだねー、いつも助かってるありがとー」
「ま、まあな」

クラスのみんなは同級生が平凡君に恋してることは気づいてて、微笑ましく見守ってる。

同級生は口が悪いが、実際には自分に心を砕いてくれてることを平凡君は知っている。

もっと言い方も優しければいいのになんて思いつつ、彼の恋心も知らずに頼りにしていた。

ある日転校生がやってきた。

テレビに出てくるような美形が平凡君と隣の席になり、推しアイドルが同じと知った二人は急速に仲良くなる。

同級生は面白くなくて、美形の前で平凡君をいつものように貶した。

「コイツは鈍いし気は利かないし見た目もパッとしないでしょ? 俺くらいしか友達できないって」
「彼のことを悪く言うな、聞き苦しい。好きなら好きと堂々と言えばいいのに」
「す、好きじゃねえよこんなヤツ! あまりにも抜けてるからほっとけないだけだ」

平凡君はその一言を聞いて衝撃を受ける。

好いていないからあんなに辛辣なのかと、言葉通りの意味で受けとってしまう。

なぜだかそれが、ものすごく胸に痛くて。

その日から平凡君は同級生を避けるようになった。美形と一緒に過ごすようになる。

同級生の方は平凡君に自分の想いがバレて気持ち悪く思われてると誤解して、こんなはずじゃなかったのに……ってしょぼくれてる。

平凡君は美形と過ごしててもどこか浮かない顔をしているけど、美形は推しアイドルの話をしている時が一番輝いている。

「本当に好きなんだ」
「結婚したいと思ってる」

キリッとした顔で夢みたいなことを言う美形の顔が眩しくて。

ああ本気で恋してるんだなあって羨ましくなる。

「いい顔してるね」
「君も同級生君と話をしている時が一番いい顔をしている」
「え?」

指摘されて初めて気づく。

そうか同級生が好きなのかと気づいた平凡君は、いてもたってもいられず彼に会いにいった。

同級生のいる放課後の教室に飛び込むと、彼は泣き腫らした目をしていた。

「どうしたの?」
「……認めないぞ俺は、結婚なんて! 気が早すぎる!」
「なんの話!?」
「美形と告白しあってただろう! なんでだよ、俺の方がずっとずっとお前のことが好きなのに!」

鼻声で叫ぶ真っ赤な同級生の言葉を聞いて、耳まで真っ赤になった。

震える指先で彼の服の袖を掴む。

「僕もだよ。美形じゃなくて、君が好き」
「は、え?」

やっと意味を理解した同級生は、もう決して離れたくないとでと言いたげにキツく平凡君を抱きしめた。

「好きだ。好き。すごく好き、好き」

いつもの意地悪な言葉はなりを潜め片言のように好きだと伝えられて、自然と頬が綻んだ。

その後自分の言葉が全部言葉の通りに捉えられていたと知った同級生は、平凡君に素直な気持ちを伝えるようになりましたとさ。

めでたしめでたし。


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